土地改良長期計画(令和7年度~令和11年度)の策定について
令和7年10月6日|p.2
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まえがき
我が国の農業・農村は、(Yれまで以上に深刻かつ複雑な課題に直面している。
国外に目を向けると、世界人口の増加により食料需要が増大するとともに、気
候変動によって頻発化する異常気象等により食料供給が不安定化しており、長期
的には食料需給がひっ迫していくことが想定される,
・方で、国内に目を向けると、農業者の減少・高齢化が著しく進展するととも
に、農地面積は一貫して減少している。また、農業水利施設については、老朽化
等に起因する事故が年間約1,600件発生しており、令和4年(2022年)の愛知県
における明治用水頭首工の漏水のよSYうに、地域社会への影響が大きな事案も発生
している。さらに、令和6年能登半島地震や奥能登豪雨を始めとした大規模自然
災害が発生している。
こうした状況に対し、農業生産基盤の整備・管理を担う土地改良事業は、スマ
ート農業の推進等による更なる生産性の向上、老朽化が進行する農業水利施設の
保全管理、気候変動に伴い激甚化・頻発化する気象災害及び南海トラフ地震等の
大規模地震に対する国土強靱化といった課題に対応していく.TYとが求められてい
る。その実現に向け、土地改良事業に対して、生産者からは、農業生産活動を継
続的に行SYための良好な営農条件を備えた農地及び農業用水の確保について、消
費者を含めた国民全体からは、食料の安定供給や国土の保全等の多面的機能の発
揮について、期待が寄せられている。
(YSY「した中、食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)が制定以来初
めて改正され、これを受けて新たな「食料・農業・農村基本計画」(令和7年4
月閣議決定)の策定、土地改良法(昭和24年法律第195号)の改正が相次いで行
われ、さらに、「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月閣議決定)の
策定が行われた。くわえて、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(令和7年
6月閣議決定)には、新たな食料・農業・農村基本法に基づく初動5年間の農業
構造転換集中対策期間において、IIストの徹底的な低減に向けた農地の大区画化
等を集中的・計画的に推進できるよSY<、機動的・弾力的な対応により別枠で必要
・十分な予算を確保し、施策の充実強化・見直しを行うことが位置付けられた。
(Yれら情勢の変化と政策の大きな転換を的確に捉え、今後の土地改良事業の基
本的な方向性を明確に示すとともに、農業・農村の豊かな未来に向け、農業構造
転換集中対策期間で実施する具体的な対策を位置付けるべく、令和7年度(2025
年度)から令和11年度(2029年度)までを計画期間として、新たな土地改良長
期計画を策定する。
第1土地改良事業の目的
我が国においては、農地が、現在の人口約1.2億人分の食料需要全体を賄うた
めに必要な面積の3分の1程度しかなく、農業者の急速な減少及び高齢化も見込
まれている。TYのよSYな中、食料安全保障の確保を図るため、人・農地・水等の
資源をフル活用し、食料自給力1を確保する必要がある。
土地改良事業は、自然資本である「土」と「水」に直接手を加え、良好な営農
条件を備えた農地及び農業用水を確保し、TYれらの有効利用を図る.TYとにより、
農業の生産性を向上させるとともに、気候変動等による災害の防止又は軽減を図
ることにより、農業生産活動が継続的に行われるようにするためのものである。
具体的な目的・役割としては、以下のとおりである。
(農業生産性の向上)
農地の区画拡大及び排水改良は、農作業の機械化・省力化を可能とし、労働時
間の大幅な縮減や担い手への農地の集積2・集約化3による労働生産性の向上を実
現している。また、水田の汎用化*・畑地化、畑地かんがい施設等の整備は、農作
物の収量増加及び品質向上に加え、野菜、果樹等の園芸作物への転換を可能とす
ることで土地生産性の向上を図るなど、生産の自由度を高めている。
(農業用水の安定供給及び適切な排水11
農業水利施設は、農地に農業用水を安定的に供給するとともに雨水等を適切に
排水するための施設であり、農業生産活動において必要不可欠な生産基盤である。
かんがい排水のために造成されたダム、ため池、頭首工、用排水機場や、国土
に張りめぐらされた延長約40万kmに及ぶ用排水路は、我が国の全農地面積の3
分の2に当たる約280万haの農地に対し安定的に用水を供給しているとともに、
農地の排水条件を改善している。また、農業水利施設は、国土の保全や健全な水
循環の維持・形成に寄与し、くわえて、親水空間の提供、防火、消流雪等の地域
用水機能を発揮している。
1国内農林水産業生産による食料の潜在生産能力を示す概念。その構成要素は、農産物につい
ては、農地・農業用水等の農業資源、農業技術、農業就業者。
2)農地を所有し、又は借り入れることなどにより、利用する農地面積を拡大すること。
3農地の利用権を交換することなどにより、農地の分散を解消することで農作業を連続的に支
障なく行えるようにすること。
1通常の肥培管理で麦・大豆等の畑作物や野菜を栽培できるよう、水田に排水路や暗渠を整備
して水はけをよくすること。