沖縄総合事務局告示(土地収用法に基づく事業認定)
沖縄総合事務局告示
第一号
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「法」という。)第二十条の規定に基づき事業の認定をしたので、法第二十六条第一項の規定に基づき次のとおり告示する。
なお、起業地の一部について収用の手続が保留されるので、法第三十三条の規定に基づきその旨をあわせて告示する。
令和七年一月二十一日
沖縄総合事務局長 三浦健太郎
第1 起業者の名称 沖縄県
第2 事業の種類 県道那覇北中城線(翁長~上原)道路改築事業(沖縄県中頭郡西原町字棚原前原地内から同町字上原大田地内まで)
第3 起業地
1 収用の部分 沖縄県中頭郡西原町字棚原前原、字棚原白河、字上原運堂、字翁長運堂原、字小橋川宇津尾、字上原上原、上原二丁目及び字上原大田地内
2 使用の部分 なし
第4 事業の認定をした理由
申請に係る事業は、以下のとおり、法第20条各号の要件を全て充足すると判断されるため、事業の認定をしたものである。
1 法第20条第1号の要件への適合性
「県道那覇北中城線(翁長~上原)道路改築事業」(以下「本件事業」という。)は、沖縄県中頭郡西原町字棚原前原地内から同町字上原大田地内までの延長1,789mの区間(以下「本件区間」という。)を全体計画区間とする事業であり、申請に係る事業は、本件事業のうち、上記の起業地に係る部分である。
本件事業は、道路法(昭和27年法律第180号)第3条第3号に掲げる都道府県道に関する事業であり、法第3条第1号に掲げる道路法による道路に関する事業に該当する。
したがって、本件事業は、法第20条第1号の要件を充足すると判断される。
2 法第20条第2号の要件への適合性
県道那覇北中城線(以下「本路線」という。)は、道路法第7条の規定により沖縄県知事が県道に認定した路線であり、同法第15条の規定により沖縄県が本路線の道路管理者となること、既に本件事業を開始していることなどの理由から、起業者である沖縄県は、本件事業を遂行する充分な意思と能力を有すると認められる。
したがって、本件事業は、法第20条第2号の要件を充足すると判断される。
3 法第20条第3号の要件への適合性
⑴ 得られる公共の利益
本路線は、一般国道58号と接続する那覇市の泊交差点を起点とし、県道那覇糸満線、同浦添西原線、同宜野湾西原線と連結し、県道宜野湾北中城線と接続する北中城村の第一安谷屋交差点を終点とする県都那覇市と宜野湾市等の中部地域を結ぶ総延長20.8㎞の主要幹線道路である。
本件事業が位置する中頭郡西原町及び隣接する中頭郡中城村の沿線付近には、国立大学法人琉球大学、琉球大学付属小中学校、私立沖縄キリスト教学院大学、私立沖縄キリスト教短期大学、県立西原高校が立地しており、大学等へのアクセス道路として利
用されている。また、本路線が通過する中頭郡中城村南上原地内と県道宜野湾西原線が接続する上原交差点周辺には、中古車販売店や各種飲食店が連たんしており、近隣市町村からの顧客の流入も見られる。さらに、本路線と県道浦添西原線が接続する坂田交差点付近の中頭郡西原町字翁長地内、同町字徳佐田地内においては、西原西地区土地区画整理事業が進められており、令和8年度の区画整理事業完了後、自動車交通量の増加が予想される。
しかしながら、中頭郡西原町字翁長地内の坂田交差点から同町字上原地内の中頭郡中城村境界までの区間(以下「現道区間」という。)は、地域住民はもとより周辺地域からの通勤、通学等、日常生活上に広く利用されているため、地域内交通と通過交通がふくそうし、自動車交通量が多いにもかかわらず、現道区間は車道幅員7mの2車線道路であることから、朝夕の通勤・通学時間帯に慢性的な交通渋滞が発生している。また、小学校の通学路に指定されているにもかかわらず、歩道幅員が2.8mと狭い箇所がある等、主要幹線道路としての機能を十分に発揮していない状況にある。
令和3年10月に起業者が現道区間の交差点で実施した渋滞状況調査によると、坂田交差点(那覇市方面側)において、通勤・通学の時間帯に最大渋滞長370m(最大通過時間約9分)、上原交差点(中城村方面側)において、最大渋滞長580m(最大通過時間約10分)が確認されている。
本件事業の完成により、4車線に整備されることから、慢性的な交通渋滞の緩和が図られるものであり、同時に3m以上の自転車歩行者道の整備により、自動車と自転車及び歩行者の分離が図られることから、交通事故の減少が期待され、安全かつ円滑な自動車交通が確保されるものである。
したがって、本件事業の施行により得られる公共の利益は、相当程度存すると認められる。
⑵ 失われる利益
本件事業は「環境影響評価法」(平成9年法律第81号)等に定める環境評価対象外の事業であるが、起業者が令和4年2月に同法等に準じて任意で環境影響調査を実施しており、その結果によると大気質、騒音及び振動等については環境基準等を満足するものとされている。また、令和5年の計画交通量の見直しに伴い、大気質、騒音、振動について再評価を実施しており、いずれも環境基準等を満足するものと評価されている。
また、同調査によると、本件区間内及びその周辺の土地において、動物については絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)における国内希少野生動植物種であるオキナワコキクガシラコウモリ、ハヤブサ、環境省レッドリストに絶滅危惧IA類として掲載されているタウナギ、絶滅危惧IB類として掲載されているシラユキヤマタカマイマイ、絶滅危惧Ⅱ種として掲載されているサシバ等その他これらの分類に該当しない学術上又は希少性の観点から重要な種が、植物については環境省レッドリストに絶滅危惧Ⅱ類として掲載されているハマツメクサ及びハマクワガタ、準絶滅危惧として掲載されているハリツルマサキ等その他これらの分類に該当しない重要な種が確認されているが、本件事業が及ぼす影響の程度を予測したところ、周辺に同様な生息又は生育環境が広く残されていることから、影響は小さい又はほとんどないと予測されている。
このほか、本件事業区域内の土地には、文化財保護法(昭和25年法律第214号)による周知の埋蔵文化財包蔵地に確認されている箇所はないが、本件事業による土地の改変の際に文化財が確認された場合には起業者は西原町教育委員会との協議により、適切な措置を講ずることとしている。
したがって、本件事業の施行により失われる利益は軽微であると認められる。
⑶ 事業計画の合理性
本件事業は、道路構造令(昭和45年政令第320号)による第4種第1級の規格に基づく現道区間を4車線に拡幅(一部バイパス方式)する事業であり、その事業計画は同令等に定める規格に適合していると認められる。
また、本体事業の事業計画は平成18年12月26日付け沖縄県告示第884号で都市計画決定された都市計画道路3・2・16号翁長上原線と一部のり面部分を除き、基本的内容について整合しているものである。
したがって、本件事業の事業計画については、合理的であると認められる。
以上のことから、本件事業の事業計画に基づき施行することにより得られる公共の利益と失われる利益とを比較衡量すると、得られる公共の利益は失われる利益に優越すると認められる。したがって、本件事業の事業計画は、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものと認められるため、法第20条第3号の要件を充足すると判断される。
4 法第20条第4号の要件への適合性
⑴ 事業を早期に施行する必要性
3⑴で述べたように、本件区間は、地域内交通と通過交通がふくそうし、自動車交通量が多いにもかかわらず、朝夕の通勤・通学時間帯に慢性的な交通渋滞が発生しており、歩行者等及び自動車の安全かつ円滑な自動車交通の確保を図る必要があることから、本件事業を早急に施行する必要があると認められる。また、西原町より、本件事業の早期完成に関する強い要望がある。
したがって、本件事業を早期に施行する公益上の必要性は高いものと認められる。
⑵ 起業地の範囲及び収用又は使用の別の合理性
本件事業に係る起業地の範囲は、本件事業の事業計画に必要な範囲であると認められる。
また、収用の範囲は、すべて本件事業の用に恒久的に供される範囲にとどめられていることから、収用の範囲についても合理的であると認められる。
したがって、本件事業は、土地を収用する公益上の必要があると認められるため、法第20条第4号の要件を充足すると判断される。
5 結論
以上のとおり、本件事業は、法第20条各号の要件をすべて充足すると判断される。