その他令和8年7月30日
高齢者に関わる食育の推進等に関する基本方針(抜粋)
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高齢者に関わる食育の推進等に関する基本方針(抜粋)
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(高齢者に関わる食育の推進)
高齢者には、オーラルフレイル等の咀嚼能力の低下や、消化・吸収率の低下、運動量の低下に伴う摂取量の低下等の課題がある。特に、これらは個人差が大きく、高齢者の多くが何らかの疾患を有しているという特徴が挙げられることから、年齢だけでなく、個人の状態に応じた取組を推進することが重要である。
健康寿命の延伸に向けて、高齢者に対する食育の推進においては、個々の高齢者の特性に応じて生活の質(QOL)の向上が図られるように食育を推進する必要がある。また、増大する在宅療養者に対する食事支援等、地域における栄養ケアサービスの需要増大に対応できるよう、管理栄養士の人材確保等に取り組む。
くわえて、高齢者の孤食に対応するため、他の世代との交流も含めた地域ぐるみの様々な取組が促進されるよう、優良事例の紹介等の情報提供を行う。
さらに、地域の共食の場等を活用した、適切な栄養管理に基づく健康支援型配食サービスを推進し、地域高齢者の低栄養・フレイル予防にも資する、効果的・効率的な健康支援につなげる。
(歯科保健活動における食育推進)
健康寿命の延伸には、健全な食生活が大切であり、よく噛んでおいしく食べるためには口腔機能が十分に発達し維持されることが重要である。このため、歯科口腔保健の推進に関する法律に基づき歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)(歯・口腔の健康づくりプラン)を策定し、摂食・えん下等の口腔機能について、ライフステージごとの特性及びライフコースアプローチを踏まえた、乳幼児期における機能獲得から高齢期における機能の維持・向上等、生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを通じた食育を推進している。その指標として、12歳児でう蝕のない者の割合が90%以上の都道府県数、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合、さらには50歳以上における咀嚼良好者の割合等を設定している。
具体的には、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目的とした「8020(ハチマル・ニイマル)運動」の推進等による良好な歯の保持に向けた取組だけでなく、生涯を通じて「よく噛んでおいしく食べる」ための口腔機能管理等の推進がより重要であることから、ひとくち30回以上噛むことを目標とした「嚙ミング30(カミングサンマル)」等の取組を推進してきている。その成果も見られ、現在では80歳で20本以上の歯を保つ高齢者は約6割に達している。乳幼児期から高齢期までの各ライフステージに応じた口腔機能の獲得・維持・向上に向けた「口腔健康管理」の取組等、地域における歯と口腔の健康づくりのための食育を、関連する分野とも連携しながら一層推進する。
(専門的知識を有する人材の養成・活用)
国民一人一人が食に関する知識を持ち、自らこれを実践できるようにするためには、食育に関し、食と文化や社会、環境との関係も含め、食を取り巻く状況の変化等の時代に即した専門知識を備えた管理栄養士、栄養士、調理師、専門調理師等の活躍が期待される。こうした専門職の養成を担う大学、短期大学、専門学校等の役割は重要であり、食材の価値を高めることや食材の生産と消費をつなぐことを含め、食育の推進に向けてその多面的な活動が推進されるよう卒前、卒後教育に取り組む。
また、地域において、食育の推進が着実に図られるように、都道府県や市町村における管理栄養士等の配置を推進するとともに、高度な専門性を発揮できる管理栄養士の育成を図る。
あわせて、食生活に関する生活習慣と疾患の関連等、医学教育の充実を推進するとともに、適切な食事指導、ライフステージに応じた食育の推進等、歯学教育の充実を図る。
(貧困等の状況にある子供に対する食育の推進)
こども大綱に基づき、貧困の状況にある子供・若者や子育て当事者が社会的孤立に陥ることのないようフードバンクやこども食堂等と連携し、朝食を含む子供の食事・栄養状態の確保、食育の推進に関する支援を行う。
また、多様かつ複合的な困難に直面している子供たちに対し、既存の福祉・教育施設に加え、地域にある多様な場所を活用して、安心安全で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所を設けるなどの取組を通じて、支援を必要とする子供を早期に発見し、行政等の適切な支援につなげる仕組みをつくることにより、子供に対する地域の支援体制を強化する。
さらに、「こどもの未来応援国民運動」において、民間資金による基金の活用等を通じて、貧困の状況にある子供たちに食事の提供等を行うこども食堂等を含むNPO等に対して支援等を行う。
くわえて、経済的に困難な家庭への食品等の提供や子供の居宅を訪問するなどして子供の状況把握・食事の提供等を行う、こども宅食等の取組に関する支援を実施する。
(地域における共食の推進)
高齢者の一人暮らしやひとり親世帯等が増えるなど、家庭環境や生活の多様化により、家族との共食が難しい場合があることから、地域において様々な世代と共食する機会を持つことは、食の楽しさを実感するだけでなく、食や生活に関する基礎を伝え習得する観点からも重要である。
このため、食育推進等の観点から、地域における共食の意義や効果を発信するとともに、こども食堂や通いの場等、地域での様々な共食の場づくりの支援等を通じて、地域での共食を希望する人が安心して参加できる環境づくりを進めるため、国及び地方公共団体は必要な情報提供及び支援を行う。
(災害時等に備えた食育の推進)
近年、頻度を増す大規模災害等に備え、防災知識の普及は重要である。
国の物資支援による食品の提供や、地方公共団体、民間企業等における食品の備蓄に加え、家庭での取組も重要であり、普及啓発を推進する。
また、家庭においては、水、熱源、主食・副菜となる食品等を最低でも3日分、できれば1週間分程度備蓄する取組を推進する。主に災害時に使用する非常食のほか、ローリングストック(普段の食品を少し多めに買い置きし、消費した分を補充する方法)による日常の食品の備蓄を行い、各家庭に合った備えをするよう情報発信を行う。特に、災害時には、物流機能が停滞する可能性もあることから、高齢者をはじめ、食べる機能が弱くなった方、食物アレルギーを有する方等に配慮した食品を備えておくことが重要である。
くわえて、栄養バランスへの配慮や備蓄方法等、災害時の食の備えの重要性について、家庭のみならず、学校教育の現場、食品小売店等においても、必要な知識の普及啓発を推進する。
さらに、災害時等に食料の供給が不足する又はおそれのある場合に、消費者の不安による過度な買いだめや買い急ぎが発生することを防止することが必要である。そのため、消費者が特定の情報に依拠して極端な購買行動を行わないよう、過度な買いだめの防止の呼び掛けを積極的に行う。
地方公共団体は、被災者が災害発生時も健全な食生活を実践できるよう、家庭における食品の備蓄について普及啓発を行うほか、災害時の栄養・食生活支援に関して、その体制や要配慮者への支援体制等に関する地域防災計画への記載やマニュアルの整備等を通じ、関係者が共通の理解の下で取り組めるよう努める。
4. 食育推進運動の展開
(1)現状と今後の方向性
食育の推進に当たっては、今後とも国、地方公共団体、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者、ボランティア等、食育に係る多様な関係者や食育に新たな広がりをもたらす多方面の分野の関係者が主体的かつ多様に連携・協働して、多様な食育推進運動を国民的な広がりを持つ運動として全国的に展開していく必要がある。食育基本法の制定から約20年が経過し、「食育に関心を
(2) 取り組むべき施策
国は以下の施策に取り組むとともに、地方公共団体等はその推進に努める。
(食育に関する国民の理解の増進)
食や農林漁業をめぐる諸課題や食育の意義・必要性等について広く国民の理解を深め、あらゆ
る世代や様々な立場の国民が、自ら食育に関する活動を実践できるよう、ライフステージに応じ
た具体的な実践や活動を提示するなど効果的な情報提供の実施等により、国民の理解の増進を図
り、全国において継続的に食育推進運動を展開する。特に、食料安全保障をめぐる国内外の状況
等や食の実施に関する科学的根拠等を踏まえた情報発信を実施することに留意する。
また、年代、性別、就業や食生活の状況等に応じて国民の多様なニーズや特性を分析、把握し
た上で類型化し、それぞれの類型に適した具体的な推進方策を検討し、実施するとともに、地方
公共団体、関係団体、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者、ボランティア等、食育関係者
による国民の多様なニーズに対応した取組や関連する分野(消費者向けの情報発信・教育等)と
連携した取組を支援する。
その際、世代区分やその置かれた生活環境、健康状態等によっても必要な情報が異なる場合が
あることに配慮するとともに、各種広報媒体等を通じて提供される食に関する様々な情報に過剰
に反応することなく、国内外の科学的知見や伝統的な知恵に基づき、的確な判断をすることが重
要であるとの認識が国民に十分理解されるよう留意しつつ取り組むこととする。
(ボランティア活動等民間の取組への支援、表彰等)
食育を国民に適切に浸透させていくために、国民の生活に密着した活動を行っているボラン
ティア活動の活発化とその成果の向上に向けた環境の整備を図り、地域での食育推進の中核的役
割を担うことができるよう支援する。
その際、食生活改善推進員をはじめ、各種ボランティアの草の根活動としての食育活動を、学
校等との連携にも配慮して促進する。また、「農林漁業教育」等の実践に関わる地域人材の掘り起
こし・活用に加えて、食や食育に関するセミナーの開催等を通じて、食育の推進に携わる人材等
の育成を図るとともに、食育に関する民間資格を有する者等の食育活動への積極的な参加を促進
する。
また、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者、ボランティア等の食育関係者が自発的に行
う活動が全国で展開されるよう、関係者間の情報共有を促進するとともに、優れた活動を奨励す
るため、民間等の食育活動に対する表彰を行う。
(食育推進運動の展開における連携・協働体制の確立)
食育推進運動の展開に当たっては、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者、ボランティア
等、食育に係る多様な関係者による主体的な取組を促すとともに、国や地方公共団体も含めた関
係者による広範かつ横断的な連携・協働を呼びかけ、関係者相互間の情報及び意見の交換が促進
されるように実施する。また、文化や観光、環境、スポーツ等、様々な分野との協働等による食
育に関する取組の拡大を促進する。
また、国民にとって身近な地域において、新たな食育の推進が図られるよう、地方公共団体の
食育推進会議の設置・活性化や、地方公共団体内の保健部局や教育部局、農業・食品産業振興部
局等の緊密な連携、食育推進計画における地域の地産地消に関する目標や本計画を踏まえた目標
の設定、地域の関係者の協力による取組等を推進する。
さらに、地方公共団体等の食育推進計画の作成や取組が促進されるよう、食育推進基本計画の
食育推進計画への反映状況や市町村別の食育の取組状況の見える化を実施する。
(食育月間及び食育の日の取組の充実)
毎年6月を「食育月間」と定め、関係者の緊密な連携・協働を図りつつ、食育推進運動を重点
的かつ効果的に実施することにより、国民の食育に対する理解を深め、食育推進活動への積極的
な参加を促し、その一層の充実と定着を図る。また、地方公共団体等が実施する食育に関連する
月間やイベント等の運動等と連携して食育推進運動を実施する。
特に、「食育月間」中を基本として、国は、地方公共団体、民間団体等の協力を得て、全国規模
の中核的行事を毎年開催し、食育について国民への直接的な理解促進を図るとともに、関係者相
互間の連携が推進されるよう実施する。
「食育月間」の実施に当たって、食育推進を担当する大臣は、同月間で重点的に実施していく
テーマ等を示した実施要綱をあらかじめ定め、関係機関、団体等に通知するとともに公表する。
また、一年を通じて継続的に食育推進運動を展開するため、毎月19日を「食育の日」と定め、「食
育の日」の取組を活性化させるため、それぞれの取組主体が「家族そろって食卓を囲む」等のテー
マを設定するなど創意工夫の上、実践的なものになるよう十分配慮しつつ取り組む。
(食育推進運動に資する情報の提供)
様々な分野での食育を推進し、全国的な運動として、全国各地において食育推進運動を促進す
るため、食育を推進して成果を挙げている地域の事例や手法を集約・見える化し、広く情報提
供するほか、官民連携食育プラットフォームによる取組や各種SNS等も活用した情報発信を行
う。
また、「スマート・ライフ・プロジェクト」において、生活習慣病予防の啓発活動や、健康寿命
を延ばすことを目的とする、優れた取組を行っている企業・団体・地方公共団体を表彰する。
(デジタル技術を活用した食育の推進)
デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術の活用による社会の変革)が一層進展する
中で、SNSの活用やインターネット上でのイベント開催及び動画配信、オンラインでの非接触
型の食育の展開等を推進する。
また、個人がいつでも手軽に使え、健全な食生活を実践する意欲を高め、自らの食生活の状況
の把握や改善等につながる食育に関する優れたアプリ等の情報提供を行い、国民の行動変容を促
す。
5. 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等
(1) 現状と今後の方向性
食育の推進により、食を生み出す場としての農林漁業に関する理解を深めることが重要であり、
「食」と「農林水産業」のつながりの深化を図り、農山漁村の活性化や食料自給率の向上その他
の食料安全保障の確保に資することが求められている。また、食料・農業・農村基本法第14条に
おいても、食料システムの一員である消費者の役割として、農業等への理解を深めるとともに、
消費に際して食料の持続的な供給に資する物の選択に努めることによって、食料の持続的な供給
に寄与しつつ、食料の消費生活の向上に積極的な役割を果たすことが求められている。
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