告示令和8年2月10日
厚生労働省告示第二百二号(治療と就業の両立支援指針の制定)
掲載日
令和8年2月10日
号種
号外
原文ページ
p.3
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AI要点
治療と就業の両立支援指針の制定
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厚生労働省告示第二百二号(治療と就業の両立支援指針の制定)
令和8年2月10日|p.3
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法 規 的 告 示
○厚生労働省告示第二百二号
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二十七条の三第一項の規定に基づき、治療と就業の両立支援指針を次のように定める。
令和八年二月十日
厚生労働大臣 加藤勝信
治療と就業の両立支援指針
目次
1 治療と就業の両立支援の趣旨
2 労働安全衛生法との関係
3 治療と就業の両立支援を行うに当たっての留意事項
4 治療と就業の両立支援を行うための環境整備
5 治療と就業の両立支援の進め方
1 治療と就業の両立支援の趣旨
深刻な少子高齢化と人口減少に直面する我が国において、貴重な労働者の一人一人が、心身の健康を確保し、生きがいを持ってその能力を最大限発揮することができる環境を整備していくことが必要である。
現状、高齢者の就労の増加等を背景に、何らかの疾病により通院しながら働く労働者の割合は年々上昇しており、職場において疾病を抱える労働者の治療と就業の両立への対応が必要となる場面は更に増えることが予想される。
一方、近年の医療技術の進歩等により、例えば、かつては「不治の病」とされていたがん等の疾病においても生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しており、労働者が疾病にり患した場合でも、すぐに離職しなければならないという状況は必ずしも当てはまらなくなっている。
しかし、疾病を抱える労働者の中には、疾病に対する労働者自身の理解の不足や職場の理解・支援体制が不十分であることにより、離職に至ってしまう場合や、業務上の理由で適切に治療を受けられない場合もみられる。
事業場においては、健康診断に基づく健康管理やメンタルヘルス対策をはじめとして、労働者の健康確保に向けた様々な取組が行われてきたが、近年では、厳しい経営環境の中でも、労働者の健康確保や疾病・障害を抱える労働者の活躍推進に関する取組が、健康経営やワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティの促進といった観点からも推進されている。
一方で、治療と就業の両立支援の取組状況は事業場によって様々であり、支援方法や産業保健スタッフ(産業医又は労働者数が50人未満の事業場で労働者の健康管理等を行う医師(以下「産業医等」という。)や保健師、看護師等をいう。以下同じ。)・医療機関との連携について悩む事業場も少なくない。
こうしたことから、労働者の治療と就業の両立支援に取り組む企業に対する支援や医療機関等における治療と就業の両立支援対策の強化も必要な状況にある。
事業主には、疾病、負傷等の治療を受ける労働者について、就業によって疾病又は負傷の症状が増悪すること等を防止し、その治療と就業の両立を支援するため、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じることが求められる。このような取組は、労働者の健康確保及び就業継続という意義とともに、事業主にとって、継続的な人材の確保、労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着、生産性の向上、治療と就業の両立支援の充実が取組の一要素を構成する健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活
性化、組織としての社会的責任の実現、ワーク・ライフ・バランスの実現といった意義もあると考えられる。また、疾病を抱える労働者が、個々の状況に応じた就業の機会を得ることが可能となり、全ての人が生きがい、働きがいを持って活躍できる社会の実現に寄与することが期待される。
本指針は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第27条の3の規定に基づき、治療を受ける労働者の治療と就業の両立を支援するための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。事業主は、治療と就業の両立支援を行うに当たっては、本指針に基づき、職場において必要な措置を講じることが望ましい。
事業場における治療と就業の両立支援の取組に当たっては、厚生労働省労働基準局長が定める主な疾病別の留意事項、様式例集並びに支援制度及び支援機関を参考にする。
本指針は主に、事業主、人事労務担当者及び産業保健スタッフを対象としているが、労働者本人や、家族、医療機関の関係者等の支援に関わる者にも活用可能なものである。
本指針が対象とする疾病(負傷を含む。以下同じ。)は、国際疾病分類(疾病、傷害及び死因の統計分類(統計法第28条の規定に基づき、疾病、傷害及び死因に関する分類を定める件(平成27年総務省告示第35号)で規定する分類をいう。)に掲げられている疾病であって、医師の診断により、増悪の防止等のため反復・継続して治療が必要と判断され、かつ、就業の継続に配慮が必要なものとする。
また、本指針は既に雇用している労働者への対応を念頭に置いているが、治療が必要な者を新たに採用し、職場で受け入れる際には、本指針を参考として取り組むことが可能なものである。
さらに、本指針は、雇用形態に関わらず、労働者全てを対象とする。
2 労働安全衛生法との関係
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)では、事業者による労働者の健康確保対策に関して規定されており、そのための具体的な措置として、安衛法第66条に基づく健康診断の実施(既往歴、業務歴、自覚症状及び他覚症状の有無の検査や、血圧等の各種検査の実施)及び医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは就業上の措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等)の実施を義務付けるとともに、日常生活面での指導、受診勧奨等を行うよう努めるものとされている。これは、労働者が、業務に従事することによって、疾病を発症したり、疾病が増悪したりすることを防止するための措置などを事業者に求めているものである。
また、安衛法第68条及び労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第61条第1項では、事業者は、「心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者」等については、その就業を禁止しなければならないとしており、同条第2項において、「前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門的医師の意見をきかなければならない」としているところ、これらの規定は、当該労働者の疾病の種類、程度及びこれについての産業医等の意見を勘案の上、可能な限り配置転換、作業時間の短縮その他の必要な措置を講ずることによって就業の機会を失わせないようにし、やむを得ない場合に限り就業を禁止するものとする趣旨であり、種々の条件を十分に考慮して慎重に判断すべきものである。
さらに、安衛法第62条では、事業者は、「中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない」こととされている。
これらを踏まえれば、事業主が疾病を抱える労働者を就業させると判断した場合は、就業により疾病が増悪しないよう、治療と就業の両立のために必要となる一定の就業上の措置及び治療に対する配慮を行うことは、労働者の健康確保対策等として位置づけられる。
したがって、治療と就業の両立支援は、事業場において安衛法第69条に基づき行われる健康保持増進措置や対策とともに実施することが望ましい。
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