諸外国政府・国際機関における転勤の実情と人事運用・支援策
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第3節 諸外国政府・国際機関における転勤の実情
日本とは人事管理の前提・実情が違う部分があるものの、今回、英国、タイ、米国及びマレーシアの4か国の各政府並びに国際連合事務局及び国際連合の基金・計画(以下「国連関係機関」という。)における転勤の実情について調査を行った。
1 転勤の意義・必要性
制度設計や運用の細部において差異があるものの、転勤そのものの意義については各国・各機関で大きな違いは見られなかった。すなわち、転勤は、人材育成、本部と現場との知見の循環、組織の新陳代謝の確保、不正や癒着の防止、地域間・勤務地間の負担の公平性確保といった観点から、組織運営上不可欠な手段として位置付けられている点は共通している。これらは、日本の国家公務員の人事管理において従来から指摘されてきた転勤の意義ともおおむね重なるものである。
2 人事運用・転勤に対する支援・インセンティブ
多くの国や国際機関においては、組織や職種ごとに、転勤の必要性や目的を吟味した上で、それに応じた人事運用や制度設計がなされている。例えば、現場経験を特に重視する組織では一定期間ごとのローテーションを制度化する一方、専門性の継続的な発揮が重要なポストでは、比較的長期の在勤を認めるなど、転勤の強度や頻度に差を設けている。
また、職員の自発的な異動が原則とされている組織においても、完全に職員の意思に任せるだけでは一部の職員が同一勤務地に長期滞留する可能性があることから、転勤を適切に促すために、金銭的・非金銭的なインセンティブを組み合わせて運用されている。転居費用や生活費の補填、勤務地ごとに設定された困難度に応じた手当の支給など、転勤のマイナス面を補う措置に加え、転勤ごとに支給される一時金や転勤回数に比例して増加する手当を設けている事例もあった。
さらに、制度上又は運用上、昇進時に転勤経験を重視するなど、キャリア上のメリットが明確に示されている例が多く見られた。これにより、転勤は単なる「負担」ではなく、将来のキャリア形成に資する重要な経験として位置付けられていることが見て取れる。