フィリピン共和国に対する安全保障上の能力強化に係る無償資金協力に関する交換公文
外務大臣 岩屋 毅
(日本側書簡)
(訳文)
書簡をもって啓上いたします。本使は、日本国政府の代表者とフィリピン共和国政府(以下「被供与国政府」という。)の代表者との間で、フィリピン共和国(以下「被供与国」という。)の安全保障上の能力及び抑止力の向上を目的として行われる日本国の協力に関して最近行われた討議に言及するとともに、日本国政府に代わって次の了解を提案する光栄を有します。
1 日本国政府は、法の支配に基づく平和、安定及び安全の確保、人道目的の活動又は国際平和協力活動を目的とした被供与国政府による安全保障上の能力強化に係る計画(以下「計画」という。)の実施に寄与することを目的として、被供与国政府に対し、日本国の関係法令及び予算に従って、十六億円(一、六〇〇、〇〇〇、〇〇〇円)の贈与(以下「贈与」という。)を行う。計画は、情報収集、警戒監視、偵察、輸送、法執行、人道的援助、災害救助若しくは国際平和協力のために、又は計画の範囲内において両政府が決定する他の適当な目的のために実施される。計画は、両政府の関係当局間で作成され、及び必要に応じ修正される文書で定める。
2⑴ 贈与及びその利子は、被供与国政府により、適正に、かつ、専ら計画の実施に必要な生産物又は役務であって両政府の関係当局間で相互に合意する表に掲げるもの(以下それぞれ「生産物」及び「役務」という。)を購入するため、及び計画の実施に必要な手数料を支払うために使用される。ただし、生産物は、調達適格国において生産されるものとし、役務は、調達適格国の国民によって提供されるものとする。
⑵ ⑴に規定する表は、両政府の関係当局間の合意により修正されることがある。
⑶ ⑴に規定する調達適格国の範囲は、両政府の関係当局間で別途の文書により合意される。
3⑴ 被供与国政府は、この了解の効力の生ずる日の後二箇月以内に日本国にある銀行に被供与国政府の名義で円普通預金勘定(以下「勘定」という。)を開設し、かつ、勘定を開設した日の後十四日以内に日本国政府に対し勘定を開設するための手続を完了した旨を書面により通告する。
⑵ 勘定の目的は、4に規定する日本国政府が払い込む日本円を受領すること、生産物又は役務の購入に必要な支払を行うこと及び両政府の関係当局間で別途の文書により合意されることがあるその他の支払を行うことに限られる。
4 日本国政府は、3⑴に規定する書面による通告の受領の日から二千二十五年三月三十一日までの期間に、1に規定する金額を勘定に日本円で払い込むことにより贈与を実施する。当該期間は、日本国政府の関係当局の決定により延長することができる。
5⑴ 被供与国政府は、次のことのために必要な措置をとる。
⒜ 生産物又は役務の購入及び2⑴に規定する手数料の支払をいつでも行うことができるよう、両政府の関係当局間の相互の同意により延長されない限り、贈与が実施された日の後十二箇月以内に贈与及びその利子が勘定から完全に払い出されることを確保すること並びに計画の完了後に残額を日本国政府に払い戻すこと。
⒝ 生産物又は役務の購入に関して被供与国において課される関税、内国税その他財政課徴金が、贈与及びその利子を利用することなく被供与国政府の指定する当局によって負担されることを確保すること。
⒞ 贈与及びその利子の使用に当たり、環境及び社会に妥当な考慮を払うこと。
⒟ 贈与及びその利子が生産物若しくは役務の購入及び2⑴に規定する手数料の支払に完全に使用された場合又は日本国政府から要請があった場合には、勘定に関する取引について、日本国政府に対し、関連する取引についての契約書、証書類その他の文書の写しを添付の上、日本国政府が受け入れることができる形式の書面による報告を遅滞なく行うこと。
⒠ 日本国と被供与国との間の多年にわたる友好関係の促進及び強化を考慮しつつ、生産物又は役務が、被供与国政府により、専ら計画の実施を目的とする活動のために適正かつ効果的に、並びに国際連合憲章の目的及び原則に適合する方法で、維持され、及び使用されることを確保すること。
⒡ 日本国政府の書面による事前の同意を得ないで、生産物又は役務が被供与国政府以外の者に移転されないようにすること。
⒢ ⒡の規定を適用するほか、日本国政府の事前の同意を得ないで、生産物又は役務が両政府の関係当局間で決定される者以外の被供与国政府に属する者に移転されないようにすること。
⒣ 計画の実施に必要な土地を確保し、及び用地の整地を行うこと。
⒤ 計画の実施に必要な配電、給水、排水その他の付随的な諸施設を提供すること。
⒥ 被供与国における生産物の速やかな積卸し、通関及び国内輸送を確保すること。
⒦ 被供与国において計画の実施に従事する者の安全を確保すること。
⒧ 生産物又は役務の供給に関連してその役務が必要とされる日本国又は第三国の自然人に対し、その作業の遂行のため被供与国への入国及び被供与国における滞在に必要な便宜を与えること。
⒨ 計画の実施に必要な全ての経費(贈与及びその利子によって負担されるものを除く。)を負担すること。
⒩ 計画の完了後、日本国政府に対して計画に関する最終報告書を提出すること。
⒪ 生産物又は役務に関する秘密情報を適切に保護すること。
⑵ 被供与国政府は、日本国政府に対し、贈与及びその利子並びに生産物又は役務に関する必要な情報を提供する。
⑶ 被供与国政府は、生産物の海上輸送及び海上保険に関し、海運会社及び海上保険会社の間の公正かつ自由な競争を妨げることがあるいかなる制限を課することも差し控える。
⑷ 被供与国政府は、日本国政府が行う生産物又は役務の状況(生産物又は役務が⑴⒠の規定に従って使用されているかどうかを含む。)を確認するためのモニタリング及び計画に関する情報の開示のために協力し、及び必要な措置(生産物又は役務に関する必要な情報の提供及び現場への立入りの許可を含む。)をとる。
6 この了解は、両政府の関係当局間の協議により合意される手続細目に従って実施される。
7 被供与国政府は、この了解に適合しない行為を禁止し、及び防止するために必要な措置をとるものとし、そのような行為が発見された場合には、適当な期間内に是正措置をとる。
8 両政府は、この了解から又はこの了解に関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
本使は、更に、この書簡及び被供与国政府に代わって前記の了解を確認される閣下の返簡が両政府間の合意を構成し、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
二千二十四年十二月五日にマニラで
フィリピン共和国駐在
日本国特命全権大使 遠藤和也
フィリピン共和国
外務大臣 エンリケ・A・マナロ閣下
(フィリピン共和国側書簡)
(訳文)
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本大臣は、更に、フィリピン共和国政府に代わって前記の了解を確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成し、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることに同意する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。
二千二十四年十二月五日にマニラで
フィリピン共和国
外務大臣 エンリケ・A・マナロ
フィリピン共和国駐在
日本国特命全権大使 遠藤和也閣下