その他令和8年3月23日
警備業法7号規定の憲法適合性及び立法不作為の違法性に関する判決理由(抜粋)
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警備業法7号規定の憲法適合性及び立法不作為の違法性に関する判決理由(抜粋)
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基づく規則3条1項がそのまま維持されていること等を踏まえると、上記個別審査については、警備業務を適正に行うことができない者が適切に排除されないという問題もなく、適正に実施されていたものと考えられる。多数意見の上記実効性に関する指摘も、「直ちに見極めることは困難であった」というものであって、長期間の検討を必要とするような現実的、具体的な内容を含むものではない。
7号規定については、その施行後、さほど遅くない時期において、その実効性の問題は解消していたというべきである。多数意見は、これを否定する具体的な検討を示していない。
そうすると、仮に、多数意見の上記立場に立つとしても、上記時期において、7号規定という個別審査規定を前提にして、本件規定により、警備業務を適正に行うに当たって必要な能力を備えた被保佐人を一律に警備業務から排除することは、本件立法目的のために過剰な規制であって必要かつ合理的な措置とはいえないものである。
イ 障害者権利条約は、全ての障害者のあらゆる人権及び平等等の保障に関する包括的、総合的な国際条約であり、その実施は、障害者を取り巻く様々な制度、慣行、意識等の社会的障壁(障害者基本法2条参照)を除去する過程として重要な意義を有する。障害者権利条約を批准するため国内法が整備され、それとともに、社会における障害の捉え方の変化、福祉や保護を中心とした障害者施策から法的な権利の保障を中心とするものへの転換、障害者を取り巻く社会や国民の意識の変化等が進んだといえるとしても、こうした諸事情の変化は、様々な社会的障壁を除去する過程であり、もとより、7号規定が本件立法目的を達成し得る実効性についての評価を具体的に左右するものではない。
障害者の労働や雇用等の関係についてみても、障害者差別解消法等は、行政機関等又は事業者が事務又は事業を行うに当たっての差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供等を内容として、障害を理由とする差別の禁止等を定めるものである。これに対し、本件規定は、被保佐人を警備業務から一律に排除するものであるから、事業者による差別的取扱いや合理的な配慮等の問題ではない。障害者差別解消法等の施行に向けた準備の過程に
おいて、上記差別の禁止等に関する考え方が周知され確立するに至ったといえるにしても、こうした事情の変化は、7号規定の実効性についての評価を左右するものではない。
多数意見も、上記国内法の整備その他の諸事情の変化について、本件規定を取り巻く諸事情が変化したとするだけであり、7号規定がその実効性を有するに至っていたこととの具体的な関連性を示しているわけではない。
そうすると、上記国内法の整備その他の諸事情の変化は、本件規定の必要性及び合理性の判断に具体的に関連する事情ではなく、それを取り巻く社会的障壁に係る一般的、抽象的な事情というべきものである。こうした変化が進むにつれて、障害者の様々な権利利益を尊重するという要請が高まるといえるにしても、本件規定による制約が問題となる権利は、憲法22条1項及び14条1項が明文で全ての国民に保障する基本的人権であり、障害者権利条約や上記国内法に関わらず、障害者が当該権利の主体であることは当然である。そして、本件規定の必要性及び合理性の判断に具体的に関連しない社会的障壁の除去が進むまでの間、障害者が上記権利の制約による不利益を甘受しなければならず、立法府がこれを看過してよいというのは、いかにも不合理である。憲法の要請を踏まえた立法府の判断の裁量の範囲が狭いものであることに照らしても、上記国内法の整備その他の諸事情の変化を重視する判断に合理性を認めることはできない。
ウ 以上によれば、仮に、平成14年改正時における憲法適合性に関する多数意見の上記立場に立つとしても、7号規定の施行後、さほど遅くない時期において、その実効性の問題が解消していたものであって、本件規定は、本件立法目的のために必要かつ合理的な措置とはいえないものであるから、全ての障害者のあらゆる人権及び平等等の保障に関する包括的、総合的な法制度が整備・施行されるまでの間、あるいは障害者を取り巻く社会や国民の意識の変化が進み、労働者について障害を理由とする差別が禁止されるべきであると考える方が確立するまでの間、本件規定を維持することが立法府の合理的裁量として許されるものと解することはできない。
その間、警備業務を適正に行うことのできる被保佐人が、本件規定により一律に警備業務から排除され、憲法が保障する権利を制約されることによる不利益を甘受すべき理由ははない。
取り分け、本件規定が違憲となるに至っていたことやその時期についての判断において、労働者について障害を理由とする差別が禁止されるべきであると考える方が確立したという事情を理由とすることは、少数者の権利の保障が多数者の承認を条件とすることにつながりかねない。そのような条件が、基本的人権の保障及び個人の尊重という憲法の基本理念に反することは明らかである。
エ 以上のとおり、仮に、多数意見の上記立場に立つとしても、7号規定の施行後、さほど遅くない時期において、本件規定が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断は、その合理的裁量を逸脱するに至っていたものであって、本件規定は、憲法22条1項及び14条1項に違反していたというべきである。
第3 本件立法不作為の国家賠償法上の違法性の有無について
1 本件規定が、遅くとも平成14年改正時までに、憲法22条1項及び14条1項に違反していたことを前提にして、本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるか否かについて検討する。
2(1) 政府は、国際連合の動向等を踏まえ、平成5年計画において、障害者が各種の社会活動を自由にできるような平等な社会づくりを目指し、障害を理由とする各種の資格制限が障害者の社会参加を不当に阻む障害要因とならないよう、必要な見直しについて検討を行うものとした。
また、国会は、平成5年改正により、障害者基本法の基本理念として、全て障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するとともに、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる旨を規定するなどした。
平成11年決定は、平成5年計画に基づくものであり、障害者に係る欠格条項について、障害者が社会活動に参加することを不当に阻む要因となら
ないよう、対象となる全ての制度について見直しを行い、種々の社会環境の変化を踏まえ、制度の趣旨に照らして、従来の障害者に係る欠格条項が真に必要であるか否かを再検討することを前提に、真に必要と認められる欠格条項については、個別審査規定に改正するなどの対処を行うものとした。
平成11年整備法に関する国会審議においては、成年被後見人等に係る欠格条項を撤廃すべきである旨の参考人の意見や、同欠格条項を残すと障害者等への偏見を助長し、その社会参加が妨げられる旨、個別審査規定を設ければ資格制限として足りる旨等の議員の指摘がされるなどした上、参議院法務委員会において、全会一致で、政府等は成年被後見人等に係る欠格条項について更なる見直しを行うことについて格段の努力をすべきである旨の平成11年附帯決議がされた。
以上の経緯等からすると、国会は、新たな成年後見制度の実施に当たり、障害者基本法の定める基本理念の下に、平成5年計画及び平成11年決定の趣旨をも踏まえ、成年被後見人等に係る欠格条項について、それが障害者の社会参加を不当に阻む要因とならないよう、個別審査規定を設けることを検討するなど、更なる見直しを行う必要があることを認識し、政府に対し、その見直しについて格段の努力をすべきである旨の意思を示した上で、平成11年整備法を成立させたものということができる。
このような事情の下で、個別の審査により当該資格等に必要な能力を有すると判断される者が一定程度いるにもかかわらず、成年被後見人等に係る欠格条項により、これを一律に排除することは、障害を理由として個人の自由かつ平等な活動を法律上制限し、障害者の社会参加を不当に阻むものであって、憲法上の問題があることは、国会議員として容易に認識できる状況にあったというべきである。
もっとも、全ての成年被後見人等に係る欠格条項が当然に違憲というべきものではなく、その憲法適合性については、各欠格条項に係る制度の趣旨・目的及び内容、当該資格等に必要な能力の内容、個別審査規定等の代替措置の可能性等を踏まえ、個別に具体的な検討を行う必要がある。
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