その他令和8年8月3日

近畿圏の課題:人口減少、相対的地位の低下、自然災害リスク等

掲載日
令和8年8月3日
号種
号外
原文ページ
p.23
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近畿圏の課題:人口減少、相対的地位の低下、自然災害リスク等

令和8年8月3日|p.23|原文を見る

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第2節 近畿圏の課題
1. 本格的な人口減少社会の到来と急激な高齢化の進展
全国的に人口減少が進む中、関西の人口減少は今後も更に進行することが見込まれている。2020年を1.0とした2050年の将来推計人口の指標※6では、関東0.925※7、中部0.819※8に対して、関西※9は0.803となっており、三大都市圏で最も人口減少が大きい地域となっている。
人口減少とともに高齢化も急速に進行しており、これに伴い、医療・介護・福祉需要の増加や高齢運転者の増加が見込まれる。医療・介護・福祉については、高齢者を含む全世代での人口減が見込まれる地域では、需要の減退に対応したこれらのサービス供給の維持、高齢者の増加が見込まれる地域では、増大するこれらのサービス需要の担い手不足といった課題などが生じる可能性がある。
大阪圏は、近年、都市部であっても生産年齢人口は減少しており、生産年齢人口の減少率は、三大都市圏で最も高い※10。関西※9のDID※11を有する市町村においても、2050年には総人口のピークであった2010年から約420万人減少し約830万人になると見込まれている※12。
大阪圏の人口に関する社会増減として、年齢階層別の2021~2025年(年平均)の移動状況をみると、20~39歳が転出超過で労働力人口が流出しており、特に20歳代の転出超過が顕著であるのに対し、東京圏は15~34歳が大幅な転入超過となっている※13。若者が就職を機に東京圏へ流出していることが伺える。
2. 関西の相対的地位の低下
関西は、次世代産業であるバイオ・ライフサイエンス産業やロボット産業、コンテンツ産業等が集積しており、産学官が身近な環境にあり、多様な文化・多様な人材・多様な産業が定着している。第二次産業では、関西は医薬品産業が盛んであり、医薬品製造業の製造品出荷額等の地域別シェアをみると、関西※9(全国シェア25%)は関東※7(全国シェア21%)と同じ水準である※14。
1990年から2022年までの関西における域内総生産の伸び率は、関東、中部より鈍く※15、中部との差は縮小し、関東との経済規模の格差が拡大している。日本経済全体の国際経済における相対的地位の低下との二重の意味で、関西の相対的地位の低下はより深刻さを増している。また、大企業の圏域外への移転、ベンチャーキャピタルが伸びないことも課題であり、グローバル化の面でも、関西は東京都下に大きく差をつけられている状況にあることが外国法人の在日拠点数、国際会議の誘致※16といった観点から伺える。
東京都、名古屋市及び大阪市を結ぶリニア中央新幹線については、国家的見地に立ったプロジェクトであり、東京・名古屋間の開業に向けて、東海旅客鉄道株式会社により整備が進められている段階であり、2025年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」においては、「財政投融資による支援を踏まえ、全線開業に係る現行の想定時期の下、環境・水資源の状況等を厳格にモニタリングし、必要な指導や技術的支援を行うとともに、沿線自治体と連携して、全線開業に向けた環境整備を行う」ことが明記された。
一方、リニア中央新幹線の東京・名古屋間の先行開業により東京・名古屋間の所要時間が、大阪・名古屋間の所要時間より短時間となるため、関西の経済界・地方公共団体等は「関西が取り残されるのでは」という危機感を持っている。
また、リニア中央新幹線の全線開業により、東京・大阪間が約1時間で結ばれることになれば、関東から大阪・関西を包含する巨大経済圏が生まれることになる一方で、それぞれの地域が個々の強みをいかした都市力を強化しなければ、地方が埋没することにもなりかねない。
東京都、大阪市を結ぶ北陸新幹線については、2015年に金沢まで、2024年3月16日には敦賀まで延伸した。2015年の金沢開業による北陸・関東間のアクセス向上により、古くから関西とつながりの強い北陸の学生の進学先や人の流れが関東へシフトしているとの指摘がなされており、敦賀開業により、関西の経済界・地方公共団体等は「これが加速するのでは」と懸念している。
3. 外国人観光客の急激な増加
訪日外国人旅行者数や関西国際空港の国際線旅客便発着回数、外国船社のクルーズ船の寄港回数等は、コロナ禍後、回復傾向にあり、今後も更に増加することが見込まれる。一方で、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、公共交通機関の混雑等による地域住民の生活への影響、旅行者の満足度の低下への懸念も生じており、適切な対処が必要となっている※17。
4. ポテンシャルをいかし切れていない京阪神大都市圏
関西は都市拠点が分散し、関東や中部と比べて、多核型の圏域構造となっており、各都市がプライドを持って個性豊かな都市を構築している。
京阪神大都市圏内は鉄道網が整備され、圏域内外を結ぶ高規格道路、新幹線、空港、港湾等の交通基盤が充実している。一方で、高規格道路の未整備区間の存在や交通容量の不足に伴う渋滞、さらに国際基幹航路の寄港回数減少等の課題もある。
関西の強みとして、医療サービスが充実していること、関東と比較して職住近接の住宅を確保することが比較的容易であること等が挙げられる。一方で、密集市街地の残存※18、緑地の減少、ヒートアイランド現象の発生、低密度な市街地が拡散する傾向にあること等の課題がある。
また、関西は教育環境も充実している一方で、一般的に就職時にあたる20歳代前半の層においては、トータルでは約3千人の転出超過となっている※13。今後、京阪神大都市圏のポテンシャルを更に強化し、誰もが「働きやすい」環境を整備し、今以上に若者を惹きつけていくことが課題である。
5. 地方都市の活力低下と農山漁村の集落機能の低下
京阪神大都市圏以外の関西の多くの地方都市は、人口の減少や少子高齢化、中心市街地の空洞化、低・未利用地・空き家の増加が進んでおり、官民サービスの維持、住民が安心して暮らし続けられる地域づくりなど、重要な課題が顕在化している。
また、農林水産業の分野において、担い手の減少、高齢化の進行や気候変動による生産減少等が課題であり、食料などの安定供給と農林水産業の成長産業化が必要である。
6. ライフスタイルの多様化
テレワーク人口の拡大※19、ライフステージにとらわれず働き続ける方々が増えてきており、働き方の多様化が見られる。ライフスタイルの多様性に対応するため、結婚、子育て、就業、転居等様々なライフステージでのニーズを実現しやすい環境整備が求められている。
7. 関西を脅かす自然災害リスクと社会資本の老朽化
南海トラフ地震の発生※20が危惧されており、発生時には紀伊半島沿岸部を中心に、激甚な被害の発生が想定されているほか、関西には多数の活断層もあり、中でも大阪府域を縦断する上町断層帯で地震が発生した場合には、大阪都心部を中心に激甚な被害の発生が想定されている。また、台風を始めとする風水害、土砂災害も過去に多数発生している。大阪平野の多くは海抜ゼロメートル地帯で都心部は地下街も多く、水害リスクへの対応も課題である。
近年増加傾向にある自然災害を想定して、ハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策が必要である。
高度経済成長期に集中的に整備された社会資本は、今後加速度的に老朽化することが懸念されている。厳しい財政状況の下で戦略的かつ適切な維持管理・更新を進めること、インフラの維持管理に携わる地方公共団体の担い手不足への対応が課題となっている。
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近畿圏の課題:人口減少、相対的地位の低下、自然災害リスク等 - 第23頁
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