事業性融資の推進等に関する法律の一部を改正する法律(企業価値担保権関係条文)
令和6年6月14日|p.21
左の本文を選ぶと、右側の官報原文画像で該当箇所を照合できます。
(企業価値担保権の順位の変更)
第十七条 企業価値担保権の順位は、各企業価値担保権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 企業価値担保権者が前項の合意をするには、その企業価値担保権信託契約に係る全ての特定被担保債権者の同意を得なければならない。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
3 第一項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
(他の権利との関係)
第十八条 債務者の財産の上に存する先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第三号に係るものに限る。)・質権又は抵当権(以下この款において「他の担保権」という。)と企業価値担保権とが競合する場合には、それらの優先権の順位は、他の担保権に係る登記、登録その他の対抗要件の具備と企業価値担保権に係る登記の前後による。
2 一般の先取特権又は企業担保権と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権は、一般の先取特権又は企業担保権に優先する。
3 特別の先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権を除く。)と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権者は、同法第三百三十条第一項の規定による第一順位の先取特権と同一の権利を有する。
4 民法第三百三十七条又は第三百三十八条第一項の規定に従って登記をした同法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第一号又は第二号に係るものに限る。)は、企業価値担保権に先立って行使することができる。
5 第一項の規定にかかわらず、債務者が他の担保権の目的である財産を取得した場合における当該他の担保権は、企業価値担保権に先立って行使することができる。
(強制執行等への異議)
第十九条 企業価値担保権者は、担保目的財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、担保権の実行若しくは競売又は企業担保権の実行(以下この項において「強制執行等」という。)に対しては、強制執行等が債務者の事業の継続に支障を来す場合において、異議を主張することができる。
2 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十八条及び民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十五条の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、民事執行法第三十八条第一項中「その強制執行」とあるのは「その強制執行等(事業性融資の推進等に関する法律第十九条第一項に規定する強制執行等をいう。次項において同じ。)」と、同条第二項中「強制執行」とあるのは「強制執行等」と、同条第三項中「執行裁判所」とあるのは「執行裁判所(仮差押え又は仮処分に対するものにあつては保全執行裁判所、企業担保権の実行に対するものにあつては企業担保法(昭和三十三年法律第六百六号)第十条に規定する地方裁判所)」と読み替えるものとする。
(債務者による使用、収益及び処分)
第二十条 債務者は、企業価値担保権を設定した後も、担保目的財産の使用、収益及び処分をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、債務者は、次に掲げる行為その他の定款で定められた目的及び取引上の社会通念に照らして通常の事業活動の範囲を超える担保目的財産の使用、収益及び処分をするには、当該使用、収益及び処分の対象となる財産について全ての企業価値担保権者の同意を得なければならない。
一 重要な財産の処分
二 事業の全部又は重要な一部の譲渡
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で供給すること。
3 前項の規定に違反して行った債務者の行為は、無効とする。ただし、これをもって善意でかつ重大な過失がない第三者に対抗することができない。
(企業価値担保権の被担保債権の範囲)
第二十一条 企業価値担保権者は、次に掲げるものについて、その企業価値担保権を行使することができる。
一 特定被担保債権に係る確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部(第九条第三項の規定により極度額が定められた場合には、その極度額を限度とする。)
二 不特定被担保債権
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を特定被担保債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その企業価値担保権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一 債務者の支払の停止
二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 他の企業価値担保権の実行手続開始の申立て
(特定被担保債権の範囲の変更)
第二十二条 元本の確定前においては、第六十条の規定により、特定被担保債権の範囲の変更をすることができる。この場合においては、後順位の企業価値担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
(企業価値担保権の承継の制限)
第二十三条 企業価値担保権の承継は、受託者としての権利義務の承継とともにしなければならない。
(相続)
第二十四条 元本の確定前に特定被担保債権者について相続が開始したときは、企業価値担保権は、相続開始の時に存する特定被担保債権のほか、相続人と債務者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する特定被担保債権を担保する。この場合において、債務者は、当該合意により定めた相続人と共同して、企業価値担保権者に対し、当該合意後遅滞なくその内容を通知しなければならない。
2 第二十二条後段の規定は、前項の合意をする場合について準用する。
3 相続の開始後六月以内に第一項の合意をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
(合併)
第二十五条 元本の確定前に特定被担保債権者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する特定被担保債権を担保する。
2 元本の確定前に債務者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権に係る債務のほか、合併後存続する会社又は合併によって設立された会社が合併後に負担する特定被担保債権に係る債務を担保する。
3 合併により消滅する債務者の総財産を目的とする企業価値担保権は、合併後存続する会社又は合併により設立される会社の総財産につき、効力を有する。
4 前項の場合において、合併の効力が生じた時に合併後存続する会社又は合併により設立される会社の財産に当該他の担保権が設定されていた場合における当該債務者の総財産を目的とする企業価値担保権を除く。)に先立って行使することができる。