(3)観光旅客の来訪及び滞在の促進
滞在交流型観光の振興のためには、二泊三日以上の滞在を可能とする観光旅客の具体的
な動線及び観光圏の区域内の魅力的な空間の形成に留意しつつ、観光旅客の滞在の拠点と
なる主たる滞在促進地区を中核として、以下に掲げる事項を一体的かつ有機的に提供する
ことを通じて、観光圏の区域内における滞在・周遊を促進し、観光旅客のリピーターを確
保することが重要である。
このような観点から、観光旅客の来訪及び滞在の促進に係る事業を個別に企画・立案す
るのではなく、地域を代表する農林水産業等の産業や、自然、伝統、文化、景観等の個性
ある資源を活用し、幅広い関係者の連携により、その地域ならではの楽しみ方を加える等
の創意工夫ある滞在コンテンツを企画・立案した上で、滞在促進地区における宿泊や観光
圏の区域内における移動手段を組み合わせた魅力ある滞在プログラムとして観光旅客に対
して提案できるよう、事業相互問の一体的かつ有機的な連携を図ること。
また、コロナ禍を経た旅行需要の変化を捉え、世界的に関心が高まっている「持続可能
な観光」や、自然・アクティビティに対する需要の高まりを踏まえた上で、多様な二ーズ
に応じたサービスや滞在コンテンツの開発、提供を行う等戦略的な取組の実施を図ること。
①(略)
②観光資源を活用したサービスの開発及び提供
観光圏における滞在・周遊を促進するためには、滞在コンテンツ及びそれらを組み合
わせた滞在プログラムの充実を図ることが重要であることに鑑み、滞在コンテンツにつ
いて、単に見る観光メニューだけではなく、農業体験、自然を活かしたアクティビティ
等の体験・交流・学習の参加型メニューなど、長時間の滞在の契機となるように魅力の
向上を図ること。
特に外国人観光旅客を対象とした滞在コンテンツ及び滞在プログラムの充実を図るに
当たっては、自然・文化・アクティビティの構成要素を通じて日本の本質を深く体験で
きるアドベンチャーツーリズムや、各地の多様な食文化の魅力に触れるガストロノミー
ツーリズム酒蔵ツーリズムなど、消費拡大に効果の高い滞在コンテンツ及び滞在プロ
グラムの整備を検討することが望ましい。加えて、地域の文化財、古民家等の歴史的資
源、博物館・美術館、国立公園、スポーツ等を積極的に活用した地方への誘客に効果の
高い滞在コンテンツ及び滞在プログラムの整備を検討することが望ましい。その際、分
かりやすい多言語解説の整備等の滞在コンテンツの魅力を十分に感じることができるよ
うな取組も併せて行うことが期待される。これらの取組を行う際には、他地域と類似し
た画一的な滞在コンテンツとならないよう、他地域と異なる地域の強みや魅力を常に意
識した上で行うことが重要である。
また、個性ある滞在コンテンツを造成するためには、地域の特徴を踏まえた上で、外
国人観光旅客向けに十分に整備されていない潜在的な観光資源や夜間の観光資源の開拓
等、従来の観光資源の枠にとらわれない幅広い資源を観光資源として活かすことが重要
であり、幅広い関係者の連携により地域全体で取組を進めることが期待される。その際
造成に加えて、造成された滞在コンテンツの情報発信の強化やチケット購入の容易化等
の決済環境の整備に関する取組も併せて行うことが重要である。さらに、国際的なりモー
トワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)の誘客促進に資する取組等を通じて、幅広い
インバウンドのニーズを掴むことも重要である。
国内旅行については、インバウンドと比べた外的要因に対する強靱さが示され、国内
交流拡大の重要性が改めて明らかとなったことから、働き方改革とも整合する形で行わ
れるワーケーションや地域資源を活用した何度も地域に通う旅等の新たな仕掛けづくり
等の新たな交流市場の開拓に向けた取組について検討することが望ましい。加えて、視
光需要の特定時期への集中が旅行者の満足度低下や観光産業の低い生産性等の要因と
なっていることを踏まえ、週末や連休以外の旅行需要を喚起し、混雑の回避や観光産業
従事者の通年雇用化等を促進するため、平日への旅行需要の平準化につながる取組につ
いても検討することが期待される。
さらに、産業、伝統、文化、景観、自然環境等の地域の個性ある資源については、そ
の保全と活用とが調和しなければ、持続可能な観光地及び観光圏の形成が実現できない
ことから、地域の環境保全への配慮や地域ならではの景観の維持・向上等、その保全方
法と活用方法との調和についても、十分留意することが重要である。
また、観光圏における滞在コンテンツの充実の観点から、法第九条に規定される農山
漁村交流促進事業についても観光圏整備事業として検討すること。その際、特別な名所
旧跡がなくても、美しい山河や田園風景といった通常の農山漁村が有する地域資源がそ
の活性化に向けた大きな力になることを改めて認識した上で、少子高齢化等の地域社会
の動向、地域における農林漁業の現状、歴史・風土・景観等の地域特性に応じ、有形無
形の地域資源を活用しつつ創意工夫を発揮して地域間交流の促進による地域の活性化を
図ること。
さらに、農山漁村においては、伝統的な食文化、美しい景観等の豊かな地域資源を観
光資源として活用して、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進するため、農山漁
村地域に宿泊し、滞在中に地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ農山漁村滞在型旅
行である農泊の取組を地域一丸となって進めることが期待される。取組を行う際には、
農泊を持続的なビジネスとして実施できる体制の構築、農林漁業体験プログラム等の開
発や古民家の改修等を行うことを検討すること。
加えて、地域の資源を有効活用した滞在プログラム等の質を高め、観光旅客に対して
地域の魅力を最大限に伝えるため、滞在プログラム等の実施者や滞在プログラムの魅力
を日本人観光旅客及び外国人観光旅客双方に伝えることが可能な全国通訳案内士・地域
通訳案内士も含めたガイドの持続的な確保・育成を進めること。また、こうした人材の
確保・育成の取組を滞在コンテンツの造成や質の向上と一体的に取り組むよう努めるほ
か、幅広い関係者の接遇の向上等による地域のホスピタリティ向上を図ること。