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果樹農業の振興を図るための基本方針の公表について
果樹農業振興特別措置法(昭和36年法律第15号)第2条第1項の規定に基づき、令和12年度を目標
年度とする果樹農業の振興を図るための基本方針を次のように定めたので、同条第4項の規定に基づ
き公表する。
今和.7年4月30日農村水産大臣正義拓
第1.果樹農業の振興に関する基本的な事項厚厚生産大臣江藤和
第1果樹農業の振興に関する基本的な事項
1果樹農業の振興に向けた基本的考え方
(1)果樹農業振興基本方針の理念
我が国では、多様な気候や土地条件の下、地域の特性に応じた多種多様な果樹が栽培されて
おり、北海道から沖縄まで、地域ごとに特色ある果樹農業が展開されている。果樹農業は、我
が国の農業産出額の1割を占めるとともに、地域経済にとって重要な産業であり、特色ある豊
かな文化の形成、国民の健康の維持・増進にも寄与してきた。
近年、我が国の高品質な果実生産は高く評価され、国内においては果実価格の上昇に伴い産
出額も増加し、経営体当たりの所得の増加につながっている。また、海外においても、生鮮果
実の輸出増加に一端が示されるように、日本産果実の評価が高く、輸出品目としても高いポテ
ンシャルを有している。
しかし、人口減少等を背景にした担い手・後継者の不足や、気候変動に伴う高温等の影響に
より、果実の生産量は減少しており、そのポテンシャルを十分に活かしきれず、国内外の需要
に応えきれていない。そればかりか、果実価格の上昇により一部の経営体の所得が増加しても、
生産量の減少は地域農業を支える流通等のインフラの衰退、ひいては地域産業の衰退につなが
りかねない状況である。
他方で、生産面積当たりの収量を飛躍的に向上することが可能な省力樹形等の技術が萌芽し
ており、また、これまで分業されてきた果実加工等の食品産業からの果実生産への参画の動き
が見られる。加えて、成長著しい輸出産業にサプライチェーンが一体となって参画し、収益の
拡大を目指す動きが顕れている。果樹農業は、こうした技術・経営のイノベーションの只中に
あり、その取組をスピード感をもって全国に波及させることが、個々の経営の競争力強化につ
ながり、ひいては果樹農業の持続的な発展に重要である。
果樹農業振興基本方針(以下「基本方針」という。)は、これらの課題に対応し、需要に応え
る果樹農業の持続的な発展を目指すために必要な基本的事項を定めるものである。技術やひと、
園地といった生産基盤の強化の加速化を柱とし、関係者が一体となって施策を推進する。
(2)基本方針の期間等
従来の食料・農業・農材基本法に基づく政策全般にわたる検証及び評価並びに今後20年程度
を見据えた課題の整理を行い、同法が改正された(令和6年6月5日施行),
新たな食料・農業・農村基本計画は、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるこ
ととしており、その計画期間は5年間である。これを踏まえつつも、新たな基本方針は、一度
定植すればその後の20年間栽培を続けるという永年性作物である果樹の特性を鑑み、今後20年
程度を見据えた5年間の基本方針として定める。
基本方針において、果樹農業振興特別措置法に基づき、果実の需要の長期見通しに即した栽
培面積その他果実の生産の目標を定めるとともに、生産目標を含めたKGI(Key Goal Indi-
cator:重要目標達成指標)及び施策の有効性を示すKPI(Key Performance Indicator:重
要業績評価指標)を定める(KGIやKPIの関連については、第2果実の需要の長期見通
しに即した栽培面積その他果実の生産の目標に提示)。なお、施策の有効性は、市場動向や技
術進展を踏まえ、施策の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行う。また、施策
の実行にあっては、国、自治体、生産者団体、研究機関が連携し、果樹農業の総合的な支援体
制を構築する。
2果樹農業をめぐる現状と課題の認識
高品質な果実の生産や国内外での堅調な需要を背景に、国産果実の卸売価格は上昇傾向で推移
している。一方で、果樹農業者の減少・高齢化が先行しており、栽培面積・生産量はともに減少
傾向にあり、果実の需要に対して国内生産が応えきれていない状況にある。
さらに、世界各地で気候変動による異常気象が頻発化しており、特に我が国の果樹農業では、
高温等の影響による障害が頻繁に発生する状況にある。
果樹農業が大きな割合を占める中山間地域では、都市に先駆けて人口減少・高齢化が進展して
おり,農村内の非農業者も今後大幅に減少する見込みにある。果樹農業者の所得の確保・向上と
ともに、地域経済を守るという観点から、果樹農業の地域の基幹産業としての付加価値を高めて
いくことが課題である。
また、人口減少により果実の匡内消費量が減少する中で、加工や輸出等の需要は増加している。
高品質な国産果実の強みは活かしつつ、多様な消費者ニーズを捉え、果実加工品等の新たな需要
への対応や海外から稼ぐ力の強化が必要である。
これらの課題に対応し、需要に応える果樹農業の発展に向けて、生産基盤強化の加速化など、
果樹農業の振興に必要な目標及び施策を次項より掲げる。
3果樹農業の生産基盤強化の加速化に向けた施策の推進
(1)労働生産性の向上及び安定生産の脅威となる気候変動等への対応
目標
労働生産性の向上のため、地域計画に基づいた園化の集積・集約化や基盤整備を進めるとと
もに、省力樹形等への改植・新植、スマート農業技術・省力化品種等の開発・導入を強力に推
進する。その際、大規模な経営体の育成・参入や、省力樹形等への改値・新植による省力的な
樹園地への転換をスピード感を持って進める(これらにより目指す経営体のモデルを第4近
代的な果樹園経営の基本的指標に提示)。
また、生産減少の大きな要因となる温暖化の影響等に対して、資機材による対策や品種構成
の見直し等の検討を進める。加えて、高温適応性を有する品種の開発・導入等を推進する(こ
れらの技術的対策や、品種・品目転換を図る上での基準を第3栽培に適する自然的条件に関
する基準に提示)。気候変動に適応する生産対策と併せて,化学農薬の使用量低減に資する病
害抵抗性を有する品種等の開発・導入や化学肥料の使用量低減等の環境負荷低減策・気候変動
緩和策を進める。さらに、社会全体の行動変容につながるよう食料システムの関係者の環境負
荷低減対策への理解を促進する。
【KGI】
●単収
1.258kg/10a(令和5年度)1.334kg/10a(令和12年度)
主要指標(KPI)
●省力樹形等の導入スピード
170ha/年(令和5年度)340ha/年(令和12年度)
●技術的な高温対策を導入した産地
令和12年度までに500産地で導入