(2) 失われる利益
本件事業が生活環境等に与える影響については、本件事業は、環境影響評価法(平成9年法律第81号)等に基づく環境影響評価の実施対象外の事業であるが、起業者が同法等に準じて、既存の資料等を基に任意で調査・検討を行ったところ、騒音、振動及び大気質については、環境基準等を満足する予測となっている。さらに、工事実施にあたっては、騒音、振動及び大気質に配慮し、低騒音型、低振動型及び排出ガス対策型の機械を使用するなど、生活環境に十分配慮することとしている。
また、上記調査等によると、本件区間内及びその周辺の土地において、動物については、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)における国際希少野生動植物種であるメダイチドリ、国内希少野生動植物種であるチュウヒ及びハヤブサ、環境省レッドリストに絶滅危惧ⅠA類として掲載されているホンモロコ、絶滅危惧ⅠB類として掲載されているナゴヤダルマガエル等その他これらの分類に該当しない学術上又は希少性等の観点から重要な種が確認されている。植物については、環境省レッドリストに準絶滅危惧として掲載されているイトモ及びイトテンツキその他これらの分類に該当しない学術上又は希少性等の観点から重要な種が確認されている。本件事業がこれらの動植物に及ぼす影響の程度は、周辺に同様の生息又は生育環境が広く残されることなどから影響は軽微であるとされている。加えて、起業者は、今後工事による改変箇所及びその周辺の土地でこれらの重要な種が確認された場合は、必要に応じて専門家の指導助言を受け、必要な保全措置を講ずることとしている。
このほか、本件区間内の土地には、文化財保護法(昭和25年法律第214号)等による周知の埋蔵文化財包蔵地は存在していない。今後、工事の実施に当たり遺構等が確認された場合は、滋賀県教育委員会と協議し、必要に応じて記録保存等の適切な措置を講ずることとしている。
したがって、本件事業の施行により失われる利益は軽微であると認められる。
(3) 事業計画の合理性
本件事業は、道路構造令(昭和45年政令第320号)による第3種第2級の規格に基づき、現道を4車線に拡幅する事業であり、その事業計画は、同令等に定める規格に適合していると認められる。
また、本件事業の事業計画は、昭和47年6月20日に都市計画決定され、令和6年4月12日に変更決定された都市計画と、基本的内容について整合しているものである。
したがって、本件事業の事業計画については、合理的であると認められる。
以上のことから、本件事業の事業計画に基づき施行することにより得られる公共の利益と失われる利益とを比較衡量すると、得られる公共の利益は失われる利益に優越すると認められる。したがって、本件事業の事業計画は、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものと認められるため、法第20条第3号の要件を充足すると判断される。
4 法第20条第4号の要件への適合性
(1) 事業を早期に施行する必要性
3(1)で述べたように、現道は交通混雑が発生しており、その緩和を図る必要があることなどから、本件事業を早期に施行する必要があると認められる。
また、守山市長を会長とする国道477号(近江八幡~大津間)整備促進期成同盟会や大津湖南地域幹線道路整備促進協議会などから本件事業の早期完成に関する強い要望がある。
したがって、本件事業を早期に施行する公益上の必要性は高いものと認められる。
(2) 起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性
本件事業に係る起業地の範囲は、本件事業の事業計画に必要な範囲であると認められる。
また、収用の範囲は、全て本件事業の用に恒久的に供される範囲にとどめられ、それ以外の範囲は使用としていることから、収用又は使用の範囲の別についても合理的であると認められる。
したがって、本件事業は、土地を収用し、又は使用する公益上の必要があると認められるため、法第20条第4号の要件を充足すると判断される。
5 結論
以上のとおり、本件事業は、法第20条各号の要件を全て充足すると判断される。