その他令和7年10月6日

公害等調整委員会裁定(採石事業認可申請に関する不認可処分の取消し請求)

掲載日
令和7年10月6日
号種
号外
原文ページ
p.30
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抽出要点

採石法施行規則に基づく認可申請の不認可処分の適否

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公害等調整委員会裁定(採石事業認可申請に関する不認可処分の取消し請求)

令和7年10月6日|p.30

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O8 3 號號號 號 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日 日01月表1
イ前記前提事実2)オによれば、申請人は、本件各施行同意書を添附の上、本件認可申請をし
ているところ、本件各施行同意書には、施行行為者を申請人、開発行為の目的を土石の採取、
同意権者を成和商事等とした上で、本件土地のうちそれぞれ所有権又は共有特分権を有する
土地について、開発行為の施行等につき異議なく同意する旨の記載がある上に、同意の有効
期限につき開発行為の完了までと記載されていた。このように本件各施行同意書の記載内容
をみれば、本件認可申請について、申請人が、本件土地につき、その所有権者である成和商
事等から岩石採取を行うことについて同意を得ており、本件土地において採石事業の終了ま
で岩石の採取を行う権原を有していたと認定することが可能であるというべきである。上記
権原を有することは、申請人は、前件認可処分の申請に際し、本件各施行同意書を添附した
上で、本件土地を含む灘山採石場における岩石採取計画の認可申請を行い、前件認可処分を
受けた上で、本件土地において継続的に岩石採取事業を営んでいたこと(前記前提事実(2)ウ)、
申請人と同じ中西一宏が代表を務める中西産業と成和商事及びユアサ商事との間で、本件覚
書及び本件変更覚書が作成され、岩石採取事業について具体的な取り決めがされているが、
その書面の中で、申請人をして本件土地において採石をさせることや申請人の採石事業の微
続に協力することを合意していたこと(前記認定事実ア及びイ。本件覚書や本件変更覚書の
有効期間が令和6年7月18日まであるとされていたことは、結論を左右しない。)からも裏付
けられているというべきである。
そうすると、本件各施行同意書により、申請人が採石権原を有することは一応認定可能で
あったということができるから、上記特別の事情がない限り、本件各施行同意書は採石法施
行規則8条の15第2項7号が定める「権原を有する」書面に該当し、本件認可申請に際して
7号書面の添附があったものと認められる。
ウ(ア)そこで、上記特別の事情が存在したかを検討すると、前提事実によれば、成和商事等は、
申請人及び処分庁に対し、本件各施行同意書に係る同意について、徹回する旨の通知をし
ていることが認められる。しかし,本件各施行同意書では、採石事業の終了以前に本件各
施行同意書に記載された同意権者のみの判断で自由に当該同意を撤回できるかどうかは書
面上明らかでなく、また、本件土地の採石権原がなくなれば、申請人は、採石事業の終了
まで事業が継続できると信頼して投下した資本を回収することができないなど、多大な不
利益を受けることを余儀なくされる。このような点を考慮すると、本件各施行同意書で定
めた期限である採石事業の終了以前に成和商事等の一方的な同意の撤回の通知により、本
件土地の採石権原に関する合意の撤回が認められると解することが相当であるとは認め難
い。
そうすると、処分庁が把握していた事情を踏まえても、成和商事等の上記同意の徹回が
有効であり、申請人において本件土地の採石権原がなかったことが明らかであったとはい
えないので、上記特別の事情を認めることはできない。
(イ)これに対し、処分庁は、本件各施行同意書において、土地利用権を設定する旨の合意が
存在したとしても、このような合意は期限の定めのない使用貸借の合意と解することがで
き、本件土地に係る採石事業を巡って紛争が発生し、申請人と成和商事等との間で信頼関
係が失われるような事態が生じたのであるから、上記同意については、昭和42年最判のと
おり、民法597条2項ただし書を類推適用して解約することができるというべきである旨
主張する。
しかし、昭和42年最判は、父母を貸主、子を借主とする返還時期の定めのない土地の使
用貸借につき、使用貸借の目的の一つが父母の扶養であったにもかかわらず、借主が理由
なく父母の扶養を止めたことなどにより信頼関係は失われたとして、使用貸借の解約を認
めたものであるのに対し、本件は、採石業者に対して土地の採石事業に同意した土地の所
有者がその同意を一方的に撤回することの可否が問題となっており、両者は明らかに事案
を異にする。
したがって、昭和42年最判を本件に当てはめるのは相当でなく、申請人と成和商事等と
の間で、採石事業に関して紛争が生じていたとしても、これをもって、直ちに上記同意の
撤回が有効であるとはいえず、処分庁の上記主張は採用することができない。
(3)よって、本件各植行同意書は、7号書面に該当するといえるから、7号書面の添附がないこ
とを理由に本件認可申請につき不認可処分をすることは許されないということができる。
2争点2)(8号書面の添附がないことを理由に本件不認可処分をすることの適否)について
(1)採石法施行規則8条の15第2項8号は、採石法33条の3第2項の規定を受け、岩石の採取の
認可(同法33条)の申請に際し、「他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要と
するときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面を添附し
なければならないと定める。このように採石法施行規則が8号書面の添附を求める趣旨は、他
の法令等の規制により当該採取計画に係る採石事業が実施できない場合についてまで、採取計
画を認可することは無意味であることから、当該申請者において、岩石採取を行うに当たって
必要な行政処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面を添附させて、無
用な認可をするという事態を避けることにあると解される。
このような規定の趣旨を踏まえると、岩石の採取に際して林地開発許可が必要な土地につい
て、岩石採取計画の認可申請がされた場合には、林地開発許可申請につき不許可処分がされた
としても、当該不許可処分が争訟手続で確定した場合(つまり許可処分をもはや受けられない
ことが確定した場合)を除き、処分庁は8号書面添附の要件が充足されていないことを理由に
上記認可申請に対して不認可の判断をすることは許されないというべきである。
(2)前記前提事実(2)力によれば、申請人は、処分庁に対し、本件不認可処分よりも以前に本件林
地開発許可申請を行い、本件不認可処分と同日付けで本件林地開発許可申請に対する本件不許
可処分を受け、本件不許可処分について、処分庁に対して審査請求を行っており、当該審査請
求に対して審査庁において裁決が行われたことはうかがえないから、本件不許可処分が確定し
たとはいえない。
したがって、8号書面添附の要件が充足されていないことを理由に本件認可申請に対して不
認可処分をすることは許されないというべきである。
3結論
以上によれば、本件不認可処分は違法であるから、その取消しを求める本件裁定申請には理由
がある。
よって、主文のとおり裁定する。
令和7年9月8日
公害等調整委員会裁定委員会
裁定委員長中村也寸志
裁定委員若生俊彦
裁定委員大橋洋一は、差支えがあるため署名押印することができない。
裁定委員長中村也寸志
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公害等調整委員会裁定(採石事業認可申請に関する不認可処分の取消し請求) - 第30頁
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