一般国道212号改築工事(三光本耶馬渓道路)の事業認定に関する告示
国土交通省告示
第五十号
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「法」という。)第二十条の規定に基づき事業の認定をしたので、法第二十六条第一項の規定に基づき次のとおり告示する。
令和七年一月二十四日
国土交通大臣 中野 洋昌
第1 起業者の名称 国土交通大臣
第2 事業の種類 一般国道212号改築工事(三光本耶馬渓道路・大分県中津市本耶馬渓町跡田字中ノ坪地内から同市本耶馬渓町跡田字西ノ藪地内まで)
第3 起業地
1 収用の部分 大分県中津市本耶馬渓町跡田字口ノ坪、字中ノ坪及び西ノ藪地内
2 使用の部分 大分県中津市本耶馬渓町跡田字口ノ坪、字中ノ坪及び西ノ藪地内
第4 事業の認定をした理由
申請に係る事業は、以下のとおり、法第20条各号の要件を全て充足すると判断されるため、事業の認定をしたものである。
1 法第20条第1号の要件への適合性
「一般国道212号改築工事(三光本耶馬渓道路)」(以下「本件事業」という。)は、大分県中津市本耶馬渓町跡田地内の青の洞門・羅漢寺インターチェンジから同市本耶馬渓町落合地内の本耶馬渓インターチェンジまでの延長4.7㎞の区間(以下「本件区間」という。)を全体計画区間とする一般国道改築工事であり、申請に係る事業は、本件事業のうち、上記の起業地に係る部分である。
本件事業は、道路法(昭和27年法律第180号)第3条第2号に掲げる一般国道に関する事業であり、法第3条第1号に掲げる道路法による道路に関する事業に該当する。
したがって、本件事業は、法第20条第1号の要件を充足すると判断される。
2 法第20条第2号の要件への適合性
起業者である国土交通大臣は、道路法第12条本文の規定に基づき本件事業を行うものであるが、本件区間は同法第13条第1項の指定区間外の区間であるところ、同法第27条第1項の規定により道路管理者の権限を代行しており、既に本件事業を開始していることなどの理由から、本件事業を遂行する充分な意思と能力を有すると認められる。
したがって、本件事業は、法第20条第2号の要件を充足すると判断される。
3 法第20条第3号の要件への適合性
⑴ 得られる公共の利益
一般国道212号(以下「本路線」という。)は、大分県中津市を起点とし、熊本県阿蘇市に至る延長約130㎞の主要幹線道路である。
本路線が通過する中津市及び日田市(以下「本件地域」という。)は、農林産業が盛んな地域であり、木材や特産品の乾しいたけ等が生産されており、これらは主に本路線を利用して北部九州、中国方面等に出荷されている。また、本件地域のうち本耶馬渓町沿線には、国指定の名勝「耶馬渓」が存し、史跡や自然景観を有する観光資源に恵まれることから、本路線は観光周遊ルートとしても利用されている。
しかしながら、本件区間に対応する本路線(以下「現道」という。)は、道路構造令(昭和45年政令第320号)に規定する道路幅員及び最小曲線半径を満たさない区間が存在し、追突や正面衝突等の交通事故が発生しているほか、自然災害の発生時には通行止めが行われるなど、主要幹線道路としての機能を十分に発揮できていない状況にある。
本件事業の完成により、既に供用済みである中津日田道路の他の区間と接続し、高速自動車国道東九州自動車道と連絡することで、大分市、北九州市等の各都市を結ぶ広域的な高速交通ネットワークが形成され、自動車交通の高速化及び定時性の確保による利便性が向上し、物流の効率化等に寄与するとともに、本件区間に線形等の良好な道路が新たに整備され、自然災害の発
生時などにおける現道の機能を補完・代替することなどから、安全かつ円滑な自動車交通の確保に寄与することが認められる。
したがって、本件事業の施行により得られる公共の利益は、相当程度存すると認められる。
⑵ 失われる利益
本件事業が生活環境に与える影響については、本件事業は、環境影響評価法(平成9年法律第81号)等に基づく環境影響評価の実施対象外の事業であるが、大分県内の本路線を管理する大分県が、大分県環境影響条例等に準じて、平成19年8月に任意で大気質、騒音等について環境影響調査を実施しており、その結果によると、いずれの項目においても法令により定められた基準(以下単に「基準」という。)等を満足するとされている。また、計画交通量の見直し及び上記の調査以降に新たに得られた知見を踏まえ、起業者が、平成26年3月及び令和5年10月に環境影響調査の照査を実施したところ、大気質及び振動等については、基準等を満足するとされており、建設機械の稼働に係る騒音については、一部の地点で基準を超える値が見られるものの、防音シートの設置により基準を満足するとされていることから、起業者は、本件事業の施行に当たり、当該措置を講ずることとしている。
また、上記の調査によると、本件区間内及びその周辺の土地において、動物については、環境省レッドリストに絶滅危惧ⅠA類として掲載されているカワコザラ、絶滅危惧ⅠB類として掲載されているツマグロキチョウ及びオヤニラミ、絶滅危惧Ⅱ類として掲載されているサシバ等、準絶滅危惧として掲載されているアカハライモリ等その他これらの分類に該当しない学術上又は希少性等の観点から重要な種が、植物については、環境省レッドリストに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されているヒメタデ、準絶滅危惧として掲載されているシラン、エビネ、ツメレンゲ、カワヂシャ等その他これらの分類に該当しない学術上又は希少性等の観点から重要な種がそれぞれ確認されている。本件事業がこれらの動植物に及ぼす影響の程度は、周辺に同様の生息又は生育環境が広く残されることなどから影響は極めて小さいと予測されている。加えて、起業者は、今後工事による改変箇所及びその周辺の土地でこれらの種が確認された場合は、必要に応じて専門家の指導助言を受け、必要な保全措置を講ずることとしている。
さらに、本件区間内の土地には、文化財保護法(昭和25年法律第214号)による周知の埋蔵文化財包蔵地が3か所存在するが、既に発掘調査が完了しており、記録保存等を含む適切な措置が講じられている。
したがって、本件事業の施行により失われる利益は軽微であると認められる。
⑶ 事業計画の合理性
本件事業は、道路構造令による第1種第3級の規格に基づく2車線の自動車専用道路を建設する事業であり、その事業計画は同令等に定める規格に適合していると認められる。
また、本件区間におけるルートについては、東側ルート案、中間ルート案及び申請案である西側ルート案の3案による検討が行われている。申請案と他の2案とを比較すると、申請案は取得必要面積が最も大きいが、移転対象物件が最も少ないこと、構造物延長及び施工延長が最も短く、施工性及び土量バランスにも優れていること、事業費が最も低く抑えられていることなどから、総合的に勘案すると、申請案が最も合理的であると認められる。
したがって、本件事業の事業計画については、合理的であると認められる。
以上のことから、本件事業の施行により得られる公共の利益と失われる利益とを比較衡量すると、得られる公共の利益は失われる利益に優越すると認められる。したがって、本件事業の事業計画は、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものと認められるため、法第20条第3号の要件を充足すると判断される。
4 法第20条第4号の要件への適合性
⑴ 事業を早期に施行する必要性
3⑴で述べたように、現道は、線形不良区間が存在し、追突や正面衝突等の交通事故が発生しているほか、自然災害の発生時には通行止めが行われており、本件事業により現道の機能を補完・代替し、安全かつ円滑な自動車交通の確保を図る必要があることから、本件事業を早期に施行する必要があると認められる。
また、中津市長を会長とする中津日田間地域高規格道路促進期成会等より、上記の理由から、本件事業の早期完成に関する強い要望がある。
したがって、本件事業を早期に施行する公益上の必要性は高いものと認められる。
⑵ 起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性
本件事業に係る起業地の範囲は、本件事業の事業計画に必要な範囲であると認められる。
また、収用の範囲は、全て本件事業の用に恒久的に供される範囲にとどめられ、それ以外の範囲は使用としていることから、収用又は使用の範囲の別についても合理的であると認められる。
したがって、本件事業は、土地を収用し、又は使用する公益上の必要があると認められるため、法第20条第4号の要件を充足すると判断される。
5 結論
以上のとおり、本件事業は、法第20条各号の要件を全て充足すると判断される。
第5 法第26条の2第2項の規定による図面の縦覧場所 大分県中津市役所