森林の有する多面的機能と整備・保全の考え方
左の本文を選ぶと、右側の官報原文画像で該当箇所を照合できます。
82
87(5(農業日本會)發見日本日本日本日988年
(3)森林の有する多面的機能と望ましい姿
森林の有する主な多面的機能は,水源涵養機能,山地災害防止機能/土壌保全機能、快適環
境形成機能、保健・レクリエーション機能、文化機能、生物多様性保全機能及び地球環境保全
機能からなる公益的機能と木材等生産機能とに大別される。
各機能に応じた森林の望ましい姿については、次のとおりである。
(水源涵養機能)
下層植生とともに樹木の根が発達することにより、水を蓄える隙間に富んだ浸透・保水能
力の高い森林土壌を有する森林であって、必要に応じて浸透を促進する施設が整備されてい
る森林。
(山地災害防止機能/土壌保全機能)
下層植生が生育するための空間が確保され、適度な光が射し込み、下層植生とともに樹木
の根が深く広く発達し土壤を保持する能力に優れた森林であって、必要に応じて山地災害を
防ぐ施設が整備されている森林。
(快適環境形成機能)
樹高が高く枝葉が多く茂っているなど遮蔽能力や汚染物質の吸着能力が高く、諸被害に対
する抵抗性が高い森林。
(保健・レクリエーション機能)
身近な自然・自然とのふれあいの場として適切に管理され、多様な樹種等からなり、住民
等に憩いと学びの場を提供している森林であって、必要に応じて保健・教育活動に適した施
設が整備されている森林。
(文化機能)
史跡・名勝等と一体となって潤いのある自然景観や歴史的風致を構成している森林であっ
て、必要に応じて文化活動に適した施設が整備されているなど、精神的・文化的・知的向上
等を促す場としての森林。
(生物多様性保全機能)
全ての森林が発揮するものであるが、属地的に機能が発揮されるものを示せば、原生的な
森林生態系、希少な生物が生育・生息する森林、陸域・水域にまたがり特有の生物が生育・
生息する渓畔林等、その土地固有の生物群集を構成する森林。
(木材等生産機能)
林木の生育に適した土壌を有し、木材として利用する上で良好な樹木により構成され成長
量が大きい森林であって、林道等の基盤施設が適切に整備されている森林。
(能機全境保全機能)
二酸化炭素の吸収や炭素の固定、蒸発散作用等により地球環境を調節する属地性のない機
能であり、全ての森林が発揮するもの。
(4)森林の整備及び保全の考え方
ア森林の区分
期待する機能の発揮に向けた森林の整備及び保全の考え方については、前基本計画まで、
育成のための造林や保育など人為の程度と、単層や複層という森林の階層構造に着目した区
分により示してきたが、人工林の6割が利用期となっている我が国の資源状況と、生物多様
性等の公益的機能への要請の高まりを踏まえ、植栽等により成立しているか否かといった更
新方法に着目し、次の区分ごとに示す。
(ア)人工林
主として植栽又は人工下種洋により成立している森林。例えば、植栽によるスギ、ヒノ
キ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ等からなる森林。
注種子を直接林地に播き付ける造林法をいう。
(イ)天然林
主として種子の自然散布による更新、ぼう芽による更新等の天然更新により成立してい
る森林。例えば、天然更新によるアラカシ、クヌギ、コナラ、ブナ、コメツガ、エゾマツ、
トドマツ等からなる森林。
イ整備及び保全の考え方
(ア)基本的な考え方
現況が人工林である森林については、自然的・社会的条件に応じて、森林資源の充実と
公益的機能の発揮を図る。具体的には、多様な伐期の設定や伐採面積の縮小・分散に取り
組みつつ、林業適地については、植栽による確実な更新を行い、これを維持し、持続的に
利用していく。林業適地以外については、帯状又は群状等の伐採と侵入広葉樹の活用によ
る針広混交林化等により、天然林へ移行する。
現況が天然林である森林については、自然の推移に委ねることを基本としつつ、当該森
林のうち里山林等については、更新補助作業を含む適切な整備により利活用等を促進し、
多面的機能の維持増進を図る。
これらにより、一定の広がりにおいて様々な生育段階や樹種から構成される森林がバラ
ンス良く存在する状態を目指す。
(イ)森林の区分に応じた整備及び保全の考え方
a人工林
林業適地については、人工林として確実に維持し、資源の充実を図る。この場合、適
切な間伐とともに、標準的な伐期や長伐期など多様な伐期での主伐と植栽による確実な
更新を図る。また、木材等生産機能の発揮と水源涵養機能の発揮を同時に期待する森林
では、自然条件等に応じて皆伐面積の縮小や分散、間代の繰り返しによる伐期の延長、
植栽による確実な更新を図る。木材等生産機能の発揮と山地災害防止機能/土壌保全機
能の発揮を同時に期待する森林では、自然条件等に応じて、伐期の延長や帯状等の伐採
による皆伐の回避を図りつつ、植栽による確実な更新を図る。なお、伐採に当たっては、
生物多様性の保全等に配慮しつつ、土砂の流出を招かないよう、搬出方法の選択、保護
樹帯の設置等を適切に行う。
また、林業適地以外については、自然条件等に応じて、帯状等の伐採と侵入広葉樹の
活用による針広混交林化等により、天然林へ移行する。
さらに、快適環境形成機能、保健・レクリエーション機能及び文化機能の発揮を期待
する森林では、上記の考え方によらず、これらの機能の発揮に向けた森林空間の利用と
他の公益的機能の発揮との調整を図りつつ、景観の創出等の観点から、間伐の繰り返し
等により長期にわたって人工林を維持し、又は自然条件等に応じて侵入広葉樹の活用等
により天然林へ移行する。また、希少な生物が生育・生息する森林など属地的に生物多
様性保全機能の発揮が求められる森林においては、その機能の発揮に必要な施業等によ
り、人工林を維持し、又は天然林へ移行する。
b天然林
里山林など「利活用等により機能の維持増進を図る天然林」については、更新補助作
業を含む適切な整備により利活用等を促進し、多面的機能の維持増進を図る。特に快適
環境形成機能、保健・レクリエーション機能及び文化機能の発揮を期待する森林では、
これらの機能の発揮に向けた森林空間の利用と他の公益的機能の発揮との調整を図りつ
つ、不用木の伐採等を行う。
その他の森林は、自然の推移に委ねることを基本として、必要に応じて植生の復元等
の保全管理を図る。