告示令和8年2月26日
職場における顧客等からの言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等の指針(カスタマーハラスメント防止対策ガイドライン)
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AI要点
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係法令の整備等に関する省令
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職場における顧客等からの言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等の指針(カスタマーハラスメント防止対策ガイドライン)
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ロ 手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの
① 身体的な攻撃(暴行、傷害等)
殴る、蹴る、叩く等の暴行を行うこと。
物を投げつけること。
わざとぶつかること。
つばを吐きかけること。
② 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
店舗の物を壊すことをほのめかす発言やSNS等のインターネット上へ悪評を投稿することをほのめかす発言によって労働者を脅すこと。
SNS等のインターネット上へ労働者のプライバシーに係る情報の投稿等をすること。
労働者の人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動を行うことを含む。
土下座を強要すること。
盗撮や無断での撮影をすること。
労働者の性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の者に暴露すること又は当該労働者が開示することを強要する若しくは禁止すること。
③ 威圧的な言動
大きな声をあげて労働者や周囲を威圧すること。
反社会的な言動を行うこと。
④ 継続的、執拗な言動
同様の質問を執拗に繰り返すこと。
当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立てをすること。
同様の電子メール等を執拗に繰り返し送りつけること。
⑤ 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)
長時間に渡る居座りや電話で労働者を拘束すること。
(6) 「労働者の就業環境が害される」とは、当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す。
この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である。
なお、当該言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回の言動でも、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じ、就業環境を害する場合があり得る。
3 事業主等の責務
(1) 事業主の責務
法第34条第2項の規定により、事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題(以下「カスタマーハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するよう
に努めなければならない。なお、職場におけるカスタマーハラスメントに起因する問題としては、例えば、労働者の意欲の低下などによる職場環境の悪化や職場全体の生産性の低下、労働者の健康状態の悪化、休職や退職などにつながり得ること、これらに伴う経営的な損失等が考えられる。
また、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、カスタマーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
(2) 労働者の責務
法第34条第4項の規定により、労働者は、カスタマーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の事業主が雇用する労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる4の措置に協力するように努めなければならない。
4 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならない。
ただし、職場におけるカスタマーハラスメント対策を講ずる際は、消費者法制により定められている消費者の権利や、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律において、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務が定められていることに留意する必要があり、同法に基づく「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定)」に即して主務大臣が各所掌分野ごとに定める事業者が適切に対応するために必要な指針、内閣府がホームページ等に掲載する合理的配慮の提供等に係る障害特性に応じた事例等(以下「対応指針等」という。)も参考にして、顧客等との建設的対話を重ねるなど、事案に応じて適切に対応する必要がある。
また、各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合やサービスが途絶すると顧客等の生命や心身の健康に重大な影響が及ぶ場合等があることに留意して適切に対応する必要がある。
(1) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならない。
その際、職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景には、商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などもあると考えられる。そのため、職場においてこれらを幅広く解消していく取組を進めることも、職場におけるカスタマーハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。
イ 職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
また、職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を顧客等に周知・啓発することも、被害の防止に当たっては効果的と考えられる。(事業主の方針等を明確化し、労働者に周知・啓発していると認められる例)
① 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を記載し、配布等すること。
なお、トップメッセージとして当該方針を広く社内に発信することも考えられる。
② 職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を労働者に対して周知・啓発するため、ロにおいて定める職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容と併せて研修、講習等を実施すること。
ロ 職場におけるカスタマーハラスメントの内容及びあらかじめ定めた職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を、管理監督者を含む労働者に周知すること。
対処の内容については、職場におけるカスタマーハラスメントが発生し、その場で労働者から管理監督者等に報告があった場合や管理監督者等が現認した場合は、当該管理監督者等が直ちに適切な対応を行うことが必要な場合もあることを踏まえ、その内容を定めること。
また、当該事業所において発生しやすい職場におけるカスタマーハラスメントの例や、商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などが職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景となり得ることを併せて周知することも考えられる。
対処の内容の例としては、次のようなものがある。
ただし、次の例は限定列挙ではなく、各事業主が、労働者の状況等の実態に応じた対処の内容を定めること。
・ 労働者から管理監督者等に直ちに報告し、その場の対応の方針について指示を仰ぐこと。
・ 可能な限り労働者を一人で対応させないこと。また、必要に応じて当該労働者に代わって管理監督者等が対応すること。
・ 顧客等とのやり取りを録音・録画すること。なお、録音・録画に当たっては個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)等を遵守し、顧客等の個人情報を適切に取り扱うこと。
・ 労働者から十分な説明を行った上で、なお繰り返しの要求が続く場合には、一定の時間の経過をもって退店を求めたり、電話を切ったりすること。
・ 暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については、警察へ通報すること。
・ 現場対応が困難な場合においては、本社・本部等へ情報共有を行い、指示を仰ぐこと。
・ 法的な手続が必要な場合には、法務部門等と連携し、弁護士へ相談すること。
(対処の内容等を定め、労働者に周知していると認められる例)
① 職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を定め、当該規定と併せて、職場におけるカスタマーハラスメントの内容を労働者に対して周知すること。
② 顧客等への対応に関するマニュアル等に、職場におけるカスタマーハラスメントの内容及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を記載し、労働者に対して周知すること。
③ 職場におけるカスタマーハラスメントの内容及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を労働者に対して周知するための研修、講習等を実施すること。
(2) 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならない。
なお、相談に対応する担当者として、労働者の上司に当たる管理監督者等を定めることも考えられる。
イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。なお、職場における他のハラスメントの相談窓口と一体的に設置をすることも考えられる。
(相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例)
① 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
② 相談に対応するための制度を設けること。
③ 外部の機関に相談への対応を委託すること。
ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害を受けた労働者(以下「被害者」という。)が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談を行った労働者(以下「相談者」という。)の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるカスタマーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるカスタマーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。例えば、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合等が考えられる。
(相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例)
① 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と関係部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
② 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。
③ 相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと。
(3) 職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならない。
イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。なお、行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)である場合には、必要に応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれる。
(事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例)
① (1)ロにおいて定める対処の内容を踏まえ、管理監督者等がその場で事実関係を確認し対応すること。
② 相談窓口の担当者、関係部門又は専門の委員会等が、相談者から事実関係を確認すること。その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。
また、必要に応じて、周囲の労働者からも事実関係を聴取したり、録音・録画等の客観的な証拠を確認したりする等の措置を講ずること。なお、録音・録画等の客観的な証拠を確認するに当たっては個人情報の保護に関する法律等を遵守し、顧客等の個人情報を適切に取り扱うこと。
加えて、必要かつ可能な場合には行為者からも事実関係を聴取することも考えられる。
③ 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第37条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。
ロ イにより、職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
① (1)ロにおいて定める対処の内容を踏まえ、事案の内容や状況に応じ、管理監督者等が被害者に代わって対応すること、被害者と行為者を引き離すこと等の措置を講ずること。
また、あわせて、暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については警察へ通報すること。
② 事案の内容や状況に応じ、行為者に対応する担当者の変更又は複数人で対応すること、被害者と行為者を引き離すための配置転換、管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。
また、あわせて、暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については警察へ通報することや、法的な手続が必要な場合には法務部門等と連携し、弁護士へ相談することも考えられる。
③ 法第37条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。
ハ 改めて職場におけるカスタマーハラスメントに関する方針を周知・啓発し、必要な場合には、職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などの改善を図る等の再発防止に向けた措置を講ずること。その際、必要に応じて、接客等における慣行の見直しなどの職場環境の改善や組織風土の見直しを行うことも考えられる。
あわせて、必要に応じて事案の内容や対応経緯を記録し、個人情報の取扱いに留意して関係部門に共有し、再発防止に活用することも考えられる。
なお、職場におけるカスタマーハラスメントに係る言動の行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)である場合には、必要に応じて、他の事業主に再発防止に向けた措置への協力を求めることも含まれる。
また、職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。
(再発防止に向けた措置を講じていると認められる例)
① 職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること。
また、職場におけるカスタマーハラスメントの発生を契機として、職場におけるカスタマーハラスメントの原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などが把握された場合には、その問題等そのものの改善を図ること。
② 労働者に対して職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を周知・啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。
また、職場におけるカスタマーハラスメントの発生を契機として、職場におけるカスタマーハラスメントの原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などが把握された場合には、その問題等そのものの改善を図ること。
(4) 職場におけるカスタマーハラスメントへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントの抑止のための措置として、労働者に対し過度な要求を繰り返すなど特に悪質と考えられるものへの対処の方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知するとともに、当該方針において定めた対処を行うことができる体制を整備しなければならない。
なお、特に悪質と考えられるものへの対処の例としては次のようなものがあるが、当該方針に記載する対処の内容を検討するに当たっては、各業法等による定めがある場合等、業種・業態等により必要な対応が異なる場合があることに留意しつつ、それぞれの状況に応じた方針を定めることが効果的である。
・ 暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については、警察へ通報すること。
・ 行為者に対して警告文を発出すること。
・ 法令の制限内において行為者に対して商品の販売、サービスの提供等をしないこと。
・ 行為者に対して店舗及び施設等への出入りを禁止すること。
・ 民事保全法(平成元年法律第91号)に基づく仮処分命令を申し立てること。
(措置を講じていると認められる例)
① (1)ロの措置を実施する際に、併せて、職場におけるカスタマーハラスメントのうち、特に悪質と考えられるものへの対処の方針を定め、労働者に対して周知すること。加えて、当該対処を講ずることができるよう、関係部門間の連携等の体制を整備すること。
(5) (1)から(4)までの措置と併せて講ずべき措置
(1)から(4)までの措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければならない。
イ 職場におけるカスタマーハラスメントに係る相談者等の情報は当該相談者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該カスタマーハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。なお、相談者等のプライバシーには、性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報も含まれるものであること。
(相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていると認められる例)
① 相談者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること。
② 相談者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
③ 相談窓口においては相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること。
ロ 法第33条第2項、第36条第2項及び第37条第2項の規定を踏まえ、労働者が職場におけるカスタマーハラスメントに関し相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたこと(以下「カスタマーハラスメントの相談等」という。)を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
(不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者にその周知・啓発することについて措置を講じていると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、カスタマーハラスメントの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、カスタマーハラスメントの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること。
5 他の事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関する協力
法第33条第3項の規定により、事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)による他の事業主の雇用する労働者に対する職場におけるカスタマーハラスメントに関し、他の事業主から、事実関係の確認等の雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、次の措置を講ずるよう努めなければならない。
(1) 事業主は、他の事業主からの協力の求めに応ずるように努めなければならない。
また、同項の規定の趣旨に鑑みれば、事業主が、他の事業主から雇用管理上の措置への協力を求められたことを理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくないものである。
(2) 事業主は、他の事業主からの協力の求めに応じて、労働者へ事実関係の確認等を行うに当たっては、これに協力した労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いを行わない旨を定め、労働者に周知・啓発することが望ましい。
加えて、事実関係の確認により、職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、事業主は、就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずることが望ましい。
6 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントを防止するため、4の措置に加え、次の取組を行うことが望ましい。
(1) 事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、次の取組を行うことが望ましい。
なお、取組を行うに当たっては、労働者が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客等への対応力の向上を図ることは、職場におけるカスタマーハラスメントの被害者になることを防止する上で重要であることや、顧客等からの社会通念上許容される範囲で行われる正当な申入れについては、職場におけるカスタマーハラスメントには該当せず、労働者が、こうした正当な申入れを踏まえて真摯に業務を遂行する意識を持つことも重要であることに留意することが必要である。
イ 労働者が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客等への対応力の向上を図るために研修等の必要な取組を行うこと。
(顧客等への対応力の向上を図るために必要な取組例)
① 接客についての研修、商品やサービスについての研修、顧客等からの苦情への対応についての研修等の実施や資料の配布等により、労働者の顧客等への対応力等の向上を図ること。
ロ 労働者が顧客等への理解を深めるために必要な取組を行うこと。
(労働者が顧客等への理解を深めるための取組例)
① 消費者の心理や障害特性等についての資料の配布や研修等の実施により、労働者の顧客等への理解を深めること。なお、障害特性に応じた対応については、4に記載した対応指針等を参考にすることが考えられる。
(2) 事業主は、4の措置を講じる際に、必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めることが重要である。なお、労働者や労働組合等の参画を得る方法として、例えば、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第18条第1項に規定する衛生委員会の活用なども考えられる。
(3) 職場におけるカスタマーハラスメントは、業種・業態等によりその被害の実態や必要な対応も異なると考えられることから、業種・業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進めることも、被害の防止に当たっては重要である。また、同じ業種・業態等の複数の事業主が一体となって取組を行うことも考えられる。
(4) 労働者が取引の相手方に対して職場におけるカスタマーハラスメントに係る言動を行う場合もあることから、3のとおり、事業主及び労働者の責務として、事業主は、当該事業主が雇用する労働者が、他の事業主が雇用する労働者に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働者も、他の事業主が雇用する労働者に対する言動について必要な注意を払うよう努めなければならず、こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、4(1)イの職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針の明確化等を行う際に、他の事業主が雇用する労働者に対する言動について、職場におけるカスタマーハラスメントを行ってはならない旨の方針を併せて示すことが望ましい。
7 事業主が職場において行われる自らの雇用する労働者以外の者に対する顧客等の言動に関し行うことが望ましい取組の内容
事業主は、4(1)イの職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針の明確化等を行う際に、職場における当該事業主が雇用する労働者以外の者(他の事業主が雇用する労働者及び個人事業主等の労働者以外の者)に対する顧客等の言動についても、同様の方針を併せて示すことが望ましい。
また、これらの者から職場におけるカスタマーハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
○厚労省報告書付録十一号
厚生労働省総合政策局男女共同参画室長通知「職場におけるセクシュアルハラスメント対策の推進」(平成十三年三月二十三日) 第十三条第三項の規定に基づく、事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針
この指針は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号。以下「法」という。)第十三条第一項及び第二項に規定する事業主が求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動(以下「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」という。)により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう雇用管理上講ずべき措置等について、同条第三項の規定に基づき事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものである。
令和八年二月二十六日
付則第十二号
厚生労働大臣 上野賢一郎
事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針
1 はじめに
この指針は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「法」という。)第13条第1項及び第2項に規定する事業主が求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動(以下「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」という。)により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう雇用管理上講ずべき措置等について、同条第3項の規定に基づき事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものである。
2 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容
(1) 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントは、事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものをいう。
なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるものである。また、被害を受けた者の性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、当該者に対する求職活動等におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである。
(2) 「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、例えば以下のものが含まれる。なお、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれる。また、事業主が雇用する労働者が通常就業している場所で行われるものに限らない。
(求職活動等の例)
・企業の採用面接への参加
・企業の就職説明会への参加
・企業の雇用する労働者への訪問
・インターンシップへの参加
・教育実習、看護実習等の実習の受講
(3) 「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者の全てをいう。
また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者についても、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の2の規定により、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、法第13条第1項及び第14条第2項の規定が適用されることから、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様に、3(1)の配慮及び4の措置を講ずることが必要である。なお、法第13条第2項、第23条第2項及び第24条第2項の労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労働者も対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、当該者による求職者等からの相談への対応に派遣労働者が協力した際に事実を述べたこと等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣労働者に対する不利益な取扱いを行ってはならない。
(4) 「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。
また、当該言動を行う者には、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)も想定されるため、これらの者による「性的な言動」についても必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
(5) 「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる求職者等の意に反する性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害され、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該求職者等が求職活動等を行う上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがある。
イ 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
ロ 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
ハ 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
ニ 面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛に感じてその求職活動の意欲が低下していること。
ホ 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
ヘ インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
3 事業主等の責務
(1) 事業主の責務
法第14条第2項の規定により、事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならないことその他求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに起因する問題(以下「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が求職者等に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければならない。なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに起因する問題としては、例えば、求職者等の健康状態の悪化や、求職活動等の停止などにつながり得ることが考えられ、また、事業主が社会的信用を失うことなどの経営的な損失等が考えられる。
また、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、求職活動等におけるセクシュアルハラスメント問題に対する関心と理解を深め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
(2) 労働者の責務
法第14条第4項の規定により、労働者は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメント問題に対する関心と理解を深め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる4の措置に協力するように努めなければならない。
4 事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容
事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならない。
(1) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する方針の明確化、労働者及び求職者等に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならない。
なお、周知・啓発をするに当たっては、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。その際、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。
イ 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容及び求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(事業主の方針等を明確化し、労働者に周知・啓発していると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を規定し、当該規定と併せて、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となり得ることを、労働者に周知・啓発すること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となり得ること並びに求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を記載し、配布等すること。
③ 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景となり得ること並びに求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
ロ 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(対処方針を定め、労働者に周知・啓発していると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。
② 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること。
ハ 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、これを労働者及び求職者等に周知・啓発すること。
(求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発している例)
① 労働者に対しては、面談時間及び場所の指定、実施体制並びにやり取りに用いるSNSの種類の指定その他の求職者等と面談等を行う際の規則を定め、周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
また、求職者等に対しては、上記規則を踏まえ、面談等に関する留意事項をホームページやパンフレット等の広報手段を用いて周知等すること。
なお、労働者に対する周知・啓発に当たっては、2(2)の求職活動等以外の場面においても求職者等に対する言動に必要な注意を払うよう、併せて周知することも考えられる。
(2) 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、求職者等からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならない。
イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、求職者等に周知すること。
なお、求職者等は人事担当者への相談をためらうことも想定されることから、相談窓口の担当者として人事担当者以外の者を指定することも考えられる。
(相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例)
① 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
② 相談に対応するための制度を設けること。
③ 外部の機関に相談への対応を委託すること。
(求職者等に周知していると認められる例)
① 求職者等に対し、パンフレット、ホームページ等によって、相談窓口を周知すること。
ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害を受けた求職者等(以下「被害者」という。)が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談を行った求職者等(以下「相談者」という。)の心身の状況や該当言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。例えば、放置すれば求職活動等を阻害するおそれがある場合や、性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクシュアルハラスメントが生じるおそれがある場合等が考えられる。
(相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例)
① 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
② 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。
③ 相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと。
(3) 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならない。
イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例)
① 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談者及びセクシュアルハラスメントに係る性的な言動の行為者とされる者(以下「行為者」という。)の双方から事実関係を確認すること。その際、相談者の心身の状況や該当言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること。
② 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第24条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。
ロ イにより、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
① 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者を引き離すための対応、行為者の謝罪、又は人事担当者による被害者への相談対応等の措置を講ずること。
ハ イにより、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。あわせて、事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者を引き離すための対応、行為者の謝罪等の措置を講ずること。
② 法第24条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対して講ずること。
ニ 改めて求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。
なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。
(再発防止に向けた措置を講じていると認められる例)
① 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針及び求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること。
② 労働者に対して求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。
(4) (1)から(3)までの措置と併せて講ずべき措置
(1)から(3)までの措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければならない。
イ 求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該セクシュアルハラスメントに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること。
(相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていると認められる例)
① 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること。
② 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
③ 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、社内に配布及び社外に発信等すること。
ロ 法第13条第2項、第23条第2項及び第24条第2項の規定を踏まえ、労働者が事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたこと(以下「求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する事実関係の確認等」という。)を理由とし
て、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
(不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者にその周知・啓発することについて措置を講じていると認められる例)
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する事実関係の確認等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する事実関係の確認等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること。
5 事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容
事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、4の措置に加え、次の取組を行うことが望ましい。
(1) 求職活動等を行う大学生や専門学校生が所属する教育機関が設置する相談窓口の担当者等の求職者等の関係者から求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談に関する情報提供があった場合には、連携し、適切な対応を行うことが望ましい。
(2) 事業主は、求職者等から、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者による求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
6 事業主が求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関し行うことが望ましい取組の内容
(1) 3の事業主及び労働者の責務の趣旨に関連し、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為、求職活動等における妊娠、出産等に関するハラスメントに類する行為及び求職活動等における育児休業等に関するハラスメントに類する行為(以下「求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等」という。)について、事業主は、当該事業主が雇用する労働者の求職者等に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働者も、求職者等に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましい。
こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、4(1)イの求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等についても、同様の方針を併せて示すことが望ましい。
また、求職者等から、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
その際、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)2(7)に規定される職場におけるパワーハラスメントに該当すると考えられる例を踏まえ、求職者等の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動を行うこと、求職者等の性的指向・ジェンダーアイデンティティ等の機微な個人情報について、当該求職者等の了解を得ずに他の者に暴露すること又は当該求職者等が開示することを強要する若しくは禁止すること等についても、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
(2) 事業主は、求職者等から、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者による求職活動等におけるカスタマーハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。
| 改 | 正 | 前 |
| 2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容 (1) 職場におけるセクシュアルハラスメントには、職場において行われる性的な言動に対する 労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(以下「対価型セ クシュアルハラスメント」という。)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害される もの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」という。)がある。 なお、職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるもので ある。また、被害を受けた者の性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、当 該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである。 (2) (略) (3) 「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等 いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者の全てをいう。 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受け る者についても、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 (昭和60年法律第88号)第47条の2の規定により、その指揮命令の下に労働させる派遣労働 者を雇用する事業主とみなされ、法第11条第1項及び第12条第2項の規定が適用されること から、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と 同様に、3(1)の配慮及び4の措置を講ずることが必要である。なお、法第11条第2項、第23 条第2項及び第24条第2項の労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労働者 も対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける 者もまた、当該者に派遣労働者が職場におけるセクシュアルハラスメントの相談を行ったこ と等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣労働 者に対する不利益な取扱いを行ってはならない。 (4)~(6) (略) 3 事業主等の責務 (1) 事業主の責務 法第12条第2項の規定により、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントを行っ てはならないことその他職場におけるセクシュアルハラスメントに起因する問題(以下「セ クシュアルハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深める とともに、当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。以下 同じ。)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、 国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努めなければな | 2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容 (1) 職場におけるセクシュアルハラスメントには、職場において行われる性的な言動に対する 労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(以下「対価型セ クシュアルハラスメント」という。)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害される もの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」という。)がある。 なお、職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるもので ある。また、被害を受けた者(以下「被害者」という。)の性的指向又は性自認にかかわらず、 当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである。 (2) (略) (3) 「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等 いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者の全てをいう。 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受け る者についても、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 (昭和60年法律第88号)第47条の2の規定により、その指揮命令の下に労働させる派遣労働 者を雇用する事業主とみなされ、法第11条第1項及び第11条の2第2項の規定が適用される ことから、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働 者と同様に、3(1)の配慮及び4の措置を講ずることが必要である。なお、法第11条第2項、 第17条第2項及び第18条第2項の労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労 働者も対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受 ける者もまた、当該者に派遣労働者が職場におけるセクシュアルハラスメントの相談を行っ たこと等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣 労働者に対する不利益な取扱いを行ってはならない。 (4)~(6) (略) 3 事業主等の責務 (1) 事業主の責務 法第11条の2第2項の規定により、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントを 行ってはならないことその他職場におけるセクシュアルハラスメントに起因する問題(以下 「セクシュアルハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深 めるとともに、当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。 (2)において同じ。)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮を するほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努め |
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