茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針の変更について(令和7年4月30日公表)
令和7年4月30日|p.105
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茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針の公表について
お茶の振興に関する法律(平成23年法律第21号)第2条第4項の規定に基づき、茶業及びお茶の文
化の振興に関する基本方針を変更したので、同条第6項の規定に基づき公表する。
令和7年4月30日
農林水産大臣江藤拓
茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針
第1茶業及びお茶の文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項
1茶業及びお茶の文化の振興の意義
今から1200年以上前に中国から伝わったお茶は、我が国で長い歳月をかけ、「茶道」という高い精
神性やおもてなしの心を育む日本を代表する文化となった。また、江戸時代には、喫茶の習慣が忘
民にも根付き、「日常茶飯事」といった言葉が生まれるなど、日本人の生活にとって不可欠な存在と
なっている。くわえて、日本茶独特の深い味わいは、素材を活かした淡泊な味わいの料理を引き立
たせるという点から、我が国の米や魚を中心とした和食との相性が良く、和食文化を構成する重要
な役割を担っている。
このように、我が国において、お茶は、伝統と文化を育みながら国民の生活に深く浸透し、豊か
で健康的な生活の実現に寄与している。
産業としてのお茶の生産については、お茶は日本の北から南まで広い範囲で栽培されており、そ
れぞれの産地で特色ある茶生産が行われ、特に、農作物一般の生産にとって条件不利地域である中
山間地域では、お茶はその自然条件等を活かして栽培されることから重要な基幹作物となっている。
また、お茶が消費者の手元に届くまでには、茶園での「生葉」生産から、「荒茶」への加工、荒茶
をブレンド・再加工する「仕上げ」までの工程を経ており、こうした加工・流通・販売を包括して
いる茶業は、裾野が広く地域経済において重要な産業となっている。
さらに、世界と日本茶の関わりについては、江戸時代初期に初めて輸出されて以降、明治時代に
は国内生産量の8割以上が輸出されるなど、生糸と並び我が国の輸出産業を牽引し、外貨獲得によ
り日本の近代化を支えたほか、岡倉天心の著書「茶の本」等により日本の茶文化は世界に伝えられ、
多くの海外消費者を魅了してきた。近年においても、インバウンド観光による消費が好調、また茶
の輸出は過去最高額を更新という状況であり、農林水産物・食品の輸出の中でも際立つ存在である
とともに、お茶は日本文化を伝播する入口としての重要な役割を担っている。
2お茶をめぐる課題
近年、食生活を始めとする生活様式の変化や多様化、家族間の生活時間帯の相違等により、急須
を用いてお茶を飲用する機会が若年雇や中年層を中心に減少しており、これに伴いリーフ茶を中心
に国丸消費量は減少し、茶の価格は低迷している。一方、ベットポトルの緑茶飲料は、その利便生
やすっきりとした味わいが幅広い世代の消費者の支持を得て、消費は拡大傾向にある。
また、世界に目を転じると、我が国の茶の輸出は、抹茶や有機栽培茶等の需要拡大により、近年
増加傾向で推移しており、令和6年の輸出額は過去最高の364億円を記録した。一方、拡大する海
外需要に供給が応えられていないことから,今後更に輸出を拡大するためには、供給体制を強化す
ることが重要である。
お茶の生産面では、生産者の後継者不足、繁忙期の労働力不足等により、栽培面積・生産量は減
少傾向にあり、1戸当たりの栽培面積は増加傾向にあるが、小区面ほ場や傾斜地などの生産条件に
より機械化が進んでいない産地がある。
こうした中で、茶の生産者等の減少により、今後更に生産量が減少すれば、国内外の需要を満た
せなくなることも懸念される.
3今後の茶業及びお茶の文化の振興に関する基本的な方向
生産面においては、海外で需要が多く取引単価の高い抹茶の原料となるてん茶への茶種転換や有
機栽培等への栽培法の転換など需要の変化に対応した生産を推進する。
また、生産者の減少に対応するため、茶園の集積・集約化、基盤整備、老齢茶樹の改植や、スマー
ト農業技術等の開発・導入の推進により生産性を一層向上させる。
輸出については、文化と併せたプロモーション等による海外需要開拓、輸出先国・地域の残留農
薬基準など輸入条件への対応,輸出向け産地形成等により輸出を更に拡大させる。
消費については、我が国の食文化に欠かせない急須を用いた伝統的な日本茶の飲み方等を未来へ
継承することに加え、国内外の多様な需要や消費スタイルを柔軟に受け入れ、外食産業や観光産業
等の他業種等とも連携しながら、現代の消費者の生活様式に合わせた飲み方等を提案すること等を
通じて、国内外に日本茶の魅力・情報を発信し、消費拡大を図る。
お茶の文化については、次世代へ確実に継承していくため、お茶に関する文化財の保存・活用や、
国内外の消費者のお茶の文化に対する理解増進を図る。
これらの取組の推進に当たっては、産地や個々の生産者等だけでなく、茶商やドリンクメーカー
等の実需者や輸出・流通事業者、食品関連産業・外食産業・観光産業等の他業種、研究開発機関や
機械メーカー、行政機関など茶業関係者が茶業の現状に対する共通理解を持ち、茶業の維持・発展
に向けて一体的に取り組む。
第2お茶の需要の長期見通しに即した生産量に関する事項
1お茶の国内需要の長期見通し
我が国のお茶の需要の長期見通しとしては,現在の傾向が継続した場合、一人当たりの消費量は
令和12年には2割弱程度減少すると見込まれる。今後、消費の拡大に向けた施策や消費者ニーズに
対応した生産、加工・流通の体制を構築するための施策を講じ、その効果が発揮されることを前提
とし、一人当たりの消費量の減少幅を1割程度まで抑制しつつ、人口の減少を見込むと、令和12年
の国内需要量は、6.3万トンになると見込まれる。
2お茶の生産数量目標
お茶の生産数量目標は
①令和12年の輸出量は,近年の輸出の状況や今後の拡大の見通しを踏まえ、今後の輸出に関する
施策を講ずることを前提に1.5万トン(810億円)を目標とし、これを国内需要の長期見通しに加
えると、総需要量は7.8万トンと見込まれ、
②令和12年の輸入量は、近年の動向等を踏まえ0.3万トンと見込まれることから、
令和12年の生産数量目標を現状並みの7.5万トンとする。
このためには、栽培面積を現状並みの3.5万haで維持するとともに、近年の需要の変化に対応し
た茶生産への転換や、生産者等の減少に対応した生産性の一層の向上が必要であり、各般の施策を
講じた結果、全国平均の単収は217kg/10aとなると見込む。