その他令和8年6月23日
森林・林業基本計画の変更に関する官庁報告
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抽出要点
森林・林業基本計画の変更
抽出された基本情報
発行機関農林水産省
抽出された基本情報
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官庁報告
官庁事項
森林・林業基本計画の変更
政府は、森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)第11条第7項の規定に基づき、森林・林業基
本計画(令和3年6月15日閣議決定)の全部の変更を、去る6月5日に閣議決定した。
以下、その全文を同条第8項において準用する同条第6項の規定に基づき公表する.
令和8年6月23日農林水産省
森林・林業基本計画
~百年つづく「森の国・木の街」へ~
まえがき
林業・木材産業は、都市・地方を問わずあまねく全国各地で行われており、所得の確保、就業機会
の創出、定住の促進等を通じて経済社会の維持及び発展に寄与する極めて重要な産業である。加えて、
林業生産を持続的に行うことは、森林から生産された木材を利用し、伐採後に適切な再造林を行うこ
とに伴う二酸化炭素の吸収、排出削減及び炭素の貯蔵を通じて、温室効果ガスの排出量と吸収量等と
を均衡させる「ネット・ゼロ」の実現に寄与する。このことは同時に、天然林の保全管理と相まって、
空間的・時間的に多様な森林の形成につながるものであり、生物多様性の損失を止め、反転させる「ネ
イチャーポジティブの実現にも寄与する。林業・木材産業が成長産業として持続的かつ健全に発展
することは、地方を中心に日本列島全体に豊かさをもたらすとともに、産業競争力強化・経済成長及
び排出削減を同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)の加速化に直結する。
我が国では、建築物の非木造化の流れが平成10年頃から転換して建築物に係る基準の合理化が順次
行われ、木造化の可能性が広がった。また、令和3年には、脱炭素社会の実現に資する等のための建
築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号。以下「都市の木造化推進法
という。)が施行され、建築物一般への木材利用の促進に官民を挙げて取り組むこととされた。近年で
は木質耐火部材等の新たな部材や部材の強度を確保する利用技術の開発や普及も大きく進展するな
ど、建築物の木造化に向けた環境が整ってきている。
一方、人口減少を主な要因として、新築住宅向け木材需要は縮小する見通しであり、ようやく訪れ
た木材利用の好機を生かすためには、既存の木材利用全般にわたる国産材への転換を図るとともに、
新たな需要を幅広く創出することが重要である。
この百年間、我が国の森林は、第二次世界大戦前後の木材需要の急増による森林資源の枯渇、戦後
の復旧造林と拡大造林、その後の保育段階の間の国産材供給の低迷といった激動の時代を経て、現在
では人工林の6割が一般的に利用期に入るとされる51年生を過ぎるに至っている。一方、この間、木
材価格は昭和55年をピークに低下してきており、特に立木価格の低迷が著しい。このような中、この
豊富な人工林資源を持続的かつ最大限に活用し、幅広い木材需要を満たすためにも、様々な段階にお
いて効率化を進め立木価格の向上を図るなどにより、林業経営の採算性と持続性を高める必要がある。
このため、人工知能(以下「AI」という。)や情報通信技術(以下「ICT」という。)の活用等を通
じた林業・木材産業の効率性の向上や供給力の強化と、木材流通の合理化を進めると同時に、新規事
業者を含む多様な林業経営体等の育成等を進めていくことが重要である。
木材の持続的な供給をめぐっては、令和3年に発生したいわゆるウッドショック注1により輸入材
の調達リスクが顕在化した。こうした中、幅広く需要を創出すると同時に、そこから得られた利益が
森林所有者を含む川上・川中・川下の関係者に適切に還元される構造の確立に向けて、国産材のサブ
ライチェーン注2の構築を図ることが重要であり、このことは木材の持続的な供給の確保を通じて我
が国の社会経済の長期的な成長にも寄与するものである。
さらに、木材の付加価値向上と炭素の貯蔵を図る上で重要となるカスケード利用注3や、新たな価
値を生み出す未利用材の活用、それらを通じた資源・エネルギー安全保障の強化等に向け、木質バイ
オマスによる熱電併給等の推進と併せて木質系新素材注4の開発や実装を加速していくことが重要で
ある。
我が国の経済社会全体の動向に目を転ずれば、「2050年ネット・ゼロ」や「2030年ネイチャーポジティ
ブ」の実現に向け、環境に配慮した企業経営等を求める動きが強まっている。また、国民の間ではウェ
ルビーイング注5への関心が高まっている。この機会を捉え、森林や木材の地球環境の保全に対する
貢献(以下「環境貢献」という。)や心身等に与える効果の見える化等を通じて、幅広い民間投資を呼
び込み、森林の整備及び保全や木材需要の拡大を進めることで、循環経済(サーキュラーエコノミー)
への移行に向けた取組を推進することが重要である。環境貢献に向けては、持続可能性を確保した木
材の供給が求められており、このようなニーズに対応する観点からも、主伐後の再造林の確保と生物
多様性の保全に配慮した多様で健全な森林づくりを図ることが求められる。
また、我が国の国土の約3分の2を占める森林は、木材等の生産機能のみならず、国土の保全、水
源の涵養、生物多様性の保全、地球温暖化の防止、保健・レクリエーションの場の提供、文化の形成
等の多面的機能を有し、国民生活に様々な恩恵をもたらす「緑の社会資本」である。これらの機能が
持続的に発揮されるためには、将来にわたり、森林の適正な整備及び保全を図る必要がある。
一方で、気候変動等の影響により、令和6年の能登半島地震・豪雨による災害といった複合的な要
因による山地災害や、令和7年の大船渡市林野火災等の大規模な林野火災が発生しているほか、クマ
による人身被害も増加している。このような国民生活の安全・安心を脅かす新たな危機にも対応し、
その予防・管理に向けた対応の強化を図ることが必要不可欠である。
このため、豊かな森林資源の循環利用や里山林等の利活用等を進めると同時に、幅広い民間投資も
活用し、防災及び国土強靱化の観点からの森林整備や治山対策、林野火災予防対策の強化、野生鳥獣
の生息環境の保全及び整備、 花粉の少ない森林への転換の転換の転換の加速等を図る
ことが重要である。
これらの取組を着実に進めるためには、木育等を通じ、森林の有する価値や国産材を利用する意義
等について、森林・林業・木材産業の関係者のみならず、木材製品の利用者等を含めて森林の有する
公益的機能注6を享受する全ての国民等の間で幅広く理解を深め、その行動変容につなげることが肝
要である。
幅広い関係者との連携の下、将来に希望を持ってこれらの取組に挑戦できる構造を確立し、先人が
築いた我が国の森林資源の循環利用と多様で健全な森林づくりを着実に進めることにより、森林・林
業・木材産業の好循環を生み出し、副題にあるように、百年つづく「森の国・木の街」の実現を目指
していく。
今回策定する森林・林業基本計画(以下「基本計画」という。)においては、上述の認識の下、令和
3年6月に閣議決定された森林・林業基本計画(以下「前基本計画という。)に基づく主な施策を評
価し、浮かび上がった課題や前基本計画の策定以降の情勢変化等を踏まえて、今後の対応方向や施策
展開に当たっての基本的な視点等を明らかにするものである。基本計画を指針とし、全ての関係者が
主体的な取組を展開することを期待する。
基本計画は、今後20年程度を見通して定めるとともに、情勢の変化及び基本計画に基づき講ずる施
策の効果全般にわたる評価を踏まえた形で、森林・林業基本法(昭和39年法律第161号。以下「基本
法」という。)に基づきおおむね5年ごとに所要の変更を行う。
注1米国における住宅需要の高まりや海上輸送の混乱等により、令和3年に輸入材の不足・価格
高騰が発生したことをいう。
注2原材料の調達から、加工、配送、販売を経て消費者の手元に届くまでの一連の流れをいう。
注3製品として価値の高い順に多段階的に利用することをいう。
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