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7 月 日 月16日
また、被請求団体は、位階制度による上命下服の組織体制を有していると認められるため、
人的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには,全出家構成員の位階を特
定してその構成を把握した上で、被請求団体の組織としての方向性を決定付け得る位階上位
者がどの程度存在し、更にその中に、無差別大量殺人行為に関連する属性を有している者が
どの程度存在するのかなどを把握する必要があるが、出家構成員の位階の不報告により、か
かる把握が困難になっている。
ウ次に、物的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには、当該団体の活動
の用に供されている土地及び建物について、それらが例えば武器等の保管や製造に用いられ
るなど、無差別大量殺人行為に関連する用途に使われ、あるいは、使われようとしている状
況がないかどうか等を把握する必要があるが、水口施設、甲賀信楽施設及び北域谷施設の一
部の所在、地積(規模)及び用途の不報告により、かかる把握が困難になっている。
エさらに、資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには、例えば武器
の購入代金や毒物製造施設の建設等、無差別大量殺人行為に関連を有する事項に投資可能な
現金や預貯金の総額を把握する必要があるほか,武器購入等の取引などに使用可能な預貯金
口座の有無・口数を把握する必要がある。
また、被請求団体においては、複数の法人等を用いて収益事業を行うことで資産を形成し
ている実態があるため、被請求団体がこれらの収益事業を利用して無差別大量殺人行為に関
連する活動を行っていないかどうかといった点や、これらの収益事業に係る資産から無差別
大量殺人行為に関連を有する事項にどの程度の資金を投入することが可能かといった点など
を把握する観点から、これら収益事業の事業内容や資産状況等を把握する必要がある。
ところが、被請求団体が本件10口座に係る預貯金の種類等を報告せず、また、からま
での各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産の不報告により、これらの把握が困難
になっている。
オこのように、本件一部不報告の具体的内容は、人的要素、物的要素及び資金的要素に係る
危険な要素の質的・量的程度の把握を困難にするものである。
(3)不報告の程度(期間の長短、範囲の広狭など)について
ア本件一部不報告期間だけでも約6か月間という長期間に及ぶ上、被請求団体は、水口施設
及び甲賀信楽施設については、これらの施設を住所とする出家構成員を継続的に有していな
がら、前者については平成20年11月15日付け第36回「報告書」以降、後者については平成28
年5月14日付け第66回「報告書」以降、本件一部不報告に至るまで不報告を続けていた。
また、 からまでの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産について見ると、
実際には従前と同様、これらの収益事業を営み、これらに係る資産を有していたと認められ
るにもかかわらず、①については平成30年5月14日付け第74回「報告書」以降、日から⑧ま
での各収益事業については令和2年2月15日付け第81回報告書」(以下「第81回報告書」と
いう。」以降、不報告を続けるなどしていたものであり、その不報告の期間は長期にわたって
いる。
イさらに、被請求団体が提出した平成28年11月13日付け第68回「報告書」によれば、同年10
月末時点では、被請求団体の全資産に占める収益事業に係る資産の割合が約13ペーセント、
それ以外の資産の割合が約87パーセントであったものが、被請求団体が令和6年2月5日付
け第97回「報告書」(被請求団体は「第12回報告書」と表記)に「人格のない社団Alephの構
成員全員の総有に属する現金の現在額」として記載した金額及び各施設に対する立入検査に
より確認された収益事業に係る資産を前提とすれば、同年1月末時点では、被請求団体の全
資産に占める収益事業に係る資産の割合が約99パーセント、それ以外の資産の割合が約1
パーセントとなっていることが認められる。これらの事情に照らせば、
益事業に係る資産は被請求団体全体の資産のうち主要部分を占めるものと考えられる。
したがって、○から缶までの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産の不報告は、
被請求団体の有する資産量や資産形成過程の主要部分を明らかにしないものであって、被請
求団体の資金的要素に係る不報告の範囲は非常に広いといえ、また、被請求団体による不報
告が長期にわたっていることも相まって、被請求団体の資産の全体像や被請求団体内部の資
金の動きについての把握が困難になっているということができる。
(4)「報告書」の他の記載事項や過去の「報告書」の記載事項に基づく把握可能性の有無につ
いて
本件一部不報告に係る要報告事項については、基本的に本件各報告書の他の記載事項や過去
の「報告書」の記載事項に基づきこれらを把握することは困難と考えられる。特に収益事業に
関する事項については、前記2(5)イ(ウ)記載のとおり、を除く各収益事業の本店所在地は本件
各報告書の他の記載事項から把握可能であるものの、それ以外の収益事業の種類及び概要等を
他の記載事項から把握することは困難であるし、収益事業について被請求団体から最後に「報
告書」の提出があったのは、については平成30年2月、からまでについては令和元年11
月であり、現在までに相当長期間のプランクが生じていることからすれば、過去の「報告書
の記載事項から、現在の各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産を把握し、現在の資
金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を推し量ることも困難である。
以上のとおり、特に各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産を中心に要報告事項を
「報告書」の記載事項等から把握することが困難である。
(5)任意調査及び立入検査による把握の可能性・容易性・迅速性について
ア観察処分に付された団体の活動状況を明らかにするための方策としては、「報告書」による
把握のほか、いわゆる任意調査(法第7条第1項)及び立入検査(同条第2項)がある。
もっとも、法は、本来、当該団体から法第5条第2項又は第3項の規定による報告がされ、
その報告の内容により要報告事項を容易かつ迅速に把握することができることを前提にした
上で、同報告により示される当該団体の活動状況を基に、その裏付けをとったり、これを端
締として更にその活動状況を明らかにしたりするための方策として、任意調査及び立入検査
の規定を置いていると解される。そうである以上、法の定める報告がされないために、本来
は同報告によって容易かつ迅速に把握できるはずの要報告事項を把握できないという状態そ
れ自体が、基本的に、法第8条第1項柱書き後段の規定する「無差別大量殺人行為に及ぶ危
険性の程度を把握することが困難」な状態に当たるというべきである。
この点、被請求団体においては、構成員に対し、任意調査の拒否や立入検査における非協
力的態度を奨励、指導している状況が見受けられる上、実際の立入検査においても、立ち会っ
た構成員が公安調査官の質問に答えないなどの非協力的態度を取る事案が複数の施設におい
て発生している。また、各施設に設置されたパソコン内にファイル消去ソフトウェアがイン
ストールされていたことにより、パソコン内データの確認が十分に行えない事案も発生して
いる。さらに、被請求団体においては、構成員に対して立入検査時に物件を隠匿するよう指
示する書面が確認され、過去には実際に検査忌避(法第39条)事件が発生するなど、任意調
査及び立入検査に対する被請求団体の非協力的態度は明らかといえる。