その他令和8年3月19日

Alephに対する再発防止処分下における活動状況及び不報告事案に関する調査結果

掲載日
令和8年3月19日
号種
号外
原文ページ
p.14 - p.16
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AI要点

Alephの要報告事項不報告に係る危険性評価

抽出された基本情報
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Alephに対する再発防止処分下における活動状況及び不報告事案に関する調査結果

令和8年3月19日|p.14-16|原文を見る

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(エ) 団体の営む収益事業の種類及び概要等に関する不報告 令和元年11月14日付け「報告書」まで記載され、令和2年2月以降に報告されなくなった収益事業のうち、廃業した収益事業を除く計8の収益事業(以下「計8の収益事業」という。)の種類及び概要等について、報告していない。
なお、収益事業について、「Aleph」は、「収益事業は「Aleph」が経営するものではなく、法的義務として報告することはできない。」旨主張しているが、計8の収益事業は、代表者等がいずれも「Aleph」の出家した構成員であるところ、「Aleph」においては、「不所有の戒律」に基づき、出家した構成員について個人資産の保有が認められていないこと、本店所在地がいずれも「Aleph」の施設であり、かつ、従業員も「Aleph」の出家した構成員であること、事業内容が在家の構成員に対する指導や物品販売等で「Aleph」の活動と一体であり、「Aleph」からの経済的独立性もないことなどから、「Aleph」が実質的に経営する収益事業であり、団体の営む収益事業に該当することは明らかである。
(オ) 資産に関する不報告 「Aleph」の預貯金及び少なくとも計8の収益事業の資産について、報告していない。
(カ) 出家した構成員の位階に関する不報告 出家した構成員の位階について、報告していない。
ウ 指導状況
公安調査庁は、「Aleph」に対し、本件一部不報告に係る要報告事項等を報告するよう文書により繰り返し指導を行ったものの、「Aleph」は、かかる文書の受取を拒否するなどして指導に応じず、結局、現在に至るまで、本件一部不報告を継続している。
4 再発防止処分下における「Aleph」の活動状況
「Aleph」は、令和5年3月決定後、建物の一部の使用が禁止された施設(以下「一部使用禁止施設」という。)において、使用禁止とされた道場等に保管されていた物品を使用が禁止されていない場所へ移動させた上で、相当数の在家の構成員を出入りさせるなどして、道場以外の場所を実質的に道場と同じように使用したり、屋外において在家の構成員を対象とした行事を開催したりするなど、活動内容を変化させた。
令和5年7月請求以降は、一部使用禁止施設において、引き続き、相当数の在家の構成員を出入りさせるなど、施設内での活動を継続するほか、在家の構成員に対し、ウェブ会議システムを用いて在宅のまま指導を受けさせたり、屋外における修行を行わせたりするなど、施設外での活動を企図したと考えられる活動を行う一方、施設内において寝室を拡大して使用禁止の処分を回避しようとしたものと考えられる活動も認められた。また、一部の施設については、在家の構成員のための道場としての使用をやめたと主張しているものの、その部屋の内部に祭壇や音響機器を設置し続けるなど、道場機能をそのまま維持していることなどから、依然として、在家の構成員のための道場としての運営を続け、少なくともそれが極めて容易かつ可能な状況にあると認められた。
令和5年9月決定以降、「Aleph」は、在家の構成員が多数参集していた施設の道場が使用禁止となっていたこともあり、在家の構成員に対し、施設に出入りさせたり、各種セミナー等の行事を開催して参加させたりすることは控えるようになった。その結果、在家の構成員から徴収する資金については大幅に減少している状況がうかがえた。一方で、「Aleph」は、在家の構成員に対し、自宅での修行を指示したり、「Aleph」が実質的に経営する収益事業を継続させたりするとともに、その活動に用いることが可能な車両を配備したり、新たに不動産を出家した構成員名義で確保したりするなど、その活動を潜行化させていることが認められた。
令和6年1月には、「Aleph」のホームページに、約13年半ぶりに改正した「運営規則」を掲載し、団体名を「人格のない社団Aleph」に変更したほか、「賛助会員」と称する制度を新設した。このうち、「賛助会員」と称する制度は、「運営規則」において、「所定の各会費に応じて、別途定める事項の各特典を享受することができる」と規定されているところ、かかる「特典」については、同年5月14日付け「報告書」において、提案権及び投票権なる権利が付与されたとされているものの、その詳細は明らかにされておらず、実質は、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止する処分(以下「受贈与禁止処分」という。)を課された「Aleph」が、その潜脱を企て、在家の構成員から会費名目で金銭を徴収するために新設した制度である可能性があり、在家の構成員から徴収する資金が大幅に減少した「Aleph」が、収入の確保に腐心している状況がうかがえた。
また、同年4月30日、埼玉県八潮市大字大瀬所在の「Aleph」管理下の施設・通称「八潮大瀬施設」(以下「八潮大瀬施設」という。)に対して実施した立入検査において、八潮大瀬施設以外の一部使用禁止施設に所属する出家した構成員を含む約70名の出家した構成員の滞在が確認され、同月から同年5月5日までの間の同構成員らの八潮大瀬施設への出入り状況等を確認すると、この期間、「Aleph」が、同構成員らを対象とした集中セミナーを開催していたことが強く推認されるところ、同立入検査の際、八潮大瀬施設の道場内に設置された「布施箱」の中に現金が投入されている状況が確認されており、受贈与禁止処分下にあって、八潮大瀬施設の道場が資金獲得の場所として使用されていることが判明した。
令和6年9月決定以降も、引き続き、一部使用禁止施設においては在家の構成員を出入りさせることなどは控えている状況が認められる一方で、使用を禁止された施設の道場においては、道場機能をそのまま維持していることが認められることなどから、同所が使用禁止場所ではなくなった場合、出家した構成員や在家の構成員を集めて集中セミナーなどを開催することが極めて容易かつ可能な状況にある。
このほか、「Aleph」は、前記のとおり、令和5年9月決定以降、車両を配備したり、不動産を確保したりしていたところ、近時、同車両を利用した在家の構成員に対する指導が確認されたり、同不動産を維持しつつ、新たに、出家した構成員名義で、従前、同構成員の活動が見られなかった複数の地域において、複数の不動産を確保する動きが確認されたり、一部の幹部構成員が「報告書」に記載された住所地に存する施設に出入りしなくなったりするなど、引き続き、その活動を潜行化させていることが認められる。
また、収益事業の事務所の使用が禁止された施設において、同施設に居住していた出家した構成員が、同施設から退去して新たに物件を賃借した上、同収益事業の会計帳簿を同施設からいずれかに持ち出しておきながら、同帳簿が同施設に存在するものではないこと等を理由として、同施設に対する立入検査として同帳簿の検査に応じないという事案も発生している(なお、収益事業の会計帳簿の保管場所は、「公安審が特に必要と認める事項」として要報告事項であるが、前記3・②・イ・(エ)で述べたとおり、「Aleph」はこれを報告していない)。
さらに、令和6年1月に新設された「賛助会員」と称する制度については、令和7年8月5日付け「報告書」及び同年11月14日付け「報告書」において、「賛助会員」の「特典」の内容について、「賛助会員」のステージに応じた、「賛助会員」による投票を実施し、その投票結果を採用することなどの記載にとどまり、「賛助会員」と称する制度が運用されている状況はうかがえるものの、依然として、その詳細は現在に至るまで明らかにされていない。
このように、「Aleph」は、再発防止処分によって道場等の使用が禁止されたことを受け、施設外における活動を活発化させつつあるとともに、再発防止処分によって受贈与禁止処分を課されたことで、令和6年1月に新設した「賛助会員」と称する制度を運用して会費名目での金銭の徴収を図るなど、収入の確保に腐心しているが、「Aleph」が提出する「報告書」に記載された団体の活動に関する意思決定の内容等が不十分であることもあいまって、麻原の二男らが主導する意思決定や「賛助会員」と称する制度の詳細を含め、その活動内容については、依然として、判然としない部分が多く、把握が困難である点で、活動を潜行化させていると認められる。
5 本件一部不報告によって「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められること(法第8条第1項柱書き後段の要件該当性③)
(1) 本件一部不報告自体が、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難な状態を生じさせていること
「Aleph」が本件一部不報告を継続している状況は、過去に無差別大量殺人行為を行い、現在もなおその属性として危険な要素を保持している団体の活動を支える主要な要素である人的・物的・資金的要素や団体の主要な活動に関する事項等を報告させることにより、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度及びその活動状況を継続して明らかにすべく報告義務を課した法の趣旨を没却させるものである。更にいえば、本件一部不報告は、麻原の二男が主導して行った「Aleph」による意図的な行為であることが明らかとなっており、このような行為の介在により、本来「報告書」の記載内容によって、3か月ごとの報告日において容易かつ迅速に
把握できるはずの要報告事項が直ちには把握できないばかりか、報告によって示される活動状況を基に、その裏付けを取ったり、それを端緒として更に団体の活動状況を明らかにしたりするための各種調査等を実施することなどもできず、それにより、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度、すなわち無差別大量殺人行為の実行に関連性を有する危険な要素の質的・量的程度やその変化について正確な把握ができないという極めて危険な結果を導くものである。
中でも、麻原の二男及び麻原の妻が役職員及び構成員であることの不報告については、前記のとおり、上命下服の体制を敷く「Aleph」において、「オウム真理教」による無差別大量殺人行為を首謀した麻原と同様に「グル」を自称する実質的支配者の存在やその活動実態等の把握を困難にするものである。また、新越谷施設の所在、用途等の不報告については、麻原の二男が、新越谷施設を拠点として、オンラインの方法による会議を開催し、「Aleph」の組織運営に関わる重要な意思決定に主導的な立場で関与していたり、麻原の妻も同会議に参加して発言していたりしたことに鑑みると、新越谷施設で無差別大量殺人行為に関する謀議がなされていないか等を把握する必要があったにもかかわらず、その実態が明らかになることがなかったという意味において、麻原の二男及び麻原の妻が役職員及び構成員であることの不報告と合わせて、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を正確に把握する上で極めて重要な要素の不報告であるといえる。
したがって、本件一部不報告は、正にそれ自体が「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難な状態を生じさせていると認められる。
(2) 任意調査や立入検査によっても、要報告事項に関する情報の把握が困難であること
ア 任意調査による要報告事項の把握の困難性
そもそも任意調査(法第7条第1項)の場合、調査対象者の協力を得る必要があるなど、その調査方法には限界がある上、「Aleph」は、出家した構成員を「Aleph」管理下の施設に集団居住させ、外部情報等を管理統制するなど、外部との接触を極力排した閉鎖的な居住空間を形成しているところ、構成員に対して、公安調査官の任意調査への協力を拒み、実態を明らかにしないことを徹底するよう組織的に指導している。
したがって、「Aleph」の構成員に対し、要報告事項を把握するための情報や、その把握に資する物件の所在や内容等について質問をしたとしても、回答を得ることが極めて困難であることから、任意調査によって、これらを把握することは困難である。
イ 立入検査による要報告事項の把握の困難性
「Aleph」は、立入検査(法第7条第2項)についても、構成員に関する物件を隠匿し質問に答えないなどの対抗措置を記載した文書を作成するなどして実態を明らかにしないことを徹底するよう組織的に指導している。実際に、令和7年9月決定以降も、従前同様、立入検査において、鍵の不存在等を理由に、事実上、立入検査を不可能ならしめたり、検査の妨害や遅延を図ったり、公安調査官による質問に対して回答を拒否したりするなど、組織的に徹底した対抗措置を講じている。
また、一部の施設においては、施設内にある物件の検査を拒んだり、施設への立入りそのものを拒んだりする事案も発生している。
したがって、立入検査によっても、要報告事項を把握するための情報や、その把握に資する物件の所在や内容等について把握することは困難である。
(3) 本件一部不報告に係る要報告事項を個別に見ても、任意調査や立入検査によって要報告事項に関する情報を入手することが困難であること
ア 人的要素(要報告事項①及び⑥)
無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度及び活動状況を明らかにするためには、団体の活動を支える主要な要素の一つである人的要素についても明らかにする必要があるところ、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の役員については、当該団体の保有する理念やその活動方針を左右する意思決定に関与し得る立場にある者であること、職員については、その意思決定に基づき事務に従事する者であること、構成員については、団体の資金的基盤を支え、かつ、団体の活動の主体となる者であることから、これらの者の人定事項について把握することが必要不可欠であるので、法定の報告事項とされている。
また、出家した構成員の位階については、位階制度に基づく上命下服の体制を保持する本団体において、その位階と団体内部における立場・役割との対応関係を把握し、その活動状況を継続して明らかにする必要があると公安審が特に認めたことから、これらが報告事項とされている。「Aleph」の役職員、未成年構成員を含む在家の構成員の一部及び出家した構成員の位階について報告がない場合、団体の意思決定者、構成員及び位階の特定、変動等が不明であるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり名簿等の関連物件を発見・確認したりなどすることは、前記(2)で述べたとおり、「Aleph」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記4で述べたとおり、「Aleph」が「賛助会員」と称する制度を運用するなどしてその活動を潜行化させているといえる状況や、麻原の二男がその存在や地位、役割等を、対外的に秘匿し、かつ、団体の内部においても幹部構成員や一部の出家した構成員以外には秘匿しながら活動している状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。
イ 物的要素(要報告事項②及び③)
現に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の活動の用に供されている土地及び建物の所在、用途等については、当該団体の活動を支える主要な要素の一つである物的要素を明らかにするためにその把握が必要不可欠であることから、これらが報告事項とされている。
「Aleph」の活動の用に供されている施設の所在、用途等について報告がない場合、既存施設であっても、報告されていない施設の拡充や用途変更等についての把握が困難となるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり関連物件を発見・確認したりするなどして施設の拡充や既存施設の用途変更等を把握することは、前記(2)で述べたとおり、「Aleph」の非協力姿勢に基づく対抗措置や、施設への立入検査そのものの拒否あるいは施設の鍵の保管者と連絡が取れないことなどを理由とした事実上の忌避等により困難であって、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。
ウ 団体の営む収益事業の種類及び概要等(要報告事項⑥)
団体の営む収益事業の種類及び概要等については、当該団体が、収益事業によって得た多額の収益を原資として危険物等を購入するおそれがあり、資産及び負債や政令で定める団体の活動等に関する報告だけでは、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であるため、収益事業の実態を把握し、その活動状況を継続して明らかにすることが必要であると公安審が特に認めたことから、これらが報告事項とされている。
「Aleph」が実質的に経営する収益事業について報告がない場合、収益事業の実態やその活動状況についての把握が困難となるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり関連物件を発見・確認したりするなどして収益事業の実態やその活動状況を明らかにすることは、前記(2)で述べたとおり、「Aleph」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であり、前記4で述べたとおり、一部の施設では収益事業の会計帳簿が施設外に持ち出されるなど、「Aleph」がその活動を潜行化させているといえる状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。
エ 資金的要素(要報告事項④)
現に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる団体の資産及び負債については、当該団体の活動を支える主要な要素の一つである資金的要素を明らかにするためにその把握が必要不可欠であることから、これらが報告事項とされている。
「Aleph」が実質的に経営する収益事業の資産及び同収益事業の預貯金を含む「Aleph」の預貯金について報告がない場合、所有する現金及び預貯金の現在額、預貯金口座の存在及び変動、収益事業間の資産の移動状況等についての把握が困難であるところ、任意調査や立入検査の方法で構成員から情報を入手したり、関連物件を発見・確認したりするなどしてこれらを明らかにすることは、前記(2)で述べたとおり、「Aleph」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等により困難であって、前記4で述べたとおり、「Aleph」が収入の確保に腐心してその活動を潜行化させているといえる状況も踏まえると、前記事項に関する危険な要素を迅速に把握することは困難である。
オ 立入検査の際に下記の本件収益事業書面が施設内で確認されたとしても、なお無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であること
[Aleph] は、前記のとおり、収益事業に係る所定の事項につき、報告義務の履行として「Aleph」名義の「報告書」で報告することを一切拒否している状況にある。一方で、「Aleph」は、令和7年8月5日付け「報告書」及び同年11月14日付け「報告書」の団体の活動に関する意思決定の内容として、計8の収益事業において、①当該事業者に係る「事業の種類及び概要、事業所の名称及びその所在地、当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所」、②当該事業者に係る「現金の現在額」、「預貯金の種類、金融機関名、残高及び口座名義人の氏名又は名称」及び「貸付金」等を記載した文書(以下「本件収益事業書面」という。)を報告基準日ごとに作成し、公安調査官の調査に供する用意を継続していることを確認した旨記載しており、実際に、「Aleph」管理下の施設に対して実施した立入検査において、本件収益事業書面が一部確認されているとより、計8の収益事業は「Aleph」が実質的に経営するものであり、公安審の決定や裁判所の判決等でその旨繰り返し認定されており、かかる記載自体、「Aleph」と収益事業が別のものであるという「Aleph」の独善的かつ身勝手な主張をこ塗するものにしかすぎないが、実質的に考慮しても、かかる本件収益事業書面の存在をもって、「Aleph」に課せられた報告義務が果たされたと解する余地はなく、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは依然として困難である。
すなわち、法が予定している観察処分の枠組みは、報告内容に虚偽があれば再発防止処分を受け得るという制度的担保の下、3か月ごとに、容易かつ迅速に要報告事項を把握することができることを前提として、任意調査等でそれを確認するというものであるところ、本件収益事業書面は、「Aleph」の責任において報告されたものではないため、その内容の正確性・真実性について、前記のような制度的担保なく作成されて施設内に置かれたものにすぎない。その結果、本件収益事業書面では把握漏れを防ぐこともできず、「Aleph」が実質的に経営する収益事業を全て把握し、その活動状況を継続して明らかにすることが困難である。
また、「Aleph」は、令和2年2月15日付け「報告書」以降、本件一部不報告を含め、5年以上の長期間にわたり、少なくとも計8の収益事業の種類及び概要等並びに同収益事業に係る資産を報告しておらず、これによって、これら要報告事項について、3か月ごとの容易かつ迅速な把握及びそれを前提とした任意調査等による確認ができず、危険な要素の質的・量的程度とその変化について正確な把握ができない状況が継続しているものであり、このことは、各施設への立入検査時に本件収益事業書面が確認されたことによって到底解消されるものではない。
その他、これまでの立入検査の結果に鑑みても、前記(2)で述べたとおり、「Aleph」の非協力姿勢に基づく徹底した対抗措置等もあり、各施設への立入検査において、「Aleph」の出家した構成員が自ら進んで本件収益事業書面を公安調査官に提供したことはないばかりか、令和7年6月18日に実施した名古屋施設に対する立入検査においては、本件収益事業書面が施設外に持ち出されており、立入検査時における本件収益事業書面の確認ができず、立入検査に立ち会った弁護士も本件収益事業書面の記載事項の一つとされる会計帳簿の保管場所については明確に回答しなかったほか、同年12月3日には、名古屋施設の出家した構成員が、正当なものとは認め難い理由を述べて名古屋施設に立ち入ること自体を拒むなど、前記「報告書」に記載された「公安調査官の調査に供する用意を継続している」とは到底いえない状況にある。
さらに、本件収益事業書面が確認された場合であっても、収益事業に係る会計帳簿上の記載が概括的であることなどから会計帳簿上の金額の信頼性を含めて十分な裏付けを得るに至らないなど、その内容も不十分なものにとどまっており、危険な要素の質的・量的程度について正確な把握ができるとは到底認め難い状況にある。
例えば、前記4で述べた「賛助会員」と称する制度についてみても、いずれの収益事業に係る会計帳簿等にも同制度に基づく会費収入の記載は見当たらないほか、「Aleph」の主たる事務所がある北越谷施設に保管された会計帳簿等には一定の収入の記載があるものの、同制度に基づく会費を特受するには足りる記載は見当たらず、結局、「賛助会員」と称する制度に基づく会費名目の金銭の実態は明らかでなく、ひいては「Aleph」が「報告書」で報告する現金額すら真実のものかどうかを容易に判断することは困難な状況にある。
このように、本件収益事業書面が一部確認されたとしてもなお、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であると認められ、このことについては、令和5年3月決定による再発防止処分に係る損害賠償請求訴訟において、東京地裁もその旨認定している。
カ 小括
以上詳述したとおり、「Aleph」による本件一部不報告は、人的要素、物的要素、資金的要素等を個別に見ても、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められ、本件収益事業書面があってもなお、その危険性の程度を把握することが困難であると認められる。
6 結語
以上のとおり、「Aleph」は、公安調査庁長官による令和3年請求の撤回後、公安調査庁が指導を重ねても一部不報告の状況に改善が見られないだけでなく、令和3年請求以前よりも不報告事項を増加させるなどその状況が悪質となっている上、そのような状況が継続・固定化しており、令和5年9月決定以降は、一見してその内容を把握することが困難な形で活動を潜行化させ、さらに、令和6年1月に新設した「賛助会員」と称する制度を運用して、収入の確保に腐心しているところ、その内容は判然としない部分が多く、前記同様、活動を潜行化させていることから、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められることは明らかである。
そして、「Aleph」が位階制度に基づく上命下服の体制を保持していることに照らせば、「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握するには、過去に無差別大量殺人行為を首謀した麻原から「後継者」と指名され、自らも麻原と同様に団体の指導者である「グル」を称する麻原の二男の活動実態を把握することが必要不可欠であるが、麻原の二男自らが、自己の存在や地位、役割等を、対外的に秘匿し、団体の内部においても、幹部構成員や一部の出家した構成員以外には秘匿しながら活動し、一部不報告を主導してきたことなどに鑑みると、麻原の二男らの活動実態を明らかにし、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することは困難であると認められる。
加えて、「Aleph」は、①出家した構成員を管理下の施設に集団居住させるとともに、親族との縁の断絶や外部情報の遮断を構成員に推奨するなど、一般社会と隔絶した独自の閉鎖社会を維持しており、立入検査に対しては、非協力的な姿勢を組織ぐるみで徹底するなど閉鎖性が顕著であること、②観察処分の一环として公安調査庁長官に対する報告義務を負う事項につき、一部不報告を続けるとともに、新規構成員獲得のために欺もう的な手段による勧誘活動を組織的に展開するなど、欺まん性が顕著であること、③その閉鎖的・欺まんな組織体質に起因して、依然として全国各地で地域住民が恐怖感・不安感を抱き、その結果、観察処分の期間更新を要請していることなどを指摘され、第8回期間更新決定に至ったものであるが、そこで指摘された閉鎖性、欺まん性等の問題点は再発防止処分下においても何ら変わらず、むしろより先鋭化しているとさえいえる状況であり、地域住民等の不安感も大きいものと推察されることも十分考慮する必要がある。
以上のとおり、「Aleph」については、法第8条第1項柱書き後段の要件を満たすものと認められるだけでなく、同条の再発防止処分を行う必要性も認められる。
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Alephに対する再発防止処分下における活動状況及び不報告事案に関する調査結果 - 第14頁
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