その他令和7年3月14日

自然再生事業における順応的な進め方と継続実施に関するガイドライン

掲載日
令和7年3月14日
号種
号外
原文ページ
p.103
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自然再生事業における順応的な進め方と継続実施に関するガイドライン

令和7年3月14日|p.103

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(合
103.00日 日 日曜日
エ順応的な進め方
自然再生事業は、複雑で絶えず変化する生態系その他の自然環境を対象とした事業であるこ
とから、地域の自然環境に関し専門的知讃を有する者の協力を得て、自然環境に関する事前の
十分な調査を行い、事業着手後も自然環境の再生状況をモニタリングし、その結果を科学的に
評価し、これを当該自然再生事業に反映させる順応的な方法により実施することが必要です。
これを進めていくため、自然再生の実施者は,成功・失敗にかかわらず順応的な取組の情報
を可能な限り公開することに努め、国は、順応的な取組の参考となる事例を集約し広く情報発
信することに努める必要があります。
また、自然再生において、自然の復元力が十分に発揮されるよう条件を整えることにより回
復の過程に導く場合や、その回復の過程の中で補助的に人の手を加える場合がありますが、生
態系の健全性の回復には一般に長い期間が必要であることを十分に認識すべきです。
このため、自然再生事業の実施に当たっては、自然再生の目標とする生態系その他の自然環
境の機能を損なうことのないよう、自然環境が再生していく状況を長期的・維練的にモニタリ
ングし、必要に応じ自然再生事業の中止や中止した場合に周辺環境へ影響が及ばないようにす
ることを含め、計画や事業の内容を見直していく順応的な進め方によることが重要です。
オ自然再生の継続実施
自然再生の実施には長期間を必要とすることから、綿密な維持管理を行う箇所と自然の遷移
や復元力に委ねる箇所をゾーニングすることなどにより維持管理作業の省力化について検討す
ることが重要です。また、再生された自然環境は、次世代も享受するものとなるため、自然環
境の将来計画の検討や自然環境調査などを行う際は、地域の子供たちの参加を促し、次世代の
実施を見据え、担い手の育成を図りながら、目指すべき自然環境の目標を共に考えていくこと
も重要です。
さらに、新たな実施者や協力者の獲得を図るためには、SNSやインターネット等の各種メ
ディアを活用した情報発信を積極的に行うことや、地域住民の関心の高い取組と連携すること、
大学等の学術機関との連携を図り研究者や学生の自然再生への参加を促すこと、民間企業が事
業活動の一環として自ら自然再生に取り組む又は活動を支援することが重要です。
カ自然再生後の自然環境の扱い
計画された事業の実施中のみならず事業完了後においても、継続的なモニタリングを実施す
ることにより自然環境を監視し、自然環境が再び劣化した場合には、必要に応じて科学的知見
を基に対応を行うことにより、自然環境が健全な状態に回復するまで適切な措置を講ずること
が必要です。
また、再生されつつある自然環境を再び劣化させないためには、豊かな自然の適切な利用に
関するルール作りなどの検討を行うことや希少動植物の捕獲・採取を防止するための知識の普
及を行うことが重要です。
さらに、再生された自然環境が将来にわたって適切に維持されるよう、地域の実情に応じて、
周辺地域も含む土地利用や自然環境の保全に関する様々な施策との広範な連携や必要な財政上
の措置を講ずるよう努めることも重要です。
キ人と自然の関わりの歴史を踏まえた文化的な価値の創造
わが国が有する文化は、自然環境と密接な関係を持ち、国土全体にわたる豊かな自然は元よ
り、地域が有する独特の自然環境の影響も色濃く受けて育まれているものです。例えば、小動
物や草花を楽しみ季節を読みとる感性である「花鳥風月」や、花見、蛍狩り、目見、紅葉狩り、
雪見などの文化、火入れ(野焼き、山焼き)などの維持管理手法、ふなずしなどの伝統的食文
化は、地域の豊かな自然環境と共にあり、情緒豊かな心を育む源となるものです。このように、
自然再生の取組は、生物多様性の保全に貢献するだけでなく人と自然とのつながりを再生する
ことで、文化の多様性を豊かにすることにも貢献します。
また、自然再生の取組は、地域住民と共に行うものであり、地域独特の自然や文化と密接な
関わりを持つものであることから、地域コミュニティーの維持・再生にもつながります。この
ため、地方公共団体等は、地域コミュニティーの保全・再生に資する自然再生の政祖に対して、
必要な支援に努めることが重要です。
さらに、自然再生の取組は、自然環境を保全・再生していくものであると同時に、豊かな景
観の保全・再生にもつながるものです。農村の人々や生業などによって形成される田圃地域や
里地里山のような二次的自然などの自然環境が織りなす美しい景観は、地域固有の資産であり、
地方公共団体等は、その方向性を明らかにし、地域と一体となって、美しい景観を形成し、匡
民への提供に努めることが重要です。
人が自然との関わりの歴史を踏まえた文化の中で得た知見や技術的ノウハウを、自然再生の
取扱に生かしていくことも重要です。例えば、わが国では、森林管理により生じる木材や粗朶
などの地域の自然資源を用いるほか、人力を十分に活用した作業を行うなど伝統的な手法を
行ってきました。このような手法のうち自然と調和したきめ細かで丁寧な手法について,地域
における経験と実績に基づく知見の把握や伝承に努めるとともに、特に、地域によっては、火
入れや池さらいなどの実施が自然のかく乱の代替として生物多様性の維持に必須であるなど、
その有効性を確認しつつ、自然再生の手法として用いていくことも必要です。
ク「小さな自然再生」及び自然再生に資する公共事業等の取組の促進
地域の民間団体や地域住民などの参加・協働という形をより一層活発化させていくため、自
然再生推進法に基づく自然再生協議会(以下単に「自然再生協議会」という)による自然再生
事業だけでなく、民間団体などが民有地も含めて活動を展開していくことを地域全体で支えて
いくことが重要です。地域の民間団体や地域住民などが主体となり身近な自然を再生する「小
さな自然再生」は、小規模ですが誰でも始めることができ、早期の事業実施や効果発現につな
がることが期待できます。
「小さな自然再生」の実施に当たっては、地方公共団体が定める生物多様性地域財略で示さ
れる地域の自然環境が目指す方向や内容を参考とするとともに地域の遺伝的特性に適合した種
を用いることや外来種を持ち込むことのないよう努める必要があるため,必要に応じて国や地
方公共団体、地域の当然環境の情報や知識を豊富に有する自然系博物館などと連携することも
重要です。
このほか、国や地方公共団体が公共事業や官民連携の取組により実施している事業の中にも、
様々な形で自然再生に資する取組があり、多面的機能の維持・発揮や環境保全に資する農林水
産業を支援する各種制度なども、自然再生の側面を持っていると考えられます。
「小さな自然再生」等の自然再生に資する取組は、自然再生協議会による自然再生と併せて
全国各地で展開されることにより、広域的な自然環境の保全・再生につながることが期待され
ます。このため、これまで自然再生事業等で培われてきた経験や知識を共有しながら、それぞ
れの活動を促進していくことが重要です。より広範囲かつ多様な主体で連携することで効果的
な取組となる場合には、自然再生協議会に移行するなど,自然再生の取組状況に応じて適切な
実施体制を検討することが望ましいと考えられます。
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自然再生事業における順応的な進め方と継続実施に関するガイドライン - 第103頁
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