告示令和8年3月31日
厚生労働省告示第百三十一号(建設雇用改善計画の策定)
出典:官報発行サイトの掲載情報を加工しています。AI 抽出や OCR に誤りが含まれる可能性があるため、 重要な確認は公式原文を基準にしてください。
AI要点
建設雇用改善計画(第十一次)の策定
抽出された基本情報
本文と原文の対照
まず左側の本文を読み、必要な箇所だけ原文ページで確認できる構成です。
← 同日の官報に戻る
原文対照の表示オプション
厚生労働省告示第百三十一号(建設雇用改善計画の策定)
本文はAI抽出です。左の段落を選ぶと、右側の官報原文画像で該当箇所を照合できます。
○厚生労働省告示第百三十一号
建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)第三条第一項の規定に基づき、建設雇用改善計画を次のとおり策定したので、同条第四項の規定により告示する。
平成三十三年三月三十一日
厚生労働大臣 上野賢一郎
建設雇用改善計画(第十一次)
I 計画の基本的考え方
1 計画の背景と課題
(1) 計画策定の趣旨
建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51年法律第33号。以下「建設雇用改善法」という。)の目的である建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進を図るための施策等を円滑かつ効率的に実施していくためには、建設労働者の雇用等の動向を基礎に、建設労働対策の総合的、中長期的な施策の方針、基準等を明らかにすることにより、その実施機関等に行政運営上適正な指針を示すことが必要である。
また、建設労働対策の実行を期するためには、事業主、業界団体等の関係者の自覚と協力が不可欠であり、これら関係者に対しても、建設労働対策の目的、方針、基準等を示す必要がある。
このため関係行政機関及び事業主、業界団体等が建設労働対策を推進していく上での指針となるよう、本計画を策定する。
(2) 経済・雇用情勢等の状況
我が国経済は、2024年(令和6年)には名目GDPが初めて600兆円を超えるととともに、2025年(令和7年)の春季労使交渉における賃上げ率は、33年ぶりの高さとなった2024年(令和6年)を更に上回る堅調な結果となる等、近年にはない明るい動きが続いている。一方、個人消費については、食料品等身近な品目の物価上昇が続く中で、賃金・所得に比して回復力が弱いものとどまっている。コロナ禍の2020年(令和2年)5月を谷とする現在の景気回復は、戦後3番目の長さに達し、成熟化した状態にあることを踏まえると、何らかの負のショックを機に景気の局面が変化する可能性には十分警戒が必要である。
このような経済状況の下、建設経済の現状を見ると、建設投資額は1992年度(平成4年度)の84兆円をピークに減少基調となり、2010年度(平成22年度)には1992年度(平成4年度)の半分程度にまで減少した。その後、東日本大震災からの復興等により回復傾向となっている。
また、雇用情勢は、2024年(令和6年)の実績を見ると、完全失業率の改善がみられたほか、女性・高齢者を中心に労働参加が進み、労働力人口、就業者数、雇用者数が過去最高となった。有効求人倍率はほぼ横ばいであったが、人手不足感の更なる高まりがみられ、大企業、中堅企業及び中小企業で人手不足感が強いものとなっている。
このような雇用情勢の下、建設労働者の現状を見ると、コロナ禍が住環境への意識変化やDX(デジタルトランスフォーメーション)・業務効率化の必要性の明確化につながる契機となった一方、現在においても技術者や技能労働者等、建設関連職種の有効求人倍率は高止まりしており、担い手の確保が課題である。また、建設業の労働力の年齢構成を見ると、他産業に比べて高年齢層(60歳以上)の割合が高い一方、若年層(15~29歳)の割合が低く、さらに、他産業に比べて新規学校卒業就職者の入職が少なく、定着が悪い状況は深刻化しており、将来の建設業の一層の担い手不足への懸念は依然として変わっていない。
(3) 建設産業における役割と課題
こうした中、建設産業は、社会資本の整備の担い手であると同時に、地域経済・雇用を支え、災害時には、最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、国民生活や社会経済を支える大きな役割を担う。そのためには、持続可能な建設産業の構築が不可欠であるが、今後、熟練技能を有する多くの高年齢層の労働者のリタイアが見込まれる中、若年者等の入職が進まなければ将来的に技能労働者が不足することから、その確保・育成及び技能継承は極めて重要な課題となっている。
特に、若年労働者の確保・育成の観点からは、建設産業で働く若年労働者がライフステージに応じた生活設計ができるよう、他産業と比較して遜色ない就労環境を確保することが重要であり、建設業の新4K(給与がよい・休暇がとれる・希望がもてる+かっこいい)を実現するため、事業主が時間外労働の上限規制等に対応し、労働時間の適正化等による働き方改革や賃金引上げ等による処遇改善、現場管理の効率化等による生産性向上に総合的に取り組むとも
に、職業能力開発に主体的かつ積極的に取り組むことが肝要である。社会が大きな変化に直面する中で、事業主が雇用管理の改善等に取り組むためには、建設キャリアアップシステム(以下「CCUS」という。)を活用し、若い世代がキャリアパスの見通しを持てるよう、国や業界団体等の関係機関が連携し、処遇改善等に向けた更なる施策を展開し、建設労働者にとって「魅力ある職場づくり」を推進していく必要がある。
また、従来より我が国の建設産業においては、受注生産、個別生産、屋外生産、移動生産、総合生産といった特性があるほか、重層下請構造、中小零細企業の割合が高い等の特徴がある。加えて、過去の長期にわたる建設投資の減少による競争の激化に伴うダンピング受注やその就労形態への影響等が指摘されている。これらを背景として、不明確な雇用関係、労働災害の多発、労働条件の改善や労働福祉の立ち後れ、適切な職業能力開発の機会の不足等の問題が存在しており、近年、これらの問題について改善の取組が進んでいるものの、引き続き、適切な対応について、国土交通省をはじめとする関係省庁と連携を図り、今後も万全を期していく必要がある。
他方、人口減少や少子高齢化による労働力の大幅な減少等が建設産業の持続的な発展へもたらす影響を軽減するには、労働の質を高めることや良質な雇用機会を確保することが必要であるが、そのためには、個々の労働者が生涯を通じて能力開発を行い、その能力を高めることとあわせて、そうして労働者が高めた能力を最大限発揮できる環境を整備することが重要な課題となる。また、将来的に建設産業を活性化していくためには、国際競争力の強化や、外国人を単なる労働力としてではなく、建設業を担う人材の一員として適切に受け入れ、育成・定着させていく視点も重要である。
(4) 施策の最重点事項
以上を踏まえ、本計画においては、「次世代を担う若者が夢を描き安心して働ける魅力ある職場づくりの推進」を課題とし、次の事項を最重点事項として、Ⅲの施策を推進していくこととする。
ア 若年者等への建設業の魅力発信、入職・定着促進による担い手の確保・育成
建設業で働くことの魅力を発信し、若年者の入職及び定着の促進を図るとともに、女性、高年齢者及び外国人が活躍できる就労環境の整備等を図り、担い手の確保・育成に取り組むこと。
イ 魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備
建設労働者の職業生活の全期間を通じた職業の安定を図りつつ、建設雇用改善法等に基づく適切な建設労働者の雇用を推進し、建設労働者にとって魅力ある労働環境づくりを図ること。
ウ 職業能力開発の促進、技能継承
建設労働を取り巻く環境の変化も踏まえ、事業主、事業主団体等が行う職業能力開発の支援や公的職業訓練を推進し、建設労働者の職業能力の開発や向上を促進するとともに、技能の継承を図ること。
2 計画の期間
この計画の期間は、2026年度(令和8年度)から2030年度(令和12年度)までとする。ただし、今後の建設産業や建設業に係る施策の動向等を踏まえ、必要な場合は計画の改正を行うものとする。
II 建設雇用等の動向
1 建設経済の動向
(1) 2025年度(令和7年度)の建設投資は、名目では前年度比3.2%増の75兆5,700億円となる見通しである。また、実質(2015年度(平成27年度)基準)では同0.6%増の57兆2,875億円となる見通しであり、ピークの1990年度(平成2年度)から35.8%の減少と見込まれている。
建設投資の動向を見ると、名目では、1984年度(昭和59年度)以降、主に民間投資の増加により前年度比プラスで推移し、1992年度(平成4年度)には約84兆円に達した。その後は減少傾向となり、2010年度(平成22年度)には約42兆円とピーク時の半分まで減少したが、2015年度(平成27年度)に持ち直して以降は東日本大震災からの復興需要、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、国土強靭化の取組等により増加傾向にあり、2025年度(令和7年度)も引き続き増加となる見通しである。
国内総生産(名目)に占める建設投資(名目)の割合も、1986年(昭和61年)以降では1990年度(平成2年度)の18.0%をピークに低下しており、2010年度(平成22年度)は8.4%まで低下したが、その後は景気の回復や東日本大震災からの復興等による需要で、回復傾向にあり、2025年度(令和7年度)は12.0%となる見通しである。
(2) また、建設業許可業者数は、2024年度(令和6年度)末現在で483,700業者となっており、建設業許可業者数が最も多かった1999年度(平成11年度)末時点と比較すると19.5%の減少となっている。
(3) 2026年度(令和8年度)から2030年度(令和12年度)までを対象とする第1次国土強靭化実施中期計画(令和7年6月6日閣議決定)が策定されたこと等から、今後も防災・減災、国土強靭化の推進等による建設需要が見込まれるところである。
2 建設労働者の動向
(1) 建設業の就業者数は、1990年度(平成2年度)以降の建設投資(実質)の減少の中でも増加を続けていたが、1997年(平成9年)の685万人(全産業に占める割合は10.4%)をピークに減少に転じ、2010年(平成22年)には498万人となり、その後は同水準で推移している。2024年(令和6年)には477万人(全産業に占める割合は7.03%)となり、ピークの1997年(平成9年)と比較して30.4%の減少となっている。
また、建設業の技能労働者の就業者数は、1997年(平成9年)の455万人をピークに減少しており、2024年(令和6年)には300万人となっている。
(2) 建設業の雇用者数も同様の傾向を示しており、1997年(平成9年)の563万人(全産業に占める割合は10.4%)をピークに減少していたが、2010年(平成22年)の405万人(全産業に占める割合は7.4%)以降横ばいとなり、2024年(令和6年)には394万人となっている(全産業に占める割合は6.4%)。
(3) 建設業における雇用者のうち、日雇労働者(雇用契約期間が1か月未満の者)の占める割合は、2024年(令和6年)で0%となっており、全産業の0.18%より低い割合となっている。
(4) 建設業の雇用者を事業所規模別に見ると、30人未満規模の事業所に雇用されている者の割合は2024年(令和6年)で58.6%(全産業では24.9%)となっており、比較的小規模な事業所に雇用されている者の割合が高い状態である。
また、建設業の従業者規模をみると、職別工事業(設備工事業を除く)の82.1%が1~9人の事業所であり、特に板金・金物工事業では68.9%、石工・れんが・タイル・ブロック工事業では68.4%、床・内装工事業では67.6%が1~4人の事業所となっている。
(5) 若年者の入離職の状況については、新規学校卒業就職者に占める建設業の就職者割合は、1996年(平成8年)の8.4%をピークに下降傾向を示し、2009年(平成21年)には4.0%、実数においても1996年(平成8年)の半分以下の2万9千人となった。その後増加に転じ、2024年(令和6年)にはそれぞれ5.4%、3万8千人となっている。しかしながら、就業者全体に占める建設業の就業者割合は7.0%であることから、新規学校卒業就職者の建設業への入職は少ないということができる。
新規高等学校卒業者の入職3年後の離職率については、1985年(昭和60年)以降では、1992年(平成4年)3月卒業者の39.4%を底に、2003年(平成15年)3月卒業者では57.4%と高い水準となった。その後は一時低下傾向となったものの、2022年(令和4年)3月卒業者については41.4%となっている。全産業と比較しても、1992年(平成4年)3月卒業者については同水準であったものが、2022年(令和4年)3月卒業者については全産業より3.5ポイント高い状況にある。
(6) 建設業の就業者に占める若年層(15~29歳)の割合は、1988年(昭和63年)の14.8%を底に上昇を続け、1997年(平成9年)には22.0%となった。その後下降に転じたが、2024年(令和6年)には11.7%と回復傾向となっている。ただし、全産業の16.9%に比べると低くなっている。
(7) 建設労働者の高齢化の状況について、建設業の就業者に占める高年齢層(60歳以上)の割合は、1978年(昭和53年)以降上昇傾向にあり、2024年(令和6年)には25.8%となった。全産業の22.0%に比べ高齢化が進展している。
また、2024年(令和6年)における建設労働者の平均年齢は45.3歳であり、全産業の44.1歳と比べるとやや高くなっている。職種別に見ると、建設躯体工事従事者が43.0歳、大工が40.6歳、配管従事者が45.6歳、その他の建設従事者が42.4歳、電気工事従事者が43.4歳、土木従事者、鉄道線路工事従事者が46.0歳と、職種によって平均年齢のばらつきが見られる。
(8) 女性の就労状況について、建設業の就業者に占める女性の割合は、1985年(昭和60年)以降では1991年(平成3年)の16.7%をピークに低下し、2010年(平成22年)から2012年(平成24年)までの13.9%を底に回復傾向となり、2024年(令和6年)には18.2%まで増加している。しかしながら、(令和6年)の全産業45.5%に比べるとかなり低くなっている。
また、建設業の技能労働者に占める女性の割合は2024年(令和6年)には3.6%となっている。
(9) 建設分野における外国人材の受入状況については、2025年(令和7年)で20.6万人となっており、2019年(令和元年)の9.3万人から約2倍となっている。在留資格別では、技能実習生は12.0万人、特定技能外国人は2.7万人となっている。
3 建設労働者の需給動向
(1) 建設業関連職種の職業別有効求人倍率について、2024年度(令和6年度)は、建築・土木・測量技術者は5.58倍、建設躯体工事以外の建設従事者は4.59倍、電気工事従事者が3.30倍、土木作業従事者が6.10倍と、全産業の1.25倍と比べて高い倍率を示しているほか、建設躯体工事従事者については8.56倍と、特に高い倍率を示している。
(2) 建設労働者の過不足状況については、全体的には2009年(平成21年)から2011年(平成23年)前半までは過剰傾向にあったが、2011年(平成23年)後半以降は不足とする企業が多くなっている。部門別に見ると、2011年(平成23年)後半以降は、ほぼ全ての部門で不足の状況となっているが、専門・技術や技能工の部門で特に不足感が高くなっている。
4 建設労働者の労働条件等の動向
(1) 労働時間の状況を見ると、1997年(平成9年)4月1日からの週40時間労働制の全面適用を経て、建設業の事業所規模5人以上の事業所における1人当たりの年間総実労働時間は、1998年(平成10年)に2,009時間となったが、その後増加し、2017年(平成29年)には2,063時間となった。
それ以降は減少に転じており、2024年(令和6年)の年間総実労働時間は1,938時間となっているものの、全産業の1,643時間と比べると長時間である傾向は変わらない。
(2) 週休制の導入状況を見ると、建設業の企業規模30人以上の企業において、完全週休2日制を導入している割合は、2024年(令和6年)では45.9%と、2019年(令和元年)の27.0%と比較すると普及は進んでいるものの、全産業の56.7%と比べると普及が遅れており、土日連続全休制による現場閉所の割合が低いものと考えられる。
また、年次有給休暇の状況については、全産業における2024年(令和6年)の付与日数は16.9日である一方、建設業では17.8日と僅かながら全産業よりも多くなっている。取得日数については、全産業が11日、建設業が10.8日と同程度であることに対し、取得率は全産業が65.3%、建設業が60.7%と全産業を下回っている。
(3) 建設業における賃金水準について、2024年(令和6年)では、企業規模10人以上の事業所の全従業員で約565万円、企業規模5人以上9人以下の事業所の全従業員で約446万円と試算される。
なお、全産業の企業規模10人以上の事業所における2024年(令和6年)の全従業員の年間の給与額を試算すると、その額は約527万円である。
(4) 労働災害の状況を見ると、建設業における、労働災害による休業4日以上の死傷者数は1978年(昭和53年)以降概ね減少を続けている。死亡災害は1985年(昭和60年)から年間1,000人前後で横ばいで推移していたが、1997年(平成9年)以降は減少傾向に転じ、2024年(令和6年)には232人となった。また、全産業に占める割合は、死傷者数で10.2%、死亡者数で31.1%であり、建設業における労働災害は他の業種と比べて重篤な災害となる傾向を示している。
(5) 建設業における雇用保険の適用事業所数は、2024年度(令和6年度)で436,288事業所となっており、全産業における構成比は18.3%で最も多くなっている。また、2019年度(令和元年度)の適用事業所数412,515事業所から5.8%の増加となっている。
5 職業能力開発の動向
(1) 建設業におけるOFF-JT(業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修))の実施状況を見ると、正社員に対して「OFF-JTを実施した」と回答した事業所は、2024年度(令和6年度)には85.2%となっており、全産業の実施率の71.6%より高い状況である。
また、建設業における計画的なOJT(日常の業務に就きながら行われる教育訓練)の実施状況を見ると、正社員に対して「計画的なOJTを実施した」と回答した事業所は、2024年度(令和6年度)には64.2%となっており、全産業の実施率の61.1%より高い状況である。
(2) 建設業における人材育成に関する問題点の状況を見ると、人材育成に「問題がある」と回答した事業所は、2024年度(令和6年度)には85.7%となっており、全産業の79.9%より高い状況である。問題点の内訳については、複数回答で「人材を育成しても辞めてしまう」が61.4%で最も多く、「指導する人材が不足している」が54.4%で続いている。
(3) 2024年度(令和6年度)における技能検定受検申請者数のうち建設関連の申請者数は112,643人(合格者数64,228人)となっており、2019年度(令和元年度)の106,811人(合格者数64,395人)から5.5%の増加となっている。また、等級別の受検申請者数の内訳を見ると、技能実習生を対象とした等級(随時2級、随時3級及び基礎級)の受検申請者数は70,150人(2019年度(令和元年度)の58,068人から20.8%の増加)、それ以外の等級は42,493人(2019年度(令和元年度)の48,743人から12.8%の減少)となっている。
Ⅲ 雇用の改善等を図るために講じようとする施策に関する基本的事項
建設労働者の雇用改善を進めるに当たっては、高齢化の進行等を背景に、将来的に技能労働者が不足することから、若年労働者等の確保・育成に向けた取組を進めることが必要である。
また、建設産業に関しては、依然として雇用関係が不明確、他産業と比べて長時間労働、技能労働者が低賃金である等労働条件の改善や労働福祉が立ち後れており、さらに職業能力開発が十分に行われていない等の問題があることから、これらの改善を図っていくことが必要である。
このため、建設労働者の職業生活の安定にも十分に配慮した上で、前述の建設雇用等の動向を踏まえ、若年労働者等の確保・育成、建設労働者の雇用改善、労働福祉の増進、職業能力の開発及び向上、CCUSの活用促進等雇用の改善を一層促進することにより、建設労働者にとって魅力ある職場とするため、次の施策を積極的に推進する。
1 若年者等への建設業の魅力発信、入職・定着促進による担い手の確保・育成
(1) 若年労働者の確保・育成
技能労働者については、他産業に比べて高齢化が進展しており、入職者は減少傾向にある。今後、熟練技能を有する高年齢層の労働者が大量に離職するとともに、このまま若年者等の入職が進まなければ、技能労働者が将来的に不足することから、若年労働者の確保・育成が極めて重要な課題となっている。
ア 建設労働に対する理解の促進、建設業の魅力の発信
(ア) 若年労働者の確保の観点から、建設業が社会的に評価され、イメージアップにつながるよう、建設業が社会資本の整備の担い手であること、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として多大な役割を果たしており、地域に不可欠な産業であることといった、国民一般の建設労働に対する正しい理解を促進するための取組を推進する事業主、事業主体団体等に対して支援を行う等、建設業に対する理解の促進に向けて、官民一体となって取り組む。
(イ) 若年者に建設業の役割やその魅力を伝え、建設業で働くことに対する意識や関心を高めるため、建設産業人材確保・育成推進協議会に設置された「若年者入職促進タスクフォース」等を活用した、業界と小学校、中学校、高等学校等の教育機関や関係行政機関等との連携の強化を通じ、現場見学会、職場体験、インターンシップ、実践的な技術研修等のキャリア教育や、進路指導、職業指導等に取り組む。
イ 建設業の魅力の発信から入職・定着支援
建設業においては、若年労働者等の確保・育成、技能継承が極めて重要な課題である中、入職から定着までを同時に促進するため、若年者等に対して建設業の役割や魅力を伝え、理解を促進するための啓発活動を行った上で、入職者の技能向上を図るための育成及び定着のためのフォローアップ等を熱心に行う事業主に対する支援を行う。
ウ 若年労働者、女性労働者及び外国人労働者とのコミュニケーションスキルの向上
建設現場における技能労働者の年代ギャップによるコミュニケーション不足や技能指導方法等の違いが、若年労働者の職場環境への適応や技能・ノウハウの習得がうまくいかない一因となっていることから、若年労働者と円滑なコミュニケーションをとりながら働くための職場環境づくりのスキル向上について、事業主に対して支援を行うとともに、若年労働者を育成する職場風土の醸成を行う事業主、事業主団体等に対して支援を行う。また、建設産業においては、女性労働者や外国人労働者を含む多様な人材が活躍していることを踏まえると、性別に係るアンコンシャス・バイアスの解消やハラスメントの防止、言語や文化の違いによる誤解や摩擦といった課題への対応の観点から、円滑なコミュニケーションを取りながら働くための職場環境づくりのスキル等を習得・向上していくことも重要であり、同様に支援を行う。
エ 教育訓練の充実、キャリアパスの提示
建設業で働く若年労働者がライフステージに応じた職業生活設計を行うためには、処遇改善をはじめとした雇用管理の改善や技能労働者のキャリア形成に資する適切な資格の取得、それに向けた教育訓練と、取得した技能に見合った処遇等を関連づけた望ましいキャリアパスを提示することが必要であることから、教育訓練の充実やキャリアパスの提示を行う事業主、事業主団体等に対して支援を行う。
(2) 女性労働者の活躍・定着の促進
建設産業においては、他産業と比較して、女性労働者の活躍・定着が進んでいないことから、建設業で働く全ての女性が働きやすく、また働き続けられることや、女性が建設業への入職を選択できることに資する就労環境整備が課題であり、さらに、各種制度を活用するための理解促進が重要である。
あわせて、結婚、出産、育児等、全ての人のライフステージを尊重した柔軟な働き方を実現することも不可欠である。
ア 就労環境の整備
(ア) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)が改正され、2025年(令和7年)4月1日及び同年10月1日に段階的に施行されたことを踏まえ、仕事と育児・介護を両立しやすい職場づくりの取組が企業にとっても優秀な人材の確保・育成・定着につながること等について、周知等を図っていく。
(イ) 全ての人が働きやすく働きがいのある、魅力ある産業を目指した意識改革や、現場で働く女性労働者の就労環境をハード(快適なトイレ等)・ソフト両面から整備する取組の裾野拡大、女性労働者のキャリアアップ、継続勤務を促進するとともに、作業方法や安全対策の配慮等女性労働者の活躍の促進について検討する事業主、事業主団体等や、男女別のトイレや更衣室の整備等により職場環境の改善を行う事業主に対して支援を行う。
(ウ) 男女ともに仕事と育児を両立できるようにするため、男性の育児休業取得促進や、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の導入促進等に取り組むことにより、共働き・共育てを推進する。
(エ) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)について一層の周知・指導等を行うことにより、男女の均等な雇用機会を確保するとともに、職場におけるセクシュアルハラスメント防止等のための雇用管理上の措置義務を徹底させること等を通じて、職場への受入体制の整備を促進する。
(オ) 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについては、女性労働者の尊厳を傷つけ、継続就業を妨げるものであることから、事業主に対する積極的な報告徴収、指導等を行う。
イ 女性の入職促進
女性をはじめとする多様な人材の参画は、現場に多様な価値観や創意工夫をもたらし、建設産業全体の活力につながると考えられることから、企業における女性の活躍状況等の情報提供、作業方法の改善、作業装備の軽装化による女性の職域拡大等の女性労働者の活躍を推進するための取組の支援等を通じて、建設産業における女性の入職を促進する。また、建設業で働く女性労働者が増加する中で、事業主が円滑なコミュニケーションを取りながら働くための職場環境づくりのスキル等を向上していくことも重要であることから、事業主への支援を推進する。
ウ 女性の活躍推進
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)では、常時雇用する労働者の数が101人以上の事業主に対して、女性の活躍に関する状況把握・課題分析に基づいた行動計画の策定及び情報公表を義務付けており、同法の周知・啓発、着実な施行や、2025年(令和7年)3月に官民で策定された「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」に基づく取組を通じて、建設産業における女性の活躍を推進する。また、坑内労働における女性の就業については、科学的な知見も踏まえた女性の健康上への影響等様々な面で整理が必要であることを踏まえ、国土交通省との連携を図る。
(3) 高年齢労働者の活躍の促進
少子高齢化の進展や技能労働者の高齢化が進む中で、働く意欲のある高年齢労働者がその能力・経験を十分に活かし技能の継承を行う等、いつまでも活躍できるよう、引き続き環境整備を図っていくことが重要となっている。
ア 高年齢者雇用安定法の周知
(ア) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)における定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による65歳までの雇用確保措置(義務)の適正な実施について、事業主への一層の周知・指導を徹底する。
(イ) また、70歳までの就業確保措置(努力義務)については、事業主において制度の導入が進むよう周知を徹底するとともに、適正に運用されるよう助言、指導等を行う。
イ ハローワークの生涯現役支援窓口におけるマッチング支援
高年齢求職者の多様な就労経験やニーズを踏まえた、職業生活の再設計に係る支援を行うほか、その希望する職種と求人のニーズも踏まえながら、求人開拓や雇用情報提供、マッチングの強化等、総合的な就労支援を実施する。
ウ 雇用管理に関する支援
(ア) 高年齢労働者の特性や健康、体力等に対応した就労環境の整備及び高年齢労働者が有する高度な熟練技能の継承を図るため、その特性に配慮した作業方法の見直し、適正な配置、柔軟な勤務形態、安全衛生対策、職業能力開発等、高年齢労働者の活用について検討する事業主に対して支援を行う。
(イ) 高年齢労働者の健康や体力、多様な就労ニーズを的確に把握しつつ、適切な雇用管理が行われるよう、事業主に対する啓発・指導を行う。
p.274 / 4
読み込み中...
テキスト領域
選択中
非公開 (PII)