小倉総合車両センター移転整備事業の事業認定に関する告示
九州地方整備局告示
第四号
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「法」という。)第二十条の規定に基づき事業の認定をしたので、法第二十六条第一項の規定に基づき次のとおり告示する。
令和七年一月八日
九州地方整備局長 森田 康夫
第1 起業者の名称 九州旅客鉄道株式会社
第2 事業の種類 小倉総合車両センター移転整備事業
第3 起業地
1 収用の部分 福岡県北九州市小倉北区赤坂五丁目、高浜一丁目、高浜二丁目及び砂津三丁目地内
2 使用の部分 なし
第4 事業の認定をした理由
申請に係る事業は、以下のとおり、法第20条各号の要件を全て充足すると判断されるため、事業の認定をしたものである。
1 法第20条第1号の要件への適合性
申請に係る事業は、福岡県北九州市小倉北区赤坂五丁目地内から同区砂津三丁目地内までの延長約1.86㎞の区間(以下「本件区間」という。)を全体計画区間とする「小倉総合車両センター移転整備事業」(以下「本件事業」という。)である。
本件事業は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第8条第1項に定める鉄道施設に係る事業であり、起業者である九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」という。)は同法第3条第1項の規定による第一種鉄道事業の許可を受けた鉄道事業者であることなどから、法第3条第7号に掲げる鉄道事業法による鉄道事業者がその鉄道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設に関する事業に該当する。
したがって、本件事業は、法第20条第1号の要件を充足すると判断される。
2 法第20条第2号の要件への適合性
起業者は、鉄道事業法第3条第1項の規定による第一種鉄道事業の許可を受けた鉄道事業者であり、また、既に財源措置を講じていることから、本件事業を遂行する充分な意思と能力を有すると認められる。
したがって、本件事業は、法第20条第2号の要件を充足すると判断される。
3 法第20条第3号の要件への適合性
⑴ 得られる公共の利益
現在の小倉総合車両センター(以下「現施設」という。)は、明治24年に当時の九州鉄道株式会社の車両工場として開設され、その後の国有化、日本国有鉄道発足等を経て、昭和62年に民営化に伴い成立したJR九州に引き継がれたものである。
現施設は、在来線車両の全て(電車、内燃動車、新動力車、機関車、客車、貨車)の解体検査、更新(延命)工事、観光列車等の大規模改造が施工可能な敷地面積約15.8haの規模を有するJR九州の唯一の車両工場であり、列車の運行、車両の更新、改造に必要不可欠な施設である。
しかしながら、現施設は明治24年の開設後、130年以上を経過し老朽化が進んでいることに加え、建物が分散配置されているため、検査工程毎に車体を別の建物に移動させたり、また、旧形式車両の検査を前提とした基地設計のため、新形式車両も1両毎に分割して検査したり非効率な状況にある。さらに、現施設は板櫃川の想定浸水区域内に位置し、浸水被害により操業が一時停止することも懸念される。
本件事業の完成により、車両形式毎に検査ラインを分けることで、作業工程の短縮と作業効率の向上が図られることに加え、本件区間内で車両を留置する箇所は想定浸水区域外であるため浸水被害の危険性の低下が見込まれるなど、鉄道輸送サービスの向上が図られ、旅客運送業務の効率化等に寄与することが認められる。
したがって、本件事業の施行により得られる公共の利益は、相当程度存すると認められる。
⑵ 失われる利益
本件事業が生活環境に与える影響については、本件事業は環境影響評価法(平成9年法律第81号)等に基づく環境影響評価の実施対象外の事業であるが、起業者が令和6年4月に同法等に準じて任意で騒音及び振動について環境影響調査を実施したところ、いずれの項目においても環境基準等を満足するとされている。
また、本件区間内及びその周辺の土地に生息・生育する動植物については、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)等に定める重要な種(以下「重要な種」という。)は存在しないことを確認している。加えて、起業者は、今後、工事による改変箇所及びその周辺の土地で重要な種が確認された場合には、専門家の指導助言を受け、必要な保全措置を講ずることとしている。
また、本件区間内の土地には、文化財保護法(昭和25年法律第214号)による周知の埋蔵文化財包蔵地が1カ所存在するが、起業者は北九州市教育委員会と協議の上、必要に応じて発掘調査等を行い、記録保存を含む適切な措置を講ずることとしている。
したがって、本件事業の施行により失われる利益は軽微であると認められる。
⑶ 事業計画の合理性
本件事業は、現施設について老朽化に伴い移転の必要が生じたため、車両検査修繕施設を新たに建設する事業であり、その事業計画は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)等に定める規格に適合していると認められる。
また、本件事業の起業地の位置については、現施設の九州内における唯一の車両検査修繕施設としての機能を確保できる範囲内において、福岡県北九州市小倉北区赤坂五丁目地内外を移転先地とする申請案のほか、同区金田三丁目地内とする案及び同県宗像市三郎丸地内とする案の3つの移転先候補地案について検討が行われている。
申請案と他の2案を比較すると、申請案は、鹿児島本線東小倉駅の既存敷地を活用することから土地利用に与える影響は小さく、大規模な造成工事が不要であることから施工性に優れ、事業費も最も低く抑えられていることなどから、社会的、技術的及び経済的な面を総合的に勘案すると、申請案が最も合理的であると認められる。
したがって、本件事業の事業計画については、合理的であると認められる。
以上のことから、本件事業の事業計画に基づき施行することにより得られる公共の利益と失われる利益とを比較衡量すると、得られる公共の利益は失われる利益に優越すると認められる。したがって、本件事業の事業計画は、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものと認められるため、法第20条第3号の要件を充足すると判断される。
4 法第20条第4号の要件への適合性
⑴ 事業を早期に施行する必要性
3⑴で述べたように、現施設は車両形式に適した検査が出来ておらず非効率となっていることに加え、建物等の老朽化及び浸水被害等により、操業が一時停止することが懸念され、鉄道事業の継続的な営業に支障が出る恐れがあることから、本件事業を早期に施行する必要があると認められる。
⑵ 起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性
本件事業に係る起業地の範囲は、本件事業の事業計画に必要な範囲であると認められる。
また、収用の範囲は、全て本件事業の用に恒久的に供される範囲にとどめられていることから、収用又は使用の範囲の別についても合理的であると認められる。
したがって、本件事業は、土地を収用し、又は使用する公益上の必要があると認められるため、法第20条第4号の要件を充足すると判断される。
5 結論
以上のとおり、本件事業は、法第20条各号の要件を全て充足すると判断される。