その他令和6年7月12日
国家公務員倫理審査会報 第2編 国家公務員倫理審査会の業務
掲載日
令和6年7月12日
号種
号外
原文ページ
p.65
号外p.65
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第2編 国家公務員倫理審査会の業務
この1年の主な施策及び今後の展望
●職員の倫理意識のかん養のため、各府省の官房長等や地方機関の長等との懇談による現状把握のほか、倫理事務担当者等を対象とした倫理制度説明会やWebを通じた有識者講演会の実施、研修教材の制作・配布、各府省が実施する倫理研修等への講師派遣、国家公務員倫理月間における各種研修・啓発活動の実施等、職員に対する定期的・継続的な意識啓発活動に資する取組を行った。
●各府省における倫理的な組織風土の構築のため、相談・通報窓口の周知や相談しやすい職場環境を構築すること等を各府省に促した。
●職員の職務の相手方となる事業者等への倫理法・倫理規程の周知・理解の促進を図るため、全国の経済団体等に対する広報依頼、地方公共団体への周知依頼等を行った。また、新たに全国8駅(札幌駅、仙台駅、新宿駅、名古屋駅、大阪駅、広島駅、高松駅、博多駅)のデジタルサイネージ(電子看板)で、事業者向け啓発ポスターを掲示した。
●倫理の保持のための施策の参考とするため、各界の有識者からの意見聴取や市民・職員アンケートを実施した。
●今後も、公務に対する国民の信頼を確保しつつ、公務においても事業者等においても円滑な業務運営ができるよう、幅広く意識啓発や制度周知の取組を行うなど、様々な施策を展開していきたい。
倫理法及び国家公務員倫理審査会について
倫理法は、幹部公務員を中心に不祥事が続発し、厳しい社会的批判を招いたことを背景として平成11年8月に制定され、平成12年4月から全面施行されたものである。その目的は、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、公務に対する国民の信頼を確保することである。
倫理法は、職員が遵守すべき職務に係る倫理原則を定めている。あわせて、倫理原則を踏まえ職員の倫理の保持に必要な事項を定める政令(国家公務員倫理規程(平成12年政令第101号。以下「倫理規程」という。))の制定についても規定している。さらに、職員と事業者等との接触について透明性を確保するための各種報告制度等(報告のルール)、職員の職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌する機関である国家公務員倫理審査会(以下「倫理審査会」という。)の設置、行政機関等への倫理監督官(各府省事務次官等)の設置についても規定している。
また、倫理規程は、倫理法の倫理原則を受けた倫理行動規準を定めるとともに、許認可等の相手方や補助金等の交付を受ける者など、職員の職務と利害関係を有する者の範囲を利害関係者として規定している。職員が利害関係者から贈与や接待を受けることなど、国民の疑惑や不信を招くような行為の禁止等の「行動のルール」についても規定している。
国公法及び倫理法に基づいて人事院に設置された倫理審査会は、会長及び委員4人をもって組織されている。公務に対する国民の信頼確保という倫理法の目的の下、倫理規程の制定・改廃に関する意見の申出、各種報告書の審査、倫理法・倫理規程に違反する疑いがある場合の調査・懲戒の手続の実施、懲戒処分の承認など、職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌している。具体的には、倫理法・倫理規程の適正な運用を確保するとともに、『職員の倫理意識のかん養』、『倫理的な組織風土の構築』及び『倫理法等違反への厳正かつ迅速な対応』の3つを主要な柱に据え、職員の職務に係る倫理を保持するための各種施策を実施している。倫理審査会には、その事務を処理するため、事務局が置かれている。その業務実施には、倫理審査会の議決が必要であり、倫理審査会会議は、令和5年度には22回、倫理審査会設立以来計593回開催されている。
また、倫理法に基づき各府省及び各行政執行法人に置かれた倫理監督官は、各府省の長等と共に、倫理審査会と連携して、その属する府省等の職員の職務に係る倫理の保持に関する責務を担っている。
本編は、令和5年度において、倫理審査会が行った業務について記述したものである。
第1章 職員の倫理意識のかん養及び倫理的な組織風土の構築
1 職員の倫理意識のかん養
職員の倫理意識のかん養のためには、研修等の機会を通じた職員に対する定期的・継続的な意識啓発が不可欠である。また、倫理法・倫理規程の遵守は、個々の職員が日々の職務遂行を支える使命感や志とも密接に関連するものであり、高い倫理意識を自身の中に体得し、主体的に倫理保持の
行動を実践することが求められている。このため倫理審査会は、各府省の幹部職員や倫理事務担当者に対して所属職員への意識啓発の取組を促すとともに、倫理の問題を職員個々人が自分事として捉える機会を提供できるよう、各府省における研修・啓発活動の企画・実施の支援、府省等横断的な研修・啓発活動の実施を行ってきている。令和5年度においては、以下の⑴~⑶の業務を実施した。
(1) 各府省における現状の把握及び取組の促進
各府省における職員に対する倫理意識のかん養や倫理的な組織風土の構築に向けての取組状況や課題について把握するとともに、他府省の取組を共有し各府省における今後の取組の参考にするための機会を設けた。具体的には、各府省において倫理保持について職員を指導すべき立場にある官房長等と倫理審査会会長・委員との懇談会を開催し、また、地方機関の長等と倫理審査会会長との懇談を行った。さらに、後述する「国家公務員倫理月間」の機会等を捉え、倫理研修の定期的・計画的な実施、職員の職務に係る倫理の保持のための相談・通報窓口の利用促進の要請を行った。あわせて、各府省における倫理保持のための取組の参考となるよう、各府省で実施された啓発活動や倫理的な組織風土の構築のための取組の具体例の共有等を行った。
倫理制度の周知徹底及び各府省における倫理保持に係る取組の推進を目的として、本省省で実務を担う倫理事務担当者等を対象とした倫理制度説明会を令和5年4月及び同年10月にWebでそれぞれ1回実施したほか、地方機関の倫理事務担当者等に対しては、全国6箇所においてWeb又は対面での研修を開催した。
さらに、令和2年度から実施しているWebを通じた有識者講演会については、令和5年度は、幹部・管理職員向け(9月)及び一般職員向け(11月)に計2回実施し、本省省及び地方機関の職員に広く視聴を呼びかけた。幹部・管理職員向けには、駿河台大学の水尾順一名誉教授に「世のため、人のため、相手の期待に応えるコンプライアンスの実践」というテーマで質疑応答を含めたライブ配信での講演を行っていただくとともに、その模様を録画し、9月から10月にかけて2週間配信した。同講演会は、延べ3,700名ほどの職員が視聴(会議室等で複数名で視聴した場合も1名として集計。以下同じ。)し、「『コロナ禍で見えてきたリーダーに求められる資質』を簡潔に提示いただき、再確認することができた。」、「『従来のコンプライアンスは、「規制」や「ペからず」という概念だったが、各自が「世のため人のため」というプラス思考、攻めの姿勢で業務に取り組むことで、不祥事をなくすことができるということを学んだ。」といった感想が寄せられた。
一般職員向けには、のぞみ総合法律事務所の吉野弦太弁護士に「個人の倫理と組織の倫理心の倫理と手続の倫理」というテーマで質疑応答を含めたライブ配信での講演を行っていただくとともに、その模様を録画し、12月に2週間配信した。同講演会は、延べ2,900名ほどの職員が視聴し、「倫理的対応に直面した際に後手に回ることがないよう、正しい知識を習得することの重要性を認識した。」、「公務員倫理と人としての良心の兼ね合いなど、公務員倫理の実践に当たっての留意点などを具体例をもとに理解することができた。」といった感想が寄せられた。
(2) 各府省が企画・実施する研修の支援
倫理審査会は、各府省における研修・啓発活動の充実に資するよう、各種研修教材を制作・配布している。主として新規採用職員及び幹部職員への配布を念頭に、倫理制度の概要や法令、マンガ教材を収録した小冊子「国家公務員倫理教本」を改訂し、各府省へ配布するとともに、常時携帯可能な「国家公務員倫理カード」に各府省の相談・通報窓口を記載し、職員に対して配布した。また、各府省におけるeラーニングに資する教材(自習研修教材)として、一般職員用、課長補佐級職員用及び幹部・管理職員用の3階層の教材を各府省へ配布した。
これら教材及び啓発資料の制作・配布のほか、倫理審査会では、各府省からの要請に応じて、事務局職員を各府省が実施する倫理研修等に講師として派遣している。令和5年度は、各府省における階層別研修など延べ38コース・参加者数3,086人(うちWebを通じたものは24コース・参加者数1,687人)に講師を派遣した。研修では、倫理制度の解説、具体的なケースを用いた倫理制度に対する理解の浸透や相談・通報の仕組みの周知などを行った。また、一部の研修においては、密を回避した形式の下で具体的なケースを想定した参加者間での討議を取り入れることで、より当事者意識を持って研修に参加し、考える機会を持てるよう工夫を行った。
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