その他令和8年8月3日

国土強靭化基本計画(中部圏の現状と課題)

掲載日
令和8年8月3日
号種
号外
原文ページ
p.31
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抽出された基本情報
発行機関国土交通省

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国土強靭化基本計画(中部圏の現状と課題)

令和8年8月3日|p.31|原文を見る

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第1部第2章 中部圏の現状と課題
第1節 中部圏の現状
中部圏は、国土のほぼ中央、首都圏と近畿圏の中間に位置した我が国第3の大都市圏であり、東海地方、北陸地方等相互間の産業経済等の関係の緊密化を促進するとともに、首都圏と近畿圏の中間に位する地域としての機能を高め、我が国の産業経済等において重要な地位を占めるにふさわしい中部圏の建設とその均衡ある発展を図ることが必要な地域である。
中部5県の各都市は、街道筋の陸路や尾州廻船の海路から発展し、交通の利便性や地域の特色をいかしつつ、ものづくりを軸に発展を遂げ、国際的な拠点都市を目指す名古屋を始め、静岡県から愛知県、三重県沿岸の太平洋ベルト地帯を中心に製造業に特化した産業都市が複数形成され、人口10万人以上の都市が分散し、それぞれの都市が地域の核となり周辺地域をけん引する多極分散型の地域構造を形成している。
また、その背後には、伝統文化や技術、歴史の趣を醸し出す地域、自然資源に秀でた地域など、多種多様な特徴を有する地域が広く分布し、それぞれの地域の核となる都市や周辺地域が、生活や産業、観光等多様な面で重層的につながる地域構造を形成している。
さらに、中部圏の日本海側は、豊かで多様な自然環境と共生し、優れた生活環境と日本海側有数の産業集積を有するとともに、歴史・文化面、産業面及び学術面等でそれぞれの特徴を持つ富山市、金沢市及び福井市とこれらに連なる都市とが接続することで、多様な個性を併せ持つ確固たるまとまりのある圏域を形成している。また、東京圏、名古屋圏及び大阪圏の三大都市圏のいずれからも300km圏内にあり、日本列島のほぼ中央に位置しているほか、東アジアと日本海を挟んで対面しており、三大都市圏と環日本海諸国を始めとする東アジアとを結ぶ、地政学上重要な位置にある。
今後、リニア中央新幹線の品川・名古屋間の開業により、東京と名古屋が約40分で結ばれ、さらに大阪までの全線開業で三大都市圏が約1時間で結ばれることで世界に類を見ない魅力的な経済集積圏の形成が期待される。
中部圏の役割は、我が国の地域開発計画について助言するために昭和39年4月に来日したワイズマン国連調査団によっても注目され、その報告書において「関東と近畿を結ぶ東西の強力な流れの中間にある中部において、南北の流れを創り出し、各地域の均衡のとれた発展を図るべきこと」が勧告された。
これを契機として地方政財界、学界等を中心として中部圏の開発と整備に関する立法措置を要請する声が高まり、昭和41年7月、「中部圏の開発整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、東海地方、北陸地方等相互間の産業経済等の関係の緊密化を促進するとともに、中部圏の建設とその均衡ある発展を図り、あわせて社会福祉の向上に寄与することを目的」として中部圏開発整備法が制定された。
第2節 中部圏の課題
1. 南海トラフ地震等の切迫性
首都直下地震や南海トラフ地震が発生すると、首都圏や中部圏、近畿圏の太平洋側の人口・産業の集積地域に甚大な被害が想定されるとともに、長期間の経済活動の停滞が危惧されている。中部圏太平洋側は、大きな被害を受けることが想定されており、特に沿岸部や半島部では、津波や地震の揺れによる家屋倒壊、液状化等の影響の長期化が懸念され、内陸部に比べて人的被害が大きくなる可能性がある。
2. 自然災害等の激甚化・頻発化、脅威の深刻化
中部圏は、洪水や土砂災害、地震(震度被害・液状化被害)、津波に係る災害リスクを抱えているうえ、今後、気候変動により、自然災害等が更に激甚化・頻発化していくことを踏まえ、対策を進める必要がある。また、富士山噴火などの大規模な火山噴火が発生した場合は、広範にわたり甚大な被害が長期に及ぶことが懸念される。
3. 人口減少、少子化・高齢化の進行等
中部5県の人口減少率は全国に比べて緩やかな傾向で推移していたが、直近では全国の減少率を上回っている。さらに、高齢人口の増加と生産年齢人口の減少による地域活力の低下、医療・介護需要の増大による人材や施設の不足等が危惧されている。
今後は、人材・担い手の不足が深刻化することが懸念されるほか、老朽化や損傷が進む我が国のインフラの適切な維持管理が困難になることが予想されている。
4. 厳しい環境下の地域公共交通
地域公共交通は、通勤・通学・買い物・医療等地域の人々の生活を支える重要なインフラでありながら、利用者数は長期的な減少傾向にあり、将来に向けたサービスの確保が課題となっている。
5. 若者・女性の圏外転出
名古屋圏から東京圏への転出者数は、東京圏から名古屋圏への転入者数を大きく上回っており、近年で転出者数が少なかった2011年と比べると2023年にかけて男女ともに転出者数は大きく増加している。
6. ものづくり産業の競争環境の変化
中部圏のものづくり産業が激しい国際競争に打ち勝っていくためには、品質力や商品開発力等を更に高めていくことに加え、製品の高付加価値化や新たな販路の開拓などの対応が求められる。また、海外に移転していた日本企業の国内回帰の動きを的確に取り込む工業団地や物流拠点及びそれらを結ぶ交通ネットワークなどの産業基盤の強化が求められる。
7. リニア中央新幹線をいかす「陸・海・空」高速交通ネットワークの一体的整備
中部圏が持続的発展を遂げていくためには、リニア中央新幹線の早期整備とともに、リニア中央新幹線と有機的につながる陸・海・空の高速交通ネットワークの拡充や一体的な整備を図り、リニア中央新幹線がもたらす時間短縮効果を中部圏の広域、さらには我が国全体に波及させていくことが重要である。
8. 訪日外国人対応や観光産業の生産性向上
中部5県における延べ宿泊者数は新型コロナウイルス感染症の拡大により減少し、2022年以降は回復傾向にあるものの首都圏・近畿圏と比較して遅れている。一方で、観光客が集中する一部の地域や時間帯等においては、地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念が生じている。さらに、観光関連産業の「稼げる」産業への変革が求められている。
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国土強靭化基本計画(中部圏の現状と課題) - 第31頁
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