その他令和7年10月6日
農地海岸復旧及び大規模自然災害への備えに関する取組状況と第6次土地改良事業長期計画の推進方針
掲載日
令和7年10月6日
号種
号外
原文ページ
p.20 - p.22
号外p.20-p.22
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農地海岸復旧及び大規模自然災害への備えに関する取組状況と第6次土地改良事業長期計画の推進方針
令和7年10月6日|p.20-22
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25年法律第55号)に基づき、農地海岸(1地区、7海岸)、農地地すべり(1
地区)の直轄代行事業を実施している。
このように能登半島地震からの復旧に取り組む中、同年9月に発生した豪雨
により、奥能登地域の約400haの農地に土砂・流木等が堆積するなど複合災害
による甚大な被害が発生した。TYのため、MAFF-SATを被災地に派遣(延べ787
人)し、農地・農業用施設等の被害状況の把握や応急対策の実施を支援し、復
旧計画の工法検討等に関する技術支援を行った。土砂・流木等が堆積した農地
については、令和7年(2025年)春の営農再開に向けて復旧に取り組み、比較
的被害が小さい農地を中心に約170haの土砂撤去等の復旧工事が完了した。
引き続き、地震・豪雨により被災した残りの農地、農業用ため池等の農業水
利施設等の復旧を支援していく。
さらに、地域の将来の営農ビジョンを見据えて、被災された農業者の皆様が
一日も早く生業の再建に取り組めるよ。SY、石川県、被災市町等、10連携し、世界
農業遺産「能登の里山里海」のブJIンド力を活かした創造的復興を支援する。
3大規模自然災害への備11
近年、自然災害が激甚化・頻発化する中で、発災時における初動対応や技術
支援を円滑かつ迅速に行SYTYとや、市町村等においても、平時から発災時にお
ける体制整備を行うことが重要である。
(Yのため、農地・農業用施設等の被害に係る調査や応急対策15いった初動対
応の迅速化に向け、平時からMAFF-SAT派遣候補者のリスト化、研修・訓練、
資機材の整備等を通じて実行体制を強化する。また、MAFF-SATによる被災市
町村支援が迅速に行えるよ.SY1、日頃から都道府県、市町村、関係団体等との連
携強化に努めることとし、引き続き市町村を訪問し、MAFF-SAT派遣等の支援
内容を説明するなどの取組を進める。さらに、地方支分部局と土地改良に関わ
る建設業を始めとした関係団体等の間で締結した災害協定に基づき被害状況
の把握等の支援が円滑に行えるよSYく、連携強化に努める。また、都道府県等が
技術職員を確保し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模
災害時に復旧・復興事業に従事する技術職員を派遣するための復旧・復興支援
技術職員派遣制度について、関係省庁が連携して活用を促進する。
くわえて、派遣職員の移動手段(車両)、情報通信機器、宿泊場所の確保等
活動環境の改善を図るとともに、被災した農業用ため池の応急対策のため災害
用ポンプや簡易サイホン、水位計等の遠隔監視機器等をあらかじめ確保する。
(Yれらの取組を進めるため、土地改良技術事務所に防災・災害対策技術課を
新設することなどにより、激甚化・頻発化する災害に迅速に対応する。
第6計画の円滑かつ効果的な実施に当たって必要な事項
本計画の効率的かつ効果的な推進を図るため、以下を踏まえて、土地改良事
業を推進する。
1環境と調和のとれた持続可能な農業生産への対応
改正基本法では、「みどりの食料システム戦略」等に基づき、気候変動対策
も含めた食料・農林水産業の環境負荷低減に向けた取組を進めるべく、「環境
17「調和のとれた食料システムの確立」が新たな基本理念として位置付けられ
た。このような中、本計画の推進に当たっては、環境と調和のとれた持続可能
な農業生産の実現に向けて取り組む必要がある。
(Yのため、温室効果ガスの排出量削減に資する農業水利施設を活用した小水
力発電等再生可能エネルギーについては、新規の案件形成、更新整備等に係る
事例集の作成、優良事例の横展開、研修、関連施策の周知等により導入を促進
する。また、老朽化した農業水利施設の更新に際して、施設の集約・再編、ポ
ンプ等の省エネルギー化の取組を推進する。農地整備に当たっては、農地の大
区画化及び集積・集約化による機械作業の効率化、バイオ炭の農地施用等を推
進する。さらに、収量低下や生物多様性保全に留意の上、J-クレジット制度等
も活用した中干し期間の延長の取組を推進する。
また、有機農業の拡大を後押しするため、農地の区画整理、機械による除草
のための畦畔拡幅及び法面の緩傾斜化、雑草抑制のための深水管理を効率化す
る自動給水栓の設置等の整備と併せて、有機農業の生産団地の形成を図る。
2土地改良区の運営体制の強化
地域の農業水利施設の保全の取組が持続的に行われるよ57・、土地改良区の再
編整備(合併等)を始めとした、水土里ビジョンに基づく土地改良区の運営基
盤の強化を推進する。あわせて、土地改良区の運営基盤の強化の前提となる土
地改良区の経営診断・改善指導、研修等を支援する。さらに、改正土地改良法
で理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないよう配慮する旨が規定された
(Yとも踏まえ、地域の実情に応じつつ女性・若者等の理事への登用を推進する。
また、所有者不明農地、不在村者所有の農地、相続に伴い相当数の所有者が
存在する共有地等が増加する中で、土地改良区の運営や事業の円滑な実施に支
障を来さないよう、農業委員会及び農地中間管理機構と連携しつつ、担い手へ
の利用権の設定を促進するとともに、改正土地改良法の規定による共有地の代
表制や民法の規定による所有者不明土地管理制度等の活用を通じ、組合員資格
の整序化を図る。あわせて、農地の集積が進む中で、担い手の意見を土地改良
区の運営に適切に反映させるとともに、地域の実態に応じた耕作者と所有者の
適切な役割分担を促進するなどの観点から、准組合員制度23)の活用を推進する。
また、多面的機能支払制度の活動組織に10どまらず、土地改良に関わる建設
業者等を始めとした、施設の維持管理に協力する個人・法人の参画を得て、組
合員が減少する中でも施設を保全できる体制を構築する観点から、施設管理准
組合員制度34の活用を推進する。
(Yれらの取組を推進し、土地改良区の運営体制の強化を図るため、国、都道
府県、市町村及び土地改良事業団体連合会による土地改良区運営基盤強化協議
会を組織してきており、土地改良区ごとの課題や組織・運営体制の差異に応じ
たきめ細かい支援を実施する。
3技術開発の促進と普及、人材の育成
農業者の減少・高齢化、農業生産基盤の脆弱化、災害リスクの増加等の情勢
変化や課題に対応し、本計画で掲げた政策目標の達成に資するため、スマート
農業、AI等を活用した高度な施設保全管理、豪雨・地震に備えた危険度の予測
や情報発信・共有のためのシステム等に係る技術開発を推進する。また、その
円滑な導入・普及に向けた産学官の連携、研修、技術書の普及・啓発、現場に
おける技術実証等の取組を推進する。
くわえて、国、都道府県、市町村、教育機関、研究機関、民間企業、土地改
良事業団体連合会等が連携し、農業農村工学技術者の育成を推進する。その際、
維持管理の効率化・高度化等に向けた最新技術を現場で活用できる人材や、現
場での経験の蓄積を通じ、地域の特性に応じた様々な施策を講ずることができ
る人材を育成する。また、幅広い分野・世代から人材を確保する取組を推進す
る。
(Yれらの技術開発や人材の育成・確保に係る取組を計画的かつ効果的に推進
するため、新たな技術開発計画を令和8年度中(2026年度中)に策定する。
33土地改良区において、貸借地の所有者又は耕作者で事業参加資格を有しないものを准組合員
とすることができる制度。准組合員は、賦課金等の一部を負担するとともに総会における意見
陳述が可能となっている。
34土地改良施設の管理を行う土地改良区において、土地改良施設の管理に関連する活動を行う
もの(団体・個人)を施設管理准組合員とすることができる制度。土地改良区は施設管理准組
合員に施設の管理への協力を求めることができるとともに、施設管理准組合員は総会における
意見陳述が可能となっている。
また、世界的に食料需要の増大や水資源のひっ迫が見込まれており、農業用
水の効率的な利用に加え、気候変動等の地球規模課題に対応した農業農村開発
の推進が求められている。このため、国際会議等において、国際機関とも連携
し、水田農業における効率的な水利用、多面的機能の発揮等について発信を強
化するとともに、官民で連携し、我が国が知見を有する気候変動への適応・緩
和を両立した農業農村開発方策、インフJI技術・製品等の海外展開を促進する。
さらに、これらの取組を一層推進していくために、二国間及び多国間での技術
交流、海外への人材派遣を通じ、水田農業国を中心とした関係国・地域との連
携を一層強化していく。
4入札契約の透明性、公平性及び競争性の向上と品質確保の促進
土地改良事業の円滑な執行に当たっては、多様な入札契約制度を活用しつ
つ、適正価格による契約を推進し、入札契約の透明性、公平性及び競争性の一
層の向上を図る。
また、建設業の担い手の育成・確保、品質の確保、資材価格の上昇等に対応
するため、
①余裕期間の確保を含めた適正な工期設定、週休2日の確保等による長時間
労働の是正、女性・若者の技術者の育成・活躍に向けた労働環境の整備、高
騰する労務単価、資材価格等の最新の実態を反映した積算による適正利潤の
確保等の働き方改革の推進
②情報化施工の導入促進や、調査・測量、設計、施工及び維持管理の各段階
における3次元データの活用を通じたプロセス全体での生産性向上
③価格以外の多様な要素を勘案し、総合的に価値の最も高い資材等の採用に
努めるとともに、これに必要な費用を適切に反映した予定価格の適正な設定
④社会情勢の変化に対応したWeb会議の活用、立会・検査における遠隔確認
等の取組を推進する。
5関連施策や関係団体との連携強化
土地改良事業を円滑に実施する観点から、地域計画の枠組みを通じ、農業委
員会及び農地中間管理機構と連携しつつ、担い手への農地の集積・集約化を進
め、所有者不明農地の発生を抑える.(Yとが重要である。その上で、所有者不明
農地が土地改良事業の円滑な実施及び土地改良区運営に支障を来している場
合には、関係省庁が連携しつつ、令和5年(2023年)4月施行の改正民法によ
り創設された所有者不明土地管理制度等を活用するTYとで、その解消を図る。
96た、土地改良事業の効果を早期に発現させる観点から、土地利用調整・営
70(1.20.000000.0000014/00000000000014/00
農・農業経営・販売に対する指導、機械の導入支援、鳥獣被害対策等の農業・
農村に関連する様々な施策との連携強化を図り、相乗効果を高めながら土地改
良事業を実施する。その際、都道府県、市町村、土地改良区、農業協同組合、
農業委員会、農地中間管理機構、農業者、地域住民、農村型地域運営組織(農
村RMO15)等と連携強化を図りつつ、現場の実態及び課題の把握、関係事業の
紹介等を行うことで、効果的・効率的に施策を推進する。
6国民理解の醸成
土地改良事業は、農業生産基盤の整備・保全により、消費者への安定的かつ
経済的な食料供給を通じた食料安全保障の確保に加え、集落や市街地の洪水・
湛水被害の防止又は軽減、健全な水循環の維持又は回復等にも貢献している。
また、事業により形成された施設の管理者でもある土地改良区は、農業水利施
設等の適切な維持管理はもとより、地域の関係者による連携・協働を促進し、
地域コミュニティの維持に寄与している。さらに、農業農村工学技術者は、災
害時にはMAFF-SATとしての派遣等を通じて被災地の早期の復旧・復興に貢献
している。
こうした土地改良事業と土地改良区の役割・必要性や、災害時における支援
活動について、都道府県、市町村及び関係府省と連携しつつ、学校、地域のイ
ベント等の様々な機会で普及啓発を図るほか、学習・広報向け資料の作成及び
デジタル化や動画・SNSによる情報発信を積極的に行い、幅広い世代に啓発活
動を行うことで、国民理解の醸成を図る。なお、新たな食料・農業・農村基本
計画において、食育の推進、食文化の保護・継承等を推進する旨が位置付けら
れたことを踏まえ、こうした活動との連携にも積極的に取り組む。
また、農業・農村の有する多面的機能を支える地域の共同活動について、優
良な取組を行う活動組織への表彰等を通じた啓発や、SDGsへの貢献の観点も
含めた企業、学校等に対する情報発信を推進する。
さらに、世界農業遺産・日本農業遺産及び世界かんがい施設進産と連携した
農地・農業水利施設の歴史的・社会的・文化的・技術的価値について、認知度
向上のための動画やイベントによる情報発信、遺産を活用した地域活動への企
業等の参加や教育機会の確保、インパウンド受入促進等の観光振興による地域
活性化の取組等を通じて理解を促進する。
7)農村型地域運営組織のことで、複数の集落の機能を補完し、農用地保全活動や農業を核とし
た経済活動と併せて、生活支援等地域コミュニティの維持に資する取組を行う組織のこと。
RMOはRegion Management Organizationの略。
あとがき
我が国の農業・農村は、国民に食料を安定供給するとともに、その営みを通じ
て国土の保全などの役割を果たしている、まさに「国の基」である。
しかしながら、食料価格の上昇、人口減少、インフラの老朽化、自然災害の激
甚化・頻発化など、我が国の農業・農村を取り巻く環境は大きく変化している。
特に、今後約20年で基幹的農業従事者数は現在の約4分の1の約30万人まで激
減するおそれがあるとされており、我が国の農業・農村は、これまで経験したこ
とのない課題に直面していくことになる。
こうした深刻な状況下においても、将来にわたり食料自給力を確保し、活力あ
る農村を次世代へと継承していくことは、国としての責務である。その責務を果
たす上で、農業生産基盤の整備・管理を担う土地改良事業は重要な役割を担って
おり、生産者や消費者から寄せられている期待に応えていかなければならない。
このような認識の下、農業構造転換集中対策期間である今後5年間の集中的な
対策を示す重要な指針である本計画において、食料自給力の確保を実現し、将来
にわたる食料安全保障の確保、更には多面的機能の発揮を目指すため、重点的に
取り組むべき具体の施策を位置付けた。
日本の農政は大転換が求められている、との認識を持ち、都道府県、市町村、
土地改良区等の関係機関と密接に連携しつつ本計画を実行に移すことにより、改
正基本法の理念や国土強靱化の実現、更には「強く」、「豊か」で「新しく・楽
しい」地方の実現につなげていく所存である。
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