告示令和6年8月2日

公安審査委員会告示第四号(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく意見聴取の通知)

掲載日
令和6年8月2日
号種
号外
原文ページ
p.1 - p.8
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抽出要点

団体規制法に基づく報告義務違反及び再発防止処分

抽出された基本情報
省庁公安審査委員会
件名団体規制法に基づく報告義務違反及び再発防止処分

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公安審査委員会告示第四号(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく意見聴取の通知)

令和6年8月2日|p.1-8

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○公安審査委員会告示第四号 令和六年七月二十二日、公安調査庁長官浦田啓一から、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成十一年法律第百四十七号)第十二条第一項前段の規定に基づき、左記第一記載の団体に対する処分の請求があったので、同法第十六条の規定に基づき意見聴取を行うこととし、同法第十七条第一項及び第二項の規定に基づき、左記第二記載のとおり公示する。 令和六年八月二日 公安審査委員会委員長 貝阿彌誠
第一 被請求団体 一名称
平成十二年一月二十八日、公安審査委員会(以下「公安審」という。)によって、三年間、公安調査庁長官の観察に付する処分を行う決定(以下「本件観察処分決定」という。)を受け、平成十五年一月二十三日以降令和六年一月十二日までの間に、三年ごとに、順次本件観察処分決定に係る処分の期間を更新する決定(以下「期間更新決定」という。)を受けた「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体(以下「本団体」という。)と同一性を有する、「人格のない社団として」の名称を用いる団体(以下「Aleph」という。)
二主たる事務所の所在地 埼玉県越谷市北越谷一丁目二十番六号 「さくらマンション」一〇一号室
三代表者 氏名佐々木正光
昭和三十二年二月十四日生(当六十七年) 職業団体役員 住所神奈川県横浜市神奈川区新町四番地十一
第二 通知事項 一公安調査庁長官の請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項
再発防止処分(具体的な内容は後記三のとおり) 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「法」という。)第八条第一項並びに同条第二項第二号及び第五号
二請求の原因となる事実 1 「Aleph」の組織概要
「Aleph」は、「オウム真理教」の名称を用いて活動していた本団体が、四度の名称変更を経るなどして現在に至った団体で、本団体の組織形態・運営・構成員等を維持したまま活動している、本団体と同一性を有する主要な団体のうちで最大の規模を有する団体であり、麻原彰晃こと松本智津夫(以下「麻原」という。)に絶対的に帰依し、麻原の死亡後も「タントラ・ヴァジラヤーナ」を含む「オウム真理教」の教義を保持し続け、麻原及び麻原の説いた教義への絶対的帰依を明示的に強調して活動している。 その中で、「Aleph」は、埼玉県八潮市大字大瀬所在の「Aleph」管理下の施設・通称「八潮大瀬施設」(以下「八潮大瀬施設」という。)等の大規模施設に全国の出家した構成員や在家の構成員を集めて集中セミナーを定期的に開催し、麻原及び麻原の説いた教義への絶対的帰依を培うとともに、多額の資金を獲得してきた。 そして、「Aleph」の活動を行う構成員は、令和六年四月末時点において、日本国内に少なくとも約千二百四十名(出家した構成員約百六十五名、在家の構成員約千七十五名)が存在すると認められる。 また、「Aleph」は、拠点施設として、十二都道府県下に多数の施設を確保している。
2 「AOP」が法第五条第四項の処分を受けている団体であること(法第八条第一項柱書き後段の要件該当性①) 前記第一・一で述べたとおり、「AOP」は、令和六年一月十一日の八回目の期間更新決定(以下「第八回期間更新決定」という。)を受けた本団体と同一性を有することから、法第五条第四項の処分を受けている団体に該当する。 3 「AOP」が法第五条第五項において準用する同条第三項の規定に基づく報告をしていないこと(法第八条第一項柱書き後段の要件該当性②) (一) 「AOP」には、法に基づく報告義務があること (1) 報告義務の内容 期間更新決定を受けている「AOP」は、法第五条第五項において準用する同条第三項の規定に基づき、公安調査庁長官に対し、三箇月ごとに、同項各号に規定された事項(以下「要報告事項」という。)を報告しなければならない(以下、この報告として提出される報告書を「報告書」という。) 具体的には、①当該各期間の末日における当該団体の役職員の氏名、住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所(同項第一号)、②当該各期間の末日における当該団体の活動の用に供されている土地の所在、地積及び用途(同項第二号)、③当該各期間の末日における当該団体の活動の用に供されている建物の所在、規模及び用途(同項第三号)、④当該各期間の末日における当該団体の資産及び負債のうち政令で定めるもの(同項第四号)。これについて無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律施行令(平成十一年政令第四百三号。以下「施行令」という。)第二条では「現金の現在額」(同条第一号ハ)、「預貯金の種類、金融機関名、残高及び口座名義人の氏名又は名称」(同号ホ)等と規定、⑤当該各期間中における当該団体の活動に関する事項のうち政令で定めるもの(法第五条第三項第五号。これについて施行令第三条では、当該団体(その支部、分会その他の下部組織を含む。以下この号において同じ。)がした当該団体の活動に関する意思決定の内容(同条第一号)及び「当該団体の機関誌紙の名称及び発行部数並びに編集人及び発行人の氏名」(同条第二号)と規定。以下、これらをまとめて、「主要な活動に関する事項」という。)及び⑥公安審が特に必要と認める事項(法第五条第三項第六号。公安審が第八回期間更新決定において、「特に必要」と認めた事項は、「被請求団体(本団体)の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家信徒の位置」、「被請求団体(本団体)作成のインターネット上のホームページに係る接続業者名、契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名」及び「被請求団体(本団体)(その支部、分会その他の下部組織を含む。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず、実質的に被請求団体(本団体)が経営しているものをいう。)の種類及び概要、事業所の名称及びその所在地、当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電磁的記録で作成されている場合には、当該電磁的記録の保存場所)」(以下「団体の営む収益事業の種類及び概要等」という。)である。)のほか(以下それぞれ「要報告事項①〜⑥などという。)、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律施行規則(平成十一年法務省令第四十六号)第六条では、「報告書」の様式において、特別の呼称がある場合には、これを併記することを規定している。(なお、公安審が令和三年一月六日の七回目の期間更新決定において、「特に必要」と認めた事項は、第八回期間更新決定において「特に必要」と認めた事項と同様の内容である。)。 (2) 報告対象期間及び報告時期 「AOP」は、各期間更新決定後の期間中、三箇月ごとに、前年十一月一日から当年一月末日までの期間の分を二月十五日までに、同月一日から四月末日までの期間の分を五月十五日までに、同月一日から七月末日までの期間の分を八月十五日までに、同月一日から十月末日までの期間の分を十一月十五日までに、それぞれ要報告事項を報告しなければならない。 (二) 「AOP」の本件一部不報告及びそれに至る経緯等 (1) 「AOP」は、かねて未成年構成員(なお、未成年者とは、平成三十年法律第五十九号による民法の一部を改正する法律の施行前については二十歳未満の者を、同法施行後については十八歳未満の者をいうが、「AOP」は、同法施行後も二十歳未満の者を未成年者として取り扱っていることから、二十歳未満の構成員をいう。以下同じ。)等一部の要報告事項を報告していなかったところ、さらに、令和二年以降、団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する事項等の要報告事項も報告しなくなった。 これに対し、公安調査庁は、報告を促す指導を繰り返し行ったが、「AOP」は、それに応じなかった。 また、「AOP」は、公安調査庁による前記指導に応じないばかりか、令和三年二月一日から同年四月三十日までの期間における要報告事項を報告期限である同年五月十五日までに報告せず、さらに、同月一日から同年七月三十一日までの期間における要報告事項を報告期限である同年八月十五日までに報告しなかった(以下、これら二回の不報告事実をまとめて、「全部不報告」という。)。 これに対し、公安調査庁は、報告を促す指導を繰り返し行ったが、「AOP」は、それにも応じなかった。 公安調査庁長官は、「AOP」による全部不報告により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難となったことから、同年十月二十五日、公安審に対し、「AOP」について、再発防止処分請求を行った(以下「令和三年請求」という。)ところ、「AOP」は、同年十一月十一日、全部不報告に係る同年二月一日から同年四月三十日までの期間における要報告事項を記載した「報告書」及び同年五月一日から同年七月三十一日までの期間における要報告事項を記載した「報告書」をそれぞれ提出し、さらに、同年十一月十五日、同年八月一日から同年十月三十一日までの期間における要報告事項を記載した「報告書」を提出した(公安調査庁長官は、同年十一月十九日、全部不報告の是正を受け、令和三年請求を撤回した。)。ただし、これらのいずれの「報告書」についても、団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する事項等の要報告事項の一部を報告しなかった。 その後、「AOP」は、令和四年二月十四日付け「報告書」以降四回にわたり、「報告書」を提出したものの、いずれの「報告書」においても、団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する事項等の要報告事項の一部を報告しなかった。 これに対し、公安調査庁は、引き続き、報告を促す指導を繰り返し行ったが、「AOP」は、それに応じなかった。 公安調査庁長官は、「AOP」による同日付け「報告書」以降四回にわたる「報告書」における一部不報告により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難となったことから、令和五年一月三十日、公安審に対し、再発防止処分請求を行った(以下「令和五年一月請求」という。)。 これに対し、「AOP」は、同年二月二十日付けで東京地方裁判所(以下「東京地裁」という。)に再発防止処分の差止めを求める訴訟を提起するとともに、同処分の仮の差止めを求める申立てをした(以下「仮の差止め申立事件」という。)。
そして、公安審の審査中であり、かつ、仮の差止め申立事件の係属中である同月二十八日、「DSD」が実質的に経営する少なくとも十の収益事業のうち、廃業したとされる収益事業を除く計九の収益事業(以下「計九の収益事業」という)の各名義で、公安調査庁長官に対し、各収益事業の種類及び概要等やその資産等が記載された同月二十七日付け書面(以下「令和五年二月書面」という)が一斉に送付された。「DSD」は、仮の差止め申立事件において、令和五年二月書面の送付にも言及して同処分の仮の差止めを求めた。しかし、東京地裁は、同年三月九日、仮の差止め申立事件につき、「DSD」の主張を排斥し、申立てを却下する旨決定した(なお、「DSD」は、同月二十四日、前記差止訴訟を取り下げた)。また、公安審は、同月十三日、官報公示の日の翌日から六箇月間、「Aes」が所有又は管理する土地、建物の全部又は一部を使用してはならない旨、及び金品その他の財産上の利益の贈与を受けてはならない旨決定した(以下「令和五年三月決定」という。同決定は、同月二十日官報公示されたため、処分の期間は同月二十一日から同年九月二十日までである)。令和五年一月請求後、「DSD」は、同年二月十四日付け「報告書」以降二回にわたり、「報告書」を提出したものの、これら「報告書」においても、団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する事項等の要報告事項の一部を報告しなかった。これに対し、公安調査庁は、引き続き、報告を促す指導を繰り返し行ったが、「Aes」は、それに応じなかった。また、「DSD」は、同年五月二十二日付けで東京地裁に令和五年三月決定による再発防止処分の取消しを求める訴訟を提起するとともに、同処分の執行停止を求める申立てをした(以下「令和五年三月決定執行停止申立事件」という)。公安調査庁長官は、「DSD」による同年二月十四日付け「報告書」以降二回にわたる「報告書」における一部不報告により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難となったことから、同年七月十四日、公安審に対し、再発防止処分請求を行った(以下「令和五年七月請求」という)。その後、東京地裁は、同年八月二日、令和五年三月決定執行停止申立事件につき、「DSD」の主張を排斥し、申立てを却下する旨決定した(なお、前記取消訴訟は、「DSD」の申立てを受け、同年十一月十五日、損害賠償請求の訴えに変更された)。また、公安審は、同年九月四日、同月二十一日から六箇月間、「DSD」が所有又は管理する土地、建物の全部又は一部を使用してはならない旨(一部の使用が禁止される建物における使用禁止の範囲につき令和五年三月決定より拡張された)、及び金品その他の財産上の利益の贈与を受けてはならない旨決定した(以下「令和五年九月決定」という。同決定は、同月十九日官報公示され、処分の期間は同月二十一日から令和六年三月二十日までである)。その後、「DSD」の出家した構成員らは、順次、令和五年九月決定のうち、同構成員らがそれぞれ居住する施設に関し、使用が禁止された部分の取消し等を求める訴訟を各地方裁判所に提起するとともに、一部の施設の構成員らは、令和五年九月決定による再発防止処分の執行停止を求める申立てをした(同月二十一日付けで愛知県名古屋市中区千代田所在の「DSD」管理下の施設・通称「名古屋施設」(以下「名古屋施設」という)に所属する出家した構成員五名が名古屋地方裁判所(以下「名古屋地裁」という)に、同年十月十一日付けで東京都杉並区西荻北所在の「DSD」管理下の施設・通称「西荻施設」(以下「西荻施設」という)に所属する出家した構成員十一名が東京地裁にそれぞれ提訴・申立て、また、同月十四日付けで神奈川県横浜市神奈川区新町所在の「DSD」管理下の施設・通称「横浜施設」に所属する出家した構成員六名が横浜地方裁判所に提訴した)。
このうち、名古屋施設に所属する出家した構成員らによる執行停止の申立てにつき、名古屋地裁は、同月二十五日、同構成員らの主張を排斥し、申立てを却下する旨決定した(なお、名古屋高等裁判所は、同年十二月二十二日、同構成員らの即時抗告を棄却し、最高裁判所は、令和六年三月二十九日、特別抗告を棄却し確定した)。そして、名古屋施設に係る前記取消訴訟につき、名古屋地裁は、同月十四日、同構成員らの主張を排斥し、請求を棄却する判決を下した(なお、同構成員らは控訴せず、同判決が確定した)。また、西荻施設に所属する出家した構成員らによる執行停止の申立てにつき、東京地裁は、同年一月十二日、同構成員らの主張を排斥し、申立てを却下する旨決定した(なお、東京高等裁判所(以下「東京高裁」という)は、同年三月十五日、同構成員らの即時抗告を棄却し、その後確定。西荻施設に係る前記取消訴訟については、同年五月二十二日、同構成員らの取下げを受けて終了した)。さらに、「DSD」及び「DSD」の出家した構成員二名は、令和五年十一月二十五日付けで東京地裁に令和五年九月決定による再発防止処分の取消しを求める訴訟を提起するとともに、同処分の執行停止を求める申立てをしたところ、東京地裁は、令和六年二月十四日、「DSD」らの主張を排斥し、申立てを却下する旨決定した(なお、東京高裁は、同年三月十九日、「DSD」の即時抗告を棄却し、その後確定した)。令和五年七月請求後、「DSD」は、同年八月十四日付け「報告書」以降二回にわたり、「報告書」を提出したものの、これら「報告書」においても、団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する事項等の要報告事項の一部を報告しなかった。これに対し、公安調査庁は、引き続き、報告を促す指導を繰り返し行った(なお、一部を除く指導文書については、未開封のまま返送された)が、「DSD」は、それに応じなかった。公安調査庁長官は、「DSD」による同日付け「報告書」以降二回にわたる「報告書」における一部不報告により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難となったことから、令和六年二月一日、公安審に対し、再発防止処分請求を行った(以下「令和六年二月請求」という)。公安審は、同年三月三十一日、同月二十一日から六箇月間、「DSD」が所有又は管理する土地、建物の全部又は一部を使用してはならない旨(一部の使用が禁止される建物につき令和五年九月決定より三施設追加された)、及び金品その他の財産上の利益の贈与を受けてはならない旨決定した(以下「令和六年三月決定」という。同決定は、同月十九日官報公示され、処分の期間は同月二十一日から同年九月二十日までである)。(2) 本件一部不報告状況令和六年二月請求後、「DSD」は、同月五日付け「報告書」及び同年五月十四日付け「報告書」を提出したものの、これらの「報告書」においても、少なくとも、要報告事項である後記アないしオについて殊更報告せず、従前に引き続き、要報告事項の一部の不報告に及んでいる(以下、これらをまとめて「本件一部不報告」という)。ア構成員に関する不報告未成年構成員に加え、住家の構成員の一部について、「報告書」中の氏名及び住所の記載を「白抜き」とし、報告していない。イ活動の用に供されている土地及び建物に関する不報告滋賀県甲賀市水口町所在の「DSD」管理下の施設・通称「水口施設」及び同市信楽町所在の「DSD」管理下の施設・通称「甲賀信楽施設」の全部並びに埼玉県越谷市北越谷所在の「Aes」管理下の施設・通称「北越谷施設」の一部について、報告していない。
ウ 団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する不報告 平成三十年二月十四日付け「報告書」まで記載され、同年五月以降に報告されなくなっ た小売業等を営む一の収益事業の種類及び概要等に加え、計九の収益事業(以下、前記 一の収益事業と合わせ「計十の収益事業」という。)の種類及び概要等について、報告し ていない。 なお、少なくとも計九の収益事業について、「Aleph」は、「これらの収益事業は 「Aleph」が経営するものではなく、法的義務として報告することはできない。」旨主張 しているが、代表者等がいずれも「Aleph」の出家した構成員であるところ、「Aleph」 においては、「不所有の戒律」に基づき、出家した構成員について個人資産の保有が認め られていないこと、本店所在地がいずれも「Aleph」の施設であり、かつ、従業員も 「Aleph」の出家した構成員であること、事業内容が在家の構成員に対する指導や物品 販売等で「Aleph」の活動と一体であり、「Aleph」からの経済的独立性もないことなど から、「Aleph」が実質的に経営する収益事業であり、「Aleph」の営む収益事業に該当す ることは明らかである。 エ 資産に関する不報告 「Aleph」の預貯金及びその他少なくとも計十の収益事業の資産について、報告して いない。 オ 出家した構成員の位階に関する不報告 出家した構成員の位階について、報告していない。 (3) 指導状況 公安調査庁は、「Aleph」に対し、本件一部不報告に係る要報告事項等を報告するよう文 書により繰り返し指導を行ったものの、「Aleph」は、かかる文書の受取を拒否するなどし て指導を無視し続け、結局、現在に至るまで、本件一部不報告を継続している。 4 再発防止処分下における「Aleph」の活動状況 「Aleph」は、令和五年三月決定により建物の一部の使用が禁止された施設(以下「一部使 用禁止施設」という。)においては、使用禁止とされた道場等に保管されていた物品を使用が禁 止されていない場所へ移動させた上で、相当数の在家の構成員を出入りさせるなどして、道場 以外の場所を実質的に道場と同じように使用したり、屋外において在家の構成員を対象とした 行事を開催したりするなど、活動内容を変化させた。 令和五年七月請求以降は、一部使用禁止施設において、引き続き、相当数の在家の構成員を 出入りさせるなど、施設内での活動を継続するほか、在家の構成員に対し、ウェブ会議システ ムを用いて在宅のまま指導を受けさせたり、屋外における修行を行わせたりするなど、施設外 での活動を企図したと考えられる活動を行う一方、施設内において寝室を拡大して使用禁止の 処分を回避しようとしたものと考えられる活動も認められた。また、一部の施設については、 在家の構成員のための道場をやめたと主張しているものの、その部屋をそのまま維持している ことなどから、依然として、在家の構成員のための道場の運営を続け、少なくともそれが極め て容易かつ可能な状況にあると認められた。 令和五年九月決定以降、「Aleph」は、在家の構成員が多数参集していた施設の道場が使用禁 止となったこともあり、在家の構成員に対し、施設に出入りさせたり、各種セミナー等の行事 を開催して参加させたりすることは控えるようになった。その結果、在家の構成員から徴収す る資金については大幅に減少している状況がうかがえた。一方で、「Aleph」は、在家の構成員 に対し、自宅での修行を指示したり、「ドゥギー」が実質的に経営する収益事業を継続させること にも、その活動に用いることが可能な車両を配備したり、新たに不動産を確保したりするなど、 その活動を潜在化させていることが認められた。 さらに、令和六年一月には、「Aleph」のホームページに、約十三年半ぶりに改正した「運営 規則」を掲載し、団体名を「人格のない社団 Aleph」に変更したほか、「賛助会員」と称する制 度を新設した。このうち、「賛助会員」と称する制度は「運営規則」において、「所定の各会費に 応じて、別途定める事項の各特典を享受することができる」と規定されているところ、かかる 「特典」については、同年五月十四日付け「報告書」において、提案権及び投票権なる権利が 付与されることが明らかとはなったものの、その詳細は現在に至るまで不明であり、実質は、 金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止する処分(以下「受贈与禁止処分」とい う。)を課された「Aleph」が、その潜脱を企て、在家の構成員から会費名目で金銭を徴収する ために新設した制度である可能性があり、在家の構成員から徴収する資金が大幅に減少した 「Aleph」が、収入の確保に腐心している状況がうかがえた。 令和六年二月請求以降も大きく状況は変わらず、引き続き、使用禁止場所が拡張された一部 使用禁止施設において、在家の構成員を出入りさせることなどは控えていることが認められる。 なお、同年四月三十日、八潮大瀬施設に対して実施した立入検査において、一部使用禁止施 設に所属する出家した構成員らを含め約七十名の出家した構成員の滞在が確認され、同月二十九 日から同年五月五日までの間の同構成員らの同施設への出入り状況等に鑑みると、この期間、 「Aleph」が、同構成員らを対象とした集中セミナーを開催していたことが強く推認されると ころ、同立入検査の際、同施設の道場内に設置された「布施箱」の中に現金が投入されている 状況が確認されており、受贈与禁止処分下にあって、同施設の道場が資金獲得の場所として使 用されていることが判明した。 このように、「Aleph」は、再発防止処分によって道場等の使用が禁止され、さらに、その範 囲が拡張されたことを受け、施設外における活動を活発化させつつあるとともに、再発防止処 分によって受贈与禁止処分を課されたことで、近時、「賛助会員」と称する制度を新設して会費 名目での金銭の徴収を図るなど、収入の確保に腐心したり、令和六年三月決定により建物の全 部の使用が禁止された施設(以下「全部使用禁止施設」という。)ではない八潮大瀬施設に、一 部使用禁止施設に所属する出家した構成員を含む多数の構成員を参集させたりしているが、前 記「賛助会員」と称する制度の詳細を含め、その活動内容については判然としない部分が多く、 把握が困難である点で、活動を潜行化させているといえる。 本件一部不報告によって、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握すること が困難であると認められること(法第八条第一項柱書き後段の要件該当性③) (一) 本件一部不報告自体が、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することを困難な 状況にしていること 「Aleph」が本件一部不報告を継続している状況は、過去に無差別大量殺人行為を行い、 現在もなおその属性として危険な要素を保持している団体の活動を支える主要な要素である 人的・物的・資金的要素や団体の主要な活動に関する事項等を報告させることにより、無差 別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度及びその活動状況を継続して明らかにするべく報告義務 を課した法の趣旨を没却させるものである。更に言えば、本件一部不報告は、「Aleph」によ る意図的な行為であることは明らかであり、このような行為の介在により、本来「報告書」 の記載内容によって、三箇月ごとの報告日において容易かつ迅速に把握できるはずの要報告 事項が直ちには把握できないばかりか、要報告事項の報告によって示される活動状況を基に、 その裏付けを取ったり、それを端緒として更に団体の活動状況を明らかにするための各種調 査等を実施することもできず、それにより、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険 性の程度、すなわち無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素の質的・量的程 度やその変化について正確な把握ができないという極めて危険な結果を導くものである。 したがって、本件一部不報告は、正にそれ自体が「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ 危険性の程度の把握を困難にしているものを示しているものと認められる。
(二) 任意調査や立入検査によっても、要報告事項に関する情報の入手に資する物件の確認が一般に困難であること (1) 任意調査による要報告事項の把握の困難性 そもそも任意調査(法第七条第一項)の場合、調査対象者の協力を得る必要があるなど、その調査方法には限界がある上、「ASG」は、出家した構成員を「ASG」管理下の施設に集団居住させ、外部情報等を管理統制するなど、外部との接触を極力排した閉鎖的な居住空間を形成しているところ、構成員に対して、公安調査官の任意調査への協力を拒み、実態を明らかにしないことを徹底するよう組織的に指導している。 したがって、「ASG」の構成員に対し、要報告事項を把握するための情報や、その把握に資する物件の所在や内容等について質問をしたとしても、回答を得ることが極めて困難であることから、任意調査によって、これらを把握することは困難である。 (2) 立入検査による要報告事項の把握の困難性 「ASG」は、立入検査(法第七条第二項)についても、構成員に関する物件を隠匿し質問に答えないなどの対抗措置を記載した文書を作成するなどして実態を明らかにしないことを徹底するよう組織的に指導している。実際に、令和六年三月決定以降も、従前同様、立入検査において、鍵の不存在等を理由に、事実上、立入検査を不可能ならしめたり、検査の妨害や遅延を図ったり、公安調査官による質問に対して回答を拒否したりするなど、組織的に徹底した対抗措置を講じている。 したがって、立入検査によっても、要報告事項を把握するための情報や、その把握に資する物件の所在や内容等について把握することは困難である。 本件一部不報告に係る要報告事項を個別に見ても、任意調査や立入検査によって要報告事項に関する情報を入手することが困難であること (1) 人的要素(要報告事項①及び⑥) 無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の構成員については、団体の資金的基盤を支え、かつ、団体の活動の主体となることから、構成員の人定事項、特にその構成員がいかなる属性を有する者であるのかについて把握することが必要不可欠であること、出家した構成員の位階については、その位階と団体内部における立場・役割との対応関係を把握し、その活動状況を継続して明らかにする必要があると公安審が特に認めたことから、これらが報告事項とされている。 「ASG」の未成年構成員を含む住家の構成員の一部及び出家した構成員の位階について報告がない場合、構成員及び位階の特定及び変動等が不明であるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり名簿等の関連物件を発見・確認したりなどすることは、前記㈡で述べたとおり、「ASG」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記4で述べたとおり、「ASG」が一賛助会員」と称する制度を新設するなどしてその活動を潜行化させているといえる状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。 (2) 物的要素(要報告事項②及び③) 現に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の活動の用に供されている土地及び建物の所在、用途等については、当該団体の活動を支える主要な要素の一つである物的要素を明らかにするためにその把握が必要不可欠であることから、これらが報告事項とされている。 「ASG」の活動の用に供されている施設の所在、用途等について報告がない場合、既存施設であっても、報告されていない施設の拡充や用途変更等についての把握が困難となるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり関連物件を発見・確認したりするなどして施設の拡充や既存施設の用途変更等を把握することは、前記㈡で述べたとおり、「ASG」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。 (3) 団体の営む収益事業の種類及び概要等(要報告事項⑥) 団体の営む収益事業の種類及び概要等については、当該団体が、収益事業によって得た多額の収益を原資として危険物等を購入するおそれがあり、資産及び負債や団体の活動等に関する報告だけでは、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であるため、収益事業の実態を把握し、その活動状況を継続して明らかにすることが必要であると公安審が特に認めたことから、報告事項とされている。 「ASG」が実質的に経営する収益事業について報告がない場合、収益事業の実態やその活動状況についての把握が困難となるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり関連物件を発見・確認したりするなどして収益事業の実態やその活動状況を明らかにすることは困難であって、前記㈡で述べたとおり、「ASG」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記4で述べたとおり、「ASG」がその活動を潜行化させているといえる状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。 (4) 資金的要素(要報告事項④) 現に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の資産及び負債については、当該団体の活動を支える主要な要素の一つである資金的要素を明らかにするためにその把握が必要不可欠であることから、これらが報告事項とされている。 「ASG」が実質的に経営する収益事業の資産及び同収益事業の預貯金を含む「ビゴ」の預貯金について報告がない場合、所有する現金及び預貯金の現在額、預貯金口座の存在及び変動、収益事業間の資産の移動状況等についての把握が困難であるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり関連物件を発見・確認したりするなどしてこれらを明らかにすることは、前記㈡で述べたとおり、「ASG」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記4で述べたとおり、「ASG」が収入の確保に腐心してその活動を潜行化させているといえる状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。 (5) 令和五年二月書面に類する書面があってもなお無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であること 「ASG」は、令和六年五月十四日付け「報告書」の団体の活動に関する意思決定の内容として、計九の収益事業において、令和五年二月書面に類する書面を報告基準日ごとに作成し、公安調査官の調査に供する用意を継続していることを確認した旨記載しており、実際に、「ASG」管理下の施設に対して実施した立入検査において、不報告に係る多くの収益事業につき、その種類及び概要等が記載された、令和五年二月書面に類する書面が確認されている。しかしながら、「ASG」は、現在に至るまで、収益事業に係る所定の事項につき、報告義務の履行として「ASG」名義の「報告書」で報告することは一切していない。 このように、本請求に係る令和六年二月五日付け「報告書」及び同年五月十四日付け「報告書」のいずれについても、計十の収益事業の種類及び概要等やその資産等について一切の記載がないことから、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難な状態となっているところ、以下では、計九の収益事業に関する令和五年二月書面に類する書面が、立入検査において確認されることがあっても、なお危険性の程度を把握することが困難となっていることを詳述する。 ア 令和五年二月書面に類する書面は収益事業の実態やその活動状況について把握する前提とすることができず、正確性・真実性が法的に担保されていない同書面それ自体が、収益事業の実態やその活動状況の把握を困難にしていること
法は、観察処分やその期間更新決定を受けた団体から報告がされ、その内容により要 報告事項を容易かつ迅速に把握することができることを前提とした上で、当該団体の活 動状況を明らかにするための方策として、任意調査及び立入検査の規定を置いていると 解されるのであり、そうである以上、法の定める報告をなされず、本来は同報告によっ て容易かつ迅速に把握できるはずの要報告事項を把握できないという状態それ自体が、 基本的に、危険性の程度の把握が困難な状態に当たると解される。しかも、報告義務者 は、虚偽報告を行った場合には再発防止処分という制裁を受けることがあり得るところ であり(法第八条第一項柱書き後段)、この仕組みにより報告内容の正確性・真実性が 法的に担保されていることを踏まえると、法が予定している観察処分の枠組みにおいて は、まず、そのように正確性・真実性が法的に担保された報告がなされることを前提と していると解される。 しかるに、令和五年二月書面に類する書面は、「ビサビ」による報告ではなく、報告内 容に虚偽があれば再発防止処分となり得るという制裁措置の存在により、その内容の正 確性・真実性が法的に担保されたものではないため、「ビサビ」が提出する「報告書」以 上に、その内容について裏付けを行い、その正確性・真実性をより一層慎重に確認する 必要が生じ、これに相応の期間と労力を費やすこととならざるを得ない。すなわち、計 九の収益事業の事業所があるとされる施設だけでも八箇所に及び、地域ごとの業務を管 理する施設を含めると十四箇所に及ぶところ、令和五年二月書面に類する書面の内容を 把握するためには、報告期限が到来する三箇月ごとに、これらの施設に対する立入検査 を実施した上、会計帳簿等を確認してその裏付けが得られるかどうかを検討することが 常に必要となる。しかも、これまでの立入検査においては、令和五年二月書面に類する 書面に記載された現金金額と会計帳簿上の金額とが形式的に一致していたとしても、後記 ウで述べるとおり、そもそも会計帳簿上の記載が概括的であることなどから会計帳簿上 の金額の信用性を含め十分な裏付けを得るには至らなかったり、事業の種類及び概要や 従事する構成員の氏名について、外部から確認することができず、前記(二)で述べたとお り、「ビサビ」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等もあって、十分な裏付けを得る に至らなかったりしている。 このように、「ビサビ」がその責任において報告を行うことなく、正確性・真実性が法 的に担保されていない令和五年二月書面に類する書面それ自体が、その内容の把握に始 まり、さらに、その裏付けや確認に相応の期間と労力を費やすことを余儀なくさせ、前 記のような法の枠組みと根本的に矛盾する事態をじゃっ起するのであり、収益事業の実 態やその活動状況についての把握を困難にしているのである。 イ継続的な書面の提出は全く期待できず、収益事業の実態やその活動状況について、容 易かつ迅速な把握が困難であること 前記3.(二).(1)で述べたとおり、「ビサビ」は、かねて要報告事項の一部を報告してい なかったところ、令和二年以降、団体の営む収益事業の種類及び概要等やその資産等を 報告しなくなり、公安調査庁による指導にも応じなかった。その後、「ビサビ」は、令和 三年五月十五日及び同年八月十五日を各期限とする「報告書」に関し、全部不報告に及 んだ上、初めての再発防止処分の請求となる令和三年請求をされるや、一転して「報告 書」を提出したもの、同一報告書」においても、団体の営む収益事業の種類及び概要 等やその資産等要報告事項の一部を報告せず、その後の公安調査庁による指導にも応じ なかった。そして、二度目の再発防止処分請求となる令和五年一月請求をされるや、 「ビサビ」自らは団体の営む収益事業の種類及び概要等やその資産等を報告しないまま、 計九の収益事業の名義による令和五年二月書面が公安調査庁に送付されるなどした。
このような経緯から明らかなとおり、「ビサビ」のこれまでの「報告書」に関する姿勢 は、自己の利害得失のみを考えた不誠実で恣意的なものであるというほかなく、計九の 収益事業名義による書面の提出が継続されることについて何らの担保はなく、継続的な 書面の提出を全く期待することができない。実際、同年二月二十八日に公安調査庁長官 宛てに令和五年二月書面が送付され、「ビサビ」は仮の差止め申立事件でそのことを自己 に有利な事情として主張したものの、「ビサビ」の思わくに反し、同申立てが却下された 上、公安審により再発防止処分が決定されるや、現在まで、令和五年四月書面に類する 書面の送付は全くされていない。加えて、令和六年五月十四日付け「報告書」に記載さ れた団体の活動に関する意思決定の内容から明らかなとおり、少なくとも計九の収益事 業から「ビサビ」に収益事業の種類及び概要等やその資産等を情報提供できない旨回答 があったとされている。もとより、各収益事業は「ビサビ」が実質的に経営するもので あるから、このような意思決定自体「ビサビ」と収益事業が別のものという「ビサビ」 の主張をご塗するものでしかないが、いずれにせよ、「ビサビ」側の恣意的な判断により、 今後も令和五年二月書面に類する書面の取扱いが容易に変更され得ることが明らかであ り、「報告書」に関する「ビサビ」の不誠実で恣意的な姿勢は顕著であることからすると、 継続的な書面の作成・提出を全く期待することができない。 ウ現実に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難となっているこ と 計九の収益事業に関する令和五年二月書面に類する書面があっても、以下に詳述する とおり、経営実態を始め、収益事業の実態の把握は困難であり、「ビサビ」の無差別大量 殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは、現実に困難となっている。 (ア)収益事業の経営実態の把握が困難 「ビサビ」は、少なくとも計九の収益事業を経営していることを強く否定している 上、計九の収益事業名義の令和五年二月書面にも、「ビサビ」との関係性が明示されて おらず、むしろ、「調査に協力」、「任意に情報提供する」などと「ビサビ」の報告義務 とはおよそ無関係であることを前提とするような記載があった。このようなことから すると、「ビサビ」が少なくとも計九の収益事業を営んでいること自体は明らかである としても、要報告事項である「いかなる名義をもってするかを問わず、実質的に被請 求団体が経営している」か否かに関し、例えば、「ビサビ」内の誰がどのような経営判 断をしているか、どのような指揮命令系統であるかなどを含む経営実態の把握が現実 に困難となっている。 この点、令和六年二月五日付け「報告書」及び同年五月十四日付け「報告書」や、 これら以前の最近の「報告書」における団体の活動に関する意思決定の内容に関する 記載を見ても、「ビサビ」が抱える訴訟への対応やその部内周知等にとどまっており、 少なくとも計九の収益事業の経営実態の把握につながる事項を含め、「ビサビ」の実際 の活動状況をうかがい知ることは困難な状況である。法が団体の「活動に関する事項 のうち政令で定めるもの」を要報告事項とし(法第五条第三項第五号)、これを受け て、団体の活動に関する意思決定の内容等が定められた(施行令第三条)趣旨は、団 体活動の基盤となる人的・物的・資金的要素に関連する事項のみならず、団体の実際 の活動状況のうち主要なものについても把握し、団体の活動状況を継続して明らかに しようとするところにあるが、「ビサビ」の「報告書」は、このような趣旨からかけ離れ たものとなっているといわざるを得ず、少なくとも計九の収益事業の経営実態につい て把握が困難な状態となっている。 (イ)計九の収益事業の実態の把握が困難 令和五年二月書面に類する書面には正確性・真実性について法的な担保がないた め、裏付けを行うなどして、その正確性・真実性を確認する必要があるところ、令和 五年二月書面やそれに類する書面に記載された計九の収益事業の実態についても、そ の把握が現実に困難となっている。
すなわち、各収益事業の具体的活動状況を外部から把握することは極めて困難であ り(立入検査時に収益事業の活動が現に行われており、公安調査官がこれを現認する ということも考え難い)、「DoE」は立入検査でも回答を拒否する姿勢であること、 立入検査で確認される会計帳簿や伝票の記載は概括的であり、これにより十分な裏付 けを得ることも困難であることなどからすると、なおその把握は現実に困難となって いる。 各収益事業が、令和五年二月書面やそれに類する書面に記載された事業の種類及び 概要どおりの事業を現実に営んでいるか、それ以外の事業を営んでいることはないか、 事業に従事するとされる構成員が実際に事業に従事しているかどうか、他の構成員が 従事していることはないかなどについて、なお把握は現実に困難となっているといわ ざるを得ない。 この点、事業に従事するとされる構成員の多くについては、会計帳簿上給与の支払 に関する記載が確認されるものの、そもそも、「DoE」では「不所有の戒律」に基づ き、出家した構成員は、個人の収入を全て「DoE」に布施させられるなど個人資産 の保有が認められていないことに鑑みると、給与の支払という会計帳簿の記載は形式 的なものであって、その実質は「DoE」内における資金還流のためのものか等外資 産化のためのもものというほかなく、こうした会計帳簿の記載が各収益事業に従事する 構成員であるか否かを十分に裏付けているとはいい難い。 また、収益事業のうち、在家の構成員に対する指導や物品販売等の名目で収益を上 げる道場関係事業においては、会計帳簿上、経費については、具体的な支出先等を含 めて記載する一方、収入については「その他を含む」という程度の科目に限定した上で、 具体的な売上先を記載していなかったところ、令和五年三月決定による再発防止処分 の期間開始後に至っては、順次、科目の記載が行わず、単に「売上高」とのみ概括 的に記載する処理方法へと変更しているなど、会計帳簿の記載内容が不十分であるこ となどから、会計帳簿上の金額の信用性を含め十分な裏付けを得るに至っていない。 以上のほか、令和五年二月書面やそれに類する書面には、例えば、事業の種類及 び概要として「カルチャー教室、小売業」とだけ記載されているため、登記簿に記載 された目的との整合性の観点から、実態の把握が困難となっている例、②会計帳簿に おいて、給与の支払額の合計しか記載せず、当該支払に係る伝票も確認されず、その 氏名や人数を一切明らかにしない処理が行われているため、「従業員」につき、十分な 裏付けを得るに至っていない例、③令和元年十一月十四日付け「報告書」では、収益 事業の種類が「サービス業他」、概要が「イベントの運営・管理・不動産賃貸業」と それぞれ記載されていたが、令和五年二月書面やそれに類する書面では、それぞれ「不 動産賃貸業」、「不動産賃貸」と記載されており、事業の概要及び種類の変化を含め、 実態の把握が困難となっている例などもあり、実態の把握は現実に困難というほかな い。 このように、令和五年二月書面やそれに類する書面に記載された計九の収益事業の 実態についても、その把握は現実に困難となっている。 (ウ) 「AtoE」が実質的に経営する収益事業の網羅的な把握が困難 このほか、公安審が、第八回期間更新決定において「被請求団体・・・の営む収益 事業(いかなる名義をもってするかを問わず、実質的に被請求団体が経営しているも のをいう。)」の種類及び概要」等を要報告事項とした理由は、「被請求団体は、収益事業 によって得た多額の収益を原資として危険物等を購入するおそれがあり、資産及び負 債や団体の活動等に関する報告だけでは、無差別大量殺人行為に及ぶ危険な要素の存 否・程度を把握することは困難であることから、収益事業の実態を把握し、その活動
状況を継続して明らかにするため」であり、その趣旨は、活動状況を明らかにするた め、実質的に経営する収益事業をその名義にかかわらず全て報告させ、把握漏れを防 ぐという点にある。 この点「DoE」は、過去において様々な収益事業を報告してきたところ、そのう ちの一つである前記3・(一)・(2)・ウで述べた平成三十年二月十四日付け「報告書」ま で記載されていた小売業等を営む一の収益事業は、同年五月以降に報告されなくなり、 また、同収益事業に係る令和五年二月書面やそれに類する書面は確認されていない。 しかしながら、同年三月までは、少なくとも計九の収益事業の一部とされてその名義 での取引が見られるなど、依然として事業が存続しているものと認められる。 このようなことからも明らかなとおり、「DoE」名義ではなく、収益事業の各名義 で作成された令和五年二月書面やそれに類する書面をもって「DoE」の収益事業の 実態やその活動状況についての把握が困難ではなくなったと判断することは、 「DoE」及び収益事業の名義人とされる者らの恣意的な判断・操作により、少なく とも計九の収益事業以外の収益事業が存在したとしても、これを「報告書」に記載し ないことを容易ならしめる結果となるのであり、「DoE」が実質的に経営する収益事 業の全体を網羅的に把握することを困難にするものである。そして、そのような事態 となれば、例えば、「DoE」が少なくとも計九の収益事業以外の他の収益事業に資金 を集約するなどし、観察処分から実質的に逃れた状態のまま、秘密裏に危険物等を購入 することにもなり得るのであり、「DoE」の活動実態、ひいては、その無差別大量 殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握は極めて困難となる。 (エ) 無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素の変化の把握が困難 令和五年二月書面やそれに類する書面に記載されているのは、「DoE」の過去の積 み重なった不報告事項のうちの一部にとどまり、「DoE」が最後に計九の収益事業を 報告した令和元年十一月十四日付け「報告書」から令和三年十一月十四日付け「報告 書」までの二年間分(「報告書」にして八回分)についてはまだ報告がない。 この間、「DoE」の報告に係る資産額は、平成三十一年二月十四日付け「報告書」 では約十二億八千六百万円に、令和元年十一月十四日付け「報告書」では約十二億八 千五百万円にまで上っていたが、その後、「DoE」は、報告に係る資産額を急減させ、 令和六年二月五日日付け「報告書」では約七百七十万円、同年五月十四日付け「報告書」 では約二千九百万円と報告している。「DoE」の不報告及び調査に対する非協力姿勢 により、詳細は不明であるが、「DoE」は、その資産を、実質的に経営する他人名義 の収益事業に移行させているものとみられ、その主たる理由は、約十億円に上る損害 賠償債務に関する強制執行逃れのための資産隠しであるとみられる。 このような資産隠しとみられる動きがある状況下において、前記のとおり、計九の 収益事業に関し、二年間分(「報告書」にして八回分)の報告がいまだにされていない ことから、各報告時点における各収益事業の種類及び概要等やその資産等が現実に把 握困難となっているのはもとより、無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険 な要素の質的・量的な変化の把握という観点から、三箇月ごとのその変化を把握する ことも現実に困難となっているのであり、これは今なおその状態が続いているのであ る。 令和五年二月書面やそれに類する書面を「AtoE」に有利に考慮することは、観察処 分に関する法の枠組みを根底から覆すことになりかねない上、報告義務等の潜脱を容認 することに等しいこと 前記アで述べたとおり、法が予定している観察処分の枠組みは、報告内容に虚偽があ れば再発防止処分となり得るという制裁措置の下、内容の正確性・真実性が法的に担保 された報告により、三箇月ごとに、容易かつ迅速に要報告事項を把握できることを前提
として、任意調査及び立入検査によってそれを確認するというものである。しかるに、「ASPEC」が報告したものではないがゆえに制裁措置の下で内容の正確性・真実性が法的に担保されたものではない令和五年二月書面やそれに類する書面をもって無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難でなくなったと判断することは、このような法が予定している観察処分の枠組みを根底から覆すことにしかならない。 それだけでなく、そのように令和五年二月書面やそれに類する書面をもってその危険性の程度を把握することが困難でなくなったと判断することは、自らは不報告という義務違反を犯しておきながら、正確性・真実性が法的に担保されたものではない他人名義の書面をもってその困難性が解消したとして再発防止処分の制裁措置からは逃れようとする「ASPEC」の閉鎖的な主張を認めることにもなるのであり、これは、すなわち、「ASPEC」を観察処分に付しておきながら、法に定められた報告義務等の潜脱を容認することに等しいことであって、到底許されるものではない。もしこのような法の潜脱を容認することになれば、公安審が第八回期間更新決定において指摘したとおり、「かつて無差別大量殺人行為に及んだことが明らかでない」という属性として無差別大量殺人行為に及ぶ危険な要素を保持している」ことが明らかな「ASPEC」が、「収益事業によって得た多額の収益を原資として危険物等を購入する」など、国民生活の平穏を含む公共の安全の確保の観点から重大な事態が生じるおそれがあるといわざるを得ない。取り分け、「ASPEC」が報告に係る資産額を急減させ、資産隠しとみられる動きを続けている現状においては、そのようなおそれが高いことに鑑みると、「ASPEC」による法の潜脱を容認するようなことは到底許されない。 このように、令和五年二月書面やそれに類する書面を「ASPEC」に有利に考慮することは、観察処分に関する法の枠組みを根底から覆すことになりかねない上、法に定められた報告義務等の潜脱を容認することに等しいのである。 小括 以上詳述したとおり、「ASPEC」による本件一部不報告は、人的要素、物的要素及び資金の要素等を個別に見ても、「ASPEC」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められ、令和五年二月書面に類する書面があってもなおその危険性の程度を把握することが困難であると認められる。 (6) 結語 以上のとおり、「ASPEC」は、公安調査庁長官による令和三年請求の撤回後、公安調査庁が指導を重ねても一部不報告の状況に改善が見られないだけでなく、令和三年請求以前よりも不報告事項を増加させるなどその状況が悪質となっている上、そのような状況が継続・固定化しており、令和五年九月決定以降は、一見してその内容を把握することが困難な形で活動を潜行化させ、さらに、近時、「賛助会員」と称する制度を新設して、収入の確保に腐心したり、全部使用禁止施設ではない八潮大瀬施設に、一部使用禁止施設に所属する出家した構成員を含む多数の出家した構成員を参集させたりしているところ、その内容は判然としない部分が多く、前記同様、活動を潜行化させていることから、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められることは明らかである。 そして、「ASPEC」は、①出家した構成員を管理下の施設に集団居住させるとともに、親族との縁の断絶や外部情報の遮断を構成員に推奨するなど、一般社会と隔絶した独自の閉鎖社会を維持しており、立入検査に対しては、非協力的な姿勢を組織ぐるみで徹底するなど閉鎖性が顕著であること、②観察処分の一環として公安調査庁長官に対する報告義務を負う事項につき、一部不報告を続けるとともに、新規構成員獲得のために欺瞞ともいえる手段による勧誘活動を組織的に展開するなど、欺まん性が顕著であること、③その閉鎖的・欺まんな組織体質に起因して、依然として全国各地で地域住民が恐怖感・不安感を抱き、その結果、観察処分の期間更新
を要請していることなどを指摘され、第八回期間更新決定に至ったものであるが、そこで指摘された閉鎖性、欺まん性等の問題点は再発防止処分下においても何ら変わらず、むしろより先鋭化しているとさえいえる状況であり、地域住民等の不安感も大きいものと推察されることも十分考慮する必要がある。 以上のとおり、「ASPEC」については、法第八条第一項柱書き後段の要件を満たすものと認められるだけでなく、同条の再発防止処分を行う必要性も認められる。 三 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づく規制措置の手続等に関する規則(平成十一年公安審査委員会規則第一号)第二条第四項に規定する法第八条の処分に関する意見 1 処分の内容 (一) 「ASPEC」が所有し又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止すること(法第八条第二項第二号) (理由) 本件一部不報告により、資金の要素を始めとする危険な要素の把握が困難であるため、「ASPEC」が、収益事業の名目で「ASPEC」の事業や在家の構成員に対する指導等を行っていることに鑑み、無差別大量殺人行為の発生を防止する観点から、「ASPEC」が実質的に経営する収益事業の事業所たる作業場所及び道場を含む施設について、その使用を一時的に停止させる必要がある。 また、不動産賃貸事業等を営む収益事業についても、「ASPEC」の施設を購入・賃借するなど「ASPEC」の事業を行っていることはもとより、令和六年三月決定によって「ASPEC」の施設の使用が制限されている状況において、同収益事業が新たな施設を取得し、代替となる道場等や作業場所として団体の活動に供することがあれば、処分の実効性を減殺することになりかねないところ、「ASPEC」の構成員が新たに不動産を確保する動きが実際に見られることも踏まえると、同収益事業の運営拠点たる事務所についても、事業所として使用を禁止する必要がある。 このほか、報告されていない施設についても、前記同様の観点から、その使用を一時的に停止させる必要がある。 加えて、八潮大瀬施設については、道場部分を含む施設全体が収益事業名義で第三者から賃借された上、団体の活動に供されている点で、不報告となっている収益事業の事業供用物件であるところ、かかる賃貸借等を名目として収益事業名義の口座等に資金が流入している実態が確認されている。また、前記二・4で述べたとおり、「ASPEC」は、近時、「賛助会員」と称する制度を新設するなど、受贈与禁止処分の潜脱をもくろんで収入の確保に腐心している状況が看取されるところ、多数の在家の構成員を集めることができる大規模施設のほとんどどは既に使用禁止となっていることから、今後、「ASPEC」が、同施設において在家の構成員向けの大规模的な集中セミナーを開催するおそれは極めて高いと認められ、そのような事態となれば、各収益事業に多額の不透明な資金が流入する危険性があり、かかる観点から、同施設の道場部分について、新たに使用を一時的に停止させる必要がある。 さらに、前記二・4で述べたとおり、同年四月三十日に実施した八潮大瀬施設に対する立入検査において、道場内に設置された一布施箱の中に現金が投入されていたものの、この現金の投入者等については、前記二・5・(二)で述べたとおり、「ASPEC」の非協力姿勢に基づき徹底した対抗措置等により把握困難であるところ、今後も同施設の道場のような多数の構成員が参集できる場が存在することで前記のような「ASPEC」への不透明な資金流入が発生することとなれば、再発防止処分の実効性を大きく減殺することになりかねず、こうした事態を防ぐためにも、構成員からの集金場所となり得る同施設の道場部分について、新たに使用を一時的に停止させる必要がある。
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公安審査委員会告示第四号(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく意見聴取の通知) - 第1頁
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