その他令和8年3月19日
アレフに対する観察処分更新決定に関する理由書(抜粋)
掲載日
令和8年3月19日
号種
号外
原文ページ
p.6 - p.8
号外p.6-p.8
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出典・注意
官報発行サイト(内閣府)の掲載情報をもとに整理しています。重要な確認は公式原文を基準にしてください。
抽出要点
無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分
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イ ⒸからⓂまでの各収益事業に係る資産の不報告
被請求団体は、第80回報告書までは、「出家会員が会員を対象として営む事業体」として、
ⒸからⓂまでの各収益事業(これらの前身を含む。)を記載するなどした上で、「6 団体の資
産及び負債、「⑶その他」、「⑪現金 出家会員が会員を対象として営む事業体の所有する現金
の現在額は以下のとおりである。」などとして、現金額を記載するとともに、「⑫預貯金 出家
会員が会員を対象として営む事業体の所有する預貯金は以下のとおりである。」などとして、
複数の預貯金口座について預貯金の種類等を記載していたが、本件各報告書にはこれらを記
載していない。
しかし、前記⑸イ記載のとおり、被請求団体は、本件報告対象期間中も継続して、Ⓒから
Ⓜまでの各収益事業を営んでいたと認められる以上、ⒸからⓂまでの各収益事業に係る資産
は、被請求団体が実質的に管理・利用できるものであるから、被請求団体の資産として要報
告事項に該当すると認められる(このことは、被請求団体自身が、第80回報告書まで、継続
的に各収益事業に係る現預貯金を報告し続けており、かつ、証拠上、第80回報告書提出後、
各収益事業に係る資産の管理状況等に変化が生じたというような事情がうかがわれないこと
からも、裏付けられている。)。
そして、被請求団体の活動の用に供されている各施設に対する立入検査において確認され
たⒸからⓂまで及び㉖から㉘までの各収益事業に係る出納記録並びに㉙の預金口座によれ
ば、これら各収益事業名義の資産総額が令和7年4月末時点で少なくとも約5億6000万円、
令和7年7月末時点で少なくとも約5億2700万円であったことなどの事実関係に照らせば、
本件報告対象期間中、ⒸからⓂまでの各収益事業に係る資産が皆無であったなどとは考えら
れず、ⒸからⓂまでの各収益事業に係る現金及び預貯金等の資産が存在していたことは明ら
かといえる。
したがって、被請求団体は、報告すべきⒸからⓂまでの各収益事業に係る資産について報
告しなかったと認められる。
(7) 小括
以上のとおり、被請求団体は、本件各報告において、①役職員及び構成員である松本の二男
及び松本の妻の氏名、住所及び役職名、②20歳未満の構成員の氏名及び住所、③一部在家構成
員の氏名及び住所並びに④出家構成員の位階を報告せず(前記⑵及び⑶)、⑤新越谷施設、⑥
水口施設、⑦甲賀信楽施設及び⑧北越谷施設の一部の所在、地積(規模)及び用途を報告せず
(前記⑷)、⑨ⒸからⓂまでの各収益事業の種類及び概要等、⑩本件10口座に係る預貯金の種
類等並びに⑪ⒸからⓂまでの各収益事業に係る資産を報告しなかった(前記⑸及び⑹)と認め
られる(以下、これらの不報告を「本件一部不報告」と総称する。)。
3 被請求団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められ
ること
(1) 法第8条第1項柱書き後段は、観察処分を受けている団体について、法第5条第3項の規定
による報告がされなかったなどの場合であって、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把
握することが困難であると認められるときに、無差別大量殺人行為の再発を防止するため、当
該団体の一定の活動を一時的に停止させる処分を行うことができることとしたものと解され
る。
そして、前記の「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難である」と
は、観察処分を受けている団体について、無差別大量殺人行為という観点から見た場合におけ
る危険な要素(人的要素、物的要素、資金的要素)の質的・量的程度を把握することが困難で
あることをいうものと解される(以下、「無差別大量殺人行為という観点から見た場合における
危険な要素」を単に「危険な要素」という。)。その上で、危険な要素の質的・量的程度の把握が困難になっているか否かは、⑦不報告部分
の具体的内容のほか、①不報告の程度(期間の長短、範囲の広狭など)、⑦「報告書」の他の
記載事項や過去の「報告書」の記載事項に基づく把握可能性の有無、④任意調査及び立入検査
による把握の可能性・容易性・迅速性などの事情を総合考慮して判断すべきと解される。
(2) ⑦不報告部分の具体的内容について
ア 法は、人的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握のため、団体の役職員の氏名、
住所及び役職名並びに構成員の氏名及び住所の報告を義務付け(法第5条第2項第1号及び
第3項第1号)、物的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握のため、団体の活動の
用に供されている土地又は建物の所在、地積(規模)及び用途の報告を義務付け(同条第2
項第2号及び第3号並びに第3項第2号及び第3号)、資金的要素に係る危険な要素の質的・
量的程度の把握のため、団体の資産及び負債の報告を義務付けた(同条第2項第4号及び第
3項第4号)ものと解される。
また、当委員会は、第8回期間更新決定において、同条第3項第6号に基づき、本件観察
処分対象団体について、人的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握のため、出家構
成員の位階の報告を義務付け、資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握のため、
本件観察処分対象団体の営む収益事業の種類及び概要等の報告を義務付けたものである。
そして、以下のとおり、本件一部不報告の具体的内容は、危険な要素(人的要素、物的要
素、資金的要素)の質的・量的程度の把握を困難にするものと認められる。
イ すなわち、人的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するには、団体の財産的基
盤を支え、かつ、団体の活動の主体となる役職員及び構成員の全容を把握することが重要で
ある。とりわけ、当該団体の役職員及び構成員の中に無差別大量殺人行為に関連する属性を
有している者がいる場合には無差別大量殺人行為に及ぶ危険に直結するから、そのような者
がいるかどうかを把握する必要性が大きい。そして、そのためには、当該団体の全役職員及
び全構成員を特定する必要があるが、役職員及び構成員である松本の二男及び松本の妻の氏
名、住所及び役職名並びに20歳未満の構成員及び一部在家構成員の氏名及び住所の不報告に
より、全役職員及び全構成員を特定することができず、役職員及び構成員の全容を把握する
ことができない。
とりわけ、松本は、無差別大量殺人行為である、いわゆる「松本サリン事件」及び「地下
鉄サリン事件」の首謀者であり、被請求団体においては、松本を教祖・創始者とするオウム
真理教の教義を広め、これを実現することを目的に、「尊師」である同人を頂点とした上命下
服の位階制度を組織運営の根本として保持しており、松本の息子である松本の二男及び松本
の配偶者であった松本の妻が被請求団体に所属しているのかどうか、被請求団体においてい
かなる地位や役割にあるのかといった活動実態を把握することは、被請求団体が無差別大量
殺人行為に及ぶ危険性を把握するに当たり、極めて重要である。そして、少なくとも松本の
二男が新越谷施設を拠点として被請求団体において活動を始めたと認めることができる平成
26年頃以降、松本の二男及び松本の妻が被請求団体に役職員及び構成員として所属していた
ことや、松本の二男が、その幹部構成員等に自らの意向を伝達し、合同会議を通じて当該意
向に沿った決定が行われていたことといった活動実態があった。それにもかかわらず、役職
員及び構成員である松本の二男及び松本の妻の氏名、住所及び役職名の不報告により、約11
年の長期間にわたり、このような活動実態が明らかにならなかった。そして、令和7年9月
決定の理由中において、松本の二男及び松本の妻が、いずれも被請求団体の役職員であり構
成員であると認定されたにもかかわらず、本件各報告において、不報告が続いている。
また、20歳未満の構成員及び一部の在家構成員についても、未特定の構成員の中に、無差
別大量殺人行為に関連する属性を有している者が存在するのか否かを把握することが困難に
なっている。
さらに、被請求団体は、前記のとおり、位階制度による上命下服の組織体制を有している
と認められるため、人的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには、全出
家構成員の位階を特定してその構成を把握した上で、被請求団体の組織としての方向性を決
定付け得る位階上位者がどの程度存在し、更にその中に、無差別大量殺人行為に関連する属
性を有している者がどの程度存在するのかなどを把握する必要があるが、出家構成員の位階
の不報告により、かかる把握が困難になっている。
ウ 次に、物的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには、当該団体の活動の用に供されている土地及び建物について、それらが例えば武器等の保管や製造に用いられるなど、無差別大量殺人行為に関連する用途に使われ、使われようとしている状況がないかどうか等を把握する必要があるが、新越谷施設、水口施設、甲賀信楽施設及び北越谷施設の一部の所在、地積(規模)及び用途の不報告により、かかる把握が困難になっている。
中でも、松本の二男及び松本の妻は、新越谷施設に滞在し、同所を拠点として、前記2(2)ア及びイのとおり、平成26年頃から令和7年4月までの間に、相応の頻度で、被請求団体の幹部構成員等との間で、被請求団体の運営に関する会合を開催し意向を伝達したり発言をしたりしていたのであるから、この中で無差別大量殺人行為に関する謀議がなされていないか等を把握する必要があったにもかかわらず、新越谷施設の所在、地積(規模)及び用途の不報告により、約12年の長期間にわたり、その実態が明らかとなることがなかった。
エ さらに、資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握するためには、例えば武器の購入代金や毒物製造施設の建設等、無差別大量殺人行為に関連を有する事項に投資可能な現金や預貯金の総額を把握する必要があるほか、武器購入等の取引などに使用可能な預貯金口座の有無・口数を把握する必要がある。
また、被請求団体においては、複数の法人等を用いて収益事業を行うことで資産を形成している実態があるため、被請求団体がこれらの収益事業を利用して無差別大量殺人行為に関連する活動を行っていないかどうかといった点や、これらの収益事業に係る資産から無差別大量殺人行為に関連を有する事項にどの程度の資金を投入することが可能かといった点などを把握する観点から、これら収益事業の事業内容や資産状況等を把握する必要がある。
ところが、被請求団体が本件10口座に係る預貯金の種類等を報告せず、また、①から④までの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産の不報告により、これらの把握が困難になっている。
オ このように、本件一部不報告の具体的内容は、人的要素、物的要素及び資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握を困難にするものである。
(3) ①不報告の程度(期間の長短、範囲の広狭など)について
ア 本件一部不報告は、その期間だけでも約6か月間という長期間に及び、中でも、被請求団体は、新越谷施設については、松本の二男及び松本の妻が同所を拠点とするようになった平成26年頃以降、本件処分請求までの間、約12年間にわたって、一度も報告をしていなかった。
また、水口施設及び甲賀信楽施設については、これらの施設を住所とする出家構成員を継続的に有していながら、前者については平成20年11月15日付け第36回「報告書」以降、後者については平成28年5月14日付け第66回「報告書」以降、本件一部不報告に至るまで不報告を続けていた。
さらに、①から④までの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産について見ると、実際には従前と同様、これらの収益事業を営み、これらに係る資産を有していたと認められるにもかかわらず、令和2年2月15日付け第81回「報告書」(以下「第81回報告書」という。)以降、不報告を続けるなどしていたものであり、その不報告の期間は長期にわたっている。
イ さらに、被請求団体が提出した平成28年11月13日付け第68回「報告書」によれば、同年10月末時点では、被請求団体の全資産に占める収益事業に係る資産の割合が約13パーセント、それ以外の資産の割合が約87パーセントであったものが、被請求団体が8月報告書に「人格のない社団Alephの構成員全員の総有に属する資産及び負債」として記載した金額及び各施設に対する立入検査等により確認された収益事業に係る資産を前提とすれば、令和7年7月末時点では、①から④までの各収益事業も含めた被請求団体の全資産に占める収益事業に係る資産の割合が約88パーセント、それ以外の資産の割合が約12パーセントとなっていることが認められる。これらの事情に照らせば、①から④までの各収益事業に係る資産は被請求団体全体の資産のうち主要部分を占めるものと考えられる。
したがって、①から④までの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産の不報告は、被請求団体の有する資産量や資産形成過程の主要部分を明らかにしないものであって、被請求団体の資金的要素に係る不報告の範囲は非常に広いといえ、また、被請求団体による不報告が長期にわたっていることも相まって、被請求団体の資産の全体像や被請求団体内部の資金の動きについての把握が困難になっているということができる。
(4) ②「報告書」の他の記載事項や過去の「報告書」の記載事項に基づく把握可能性の有無について
本件一部不報告に係る要報告事項については、基本的に本件各報告書の他の記載事項や過去の「報告書」の記載事項に基づきこれを把握することは困難と考えられる。特に収益事業に関する事項については、前記2(5)イ(ウ)記載のとおり、各収益事業の本店所在地は本件各報告書の他の記載事項から把握可能であるものの、それ以外の収益事業の種類及び概要等を他の記載事項から把握することは困難であるし、収益事業について被請求団体から最後に「報告書」の提出があったのは、令和元年11月であり、現在までに相当長期間のブランクが生じていることからすれば、過去の「報告書」の記載事項から、現在の各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産を把握し、現在の資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を推し量ることも困難である。
以上のとおり、特に各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産を中心に要報告事項を「報告書」の記載事項等から把握することが困難である。
(5) ①任意調査及び立入検査による把握の可能性・容易性・迅速性について
ア 観察処分に付された団体の活動状況を明らかにするための方策としては、「報告書」による把握のほか、いわゆる任意調査(法第7条第1項)及び立入検査(同条第2項)がある。
もっとも、法は、本来、当該団体から法第5条第2項又は第3項の規定による報告がされ、その報告の内容により要報告事項を容易かつ迅速に把握することができることを前提にした上で、同報告により示される当該団体の活動状況を基に、その裏付けをとったり、これを端緒として更にその活動状況を明らかにしたりするための方策として、任意調査及び立入検査の規定を置いていると解される。そうである以上、法の定める報告がされないために、本来は同報告によって容易かつ迅速に把握できるはずの要報告事項を把握できないという状態それ自体が、基本的に、法第8条第1項柱書き後段の規定する「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難」な状態に当たるというべきである。
この点、被請求団体においては、構成員に対し、任意調査の拒否や立入検査における非協力的態度を奨励、指導している状況が見受けられる上、実際の立入検査においても、立ち会った構成員が公安調査官の質問に答えないなどの非協力的態度を取る事案が複数の施設において発生している。また、各施設に設置されたパソコン内にファイル消去ソフトウェアがインストールされていたことにより、パソコン内データの確認が十分に行えない事案も発生している。さらに、被請求団体においては、構成員に対して立入検査時に物件を隠匿するよう指示する書面が確認され、過去には実際に検査忌避(法第39条)事件が発生するなど、任意調査及び立入検査に対する被請求団体の非協力的態度は明らかといえる。
このような被請求団体の非協力的態度からすれば、被請求団体があえて不報告としている事項について、任意調査や立入検査に協力するなどということは考え難く、これらによって、危険な要素の質的・量的程度の把握に必要有益な情報を迅速に入手することは困難といわざるを得ない。
イ さらに、本件一部不報告に係る要報告事項を具体的に見ても、以下のとおり、任意調査及び立入検査による把握は困難である。
(ア) 役職員及び構成員である松本の二男及び松本の妻の住所及び役職名、20歳未満の構成員及び一部在家構成員の氏名及び住所並びに出家構成員の位階を任意調査により把握するためには、被請求団体の構成員や出家構成員の位階をある程度網羅的に把握している人物らを特定し、当該人物らと面談して情報を入手する方法や、被請求団体の活動の用に供されている各施設への人の出入りを継続的に確認するとともにこれらの者に面談を行い、その人定や被請求団体における立場等を確認する方法が考えられるが、前者については、そもそもそのような人物を特定することが容易でないと考えられるし、松本の二男及び松本の妻は、被請求団体における活動が一部の幹部構成員等とのオンラインの方法による会議等にとどまるなど、被請求団体内部においても、その存在を秘匿し続けていたのであって、なおさら、両名の存在等を把握している人物を特定することは困難である。
そして、後者についても、長時間にわたり、膨大な人手を要する方法であって、これにより20歳未満の構成員等を継続的に把握することが現実的でないことは明らかである。
また、役職員及び構成員である松本の二男及び松本の妻の住所及び役職名、20歳未満の構成員及び一部在家構成員の氏名及び住所並びに出家構成員の位階を入立検査により把握するためには、これらが記載された名簿類を確認する方法等が考えられるが、そのような名簿類がどこにどのような形で保管されているのかを把握できていなければ、そもそも発見すること自体容易ではないと考えられる上、これまでの立入検査で発見できた名簿類も、前記2(2)ウ記載の名簿データのほかは、未記入のものや、イニシャル等のみが記入されたものであって、直ちに個人の特定につながらないものにとどまっており、結局、立入検査による把握の方法も困難である。
(イ) 次に、新越谷施設、水口施設、甲賀信楽施設及び北越谷施設の一部について、その所在、地積(規模)及び用途を任意調査及び立入検査により把握する方法としては、実際にこれらの施設への立入検査を実施し、その現況を確認することが最も簡便かつ効果的ではある。
しかし、被請求団体が各施設の用途を変更することは容易であり、現にそれがされてきた事実が認められ、今後も、被請求団体が短期間のうちに用途変更を実行することが十分に考えられる。そのため、報告されていない施設の用途変更について、これを立入検査によって逐次把握することは容易ではない。
(ロ) また、資金的要素に関しては、本件10口座については、その預貯金の情報が判明済みであるから、金融機関への照会によりその預貯金の種類等を把握することは必ずしも困難ではないと考えられるが、以下のとおり、①から⑦までの各収益事業の種類及び概要等やこれらに係る資産を把握することは困難である。
すなわち、収益事業に関しては、商業登記関係書類を入手することで登記事項を確認することはできても、それだけではその実態把握には不十分である。
しかも、これまでに立入検査を実施しても収益事業に係る出納記録が発見できないこともあったと認められる上、発見できた出納記録上の現金残高と実際に確認された現金額が合致しないという事態も発生していることなどからすれば、立入検査により、収益事業に係る保有現金を網羅的に確認することや、資産状況などを正確に反映した帳簿関係書類等を確認することは困難である。
また、任意調査として、各収益事業の代表者や経理担当者等を特定の上、面談を実施し、各収益事業の事業内容や収支状況等についての供述を得るという方法も考えられるが、前記アのとおり、ただでさえ任意調査等に対し、被請求団体が非協力的態度を示している状況の下、被請求団体が本件各報告においてその一切を報告していない収益事業に関する事項について、各収益事業の代表者等の地位にある者が、実態に即した正確な供述をするということは想定し難い。
ウ 以上、検討したように、本件一部不報告に係る要報告事項について、これらを任意調査及び立入検査により把握することは困難であると認められる。
(6) 立入検査で確認された各収益事業の概要等が記載された書面による危険な要素の質的・量的程度の把握の困難性解消の有無について
被請求団体は、本件各報告書の「5 当該期間中における人格のない社団Alephの活動に関する事項」の「[1] 人格のない社団Alephがした人格のない社団Alephの活動に関する意思決定の内容」に「追記して任意に報告する。」などとして、「公安調査庁が人格のない社団Alephと一体であると見なしていると思料される、人格のない社団Alephの取引先の法人等のうちVBシステムを除く8事業者」においては、「①当該事業者に係る「事業の種類及び概要、事業所の名称及びその所在地、当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所」②当該事業者に係る「現金の現在額」、「預貯金の種類、金融機関名、残高及び口座名義人の氏名又は名称」及び「貸付金」等」を記載した文書を作成し、「当该文書を公安調査官の調査に供する用意を継続していることを確認した。」などと記載している。
そして、令和7年10月から同年12月までの間に実施された各施設に対する立入検査において、一、二、四、五、六、七及び八の本件報告対象期間を含む各収益事業の概要等が記載された書面(以下「本件収益事業書面」という。)が一部確認されている。
もっとも、法が予定している観察処分の枠組みは、報告内容に虚偽があれば再発防止処分となり得るという制度的担保の下、3か月ごとに、容易かつ迅速に要報告事項を把握することができることを前提として、任意調査等でそれを確認するというものであり、本件収益事業書面は、そもそも、一から八の各収益事業の一部についてのみ確認されている上に、被請求団体の責任において報告されたものではなく、表題や体裁、記載項目が不均一であり、内容の正確性についても前記のような制度的担保なくされたものにすぎないといえる。また、被請求団体は、第81回報告書以降、本件各報告書を含め、一から八までの各収益事業の種類及び概要等並びに同収益事業に係る資産を報告しておらず、これによって、これら要報告事項について、3か月ごとの容易かつ迅速な把握及びそれを前提とした任意調査等による確認ができず、危険な要素の質的・量的程度について正確な把握ができなかったと認められ、このことは、本件収益事業書面が確認されたことによってでも解消されるものではない。
以上によれば、本件収益事業書面が確認されたことをもって、危険な要素の質的・量的程度の把握の困難性が解消されたとは認められない。
(7) 小括
以上のとおり、⑦本件一部不報告の具体的内容は、人的要素、物的要素及び資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度の把握を困難にするものであることに加え、⑦本件一部不報告は、長期間あるいは広範囲にわたるものであってその程度が重いこと、⑨特に収益事業に関する事項を中心として要報告事項を「報告書」の他の記載事項等から把握することが困難であること、⑩要報告事項について任意調査及び立入検査により把握することは困難であることなどの事情を総合考慮すれば、被請求団体について、人的要素、物的要素及び資金的要素に係る危険な要素の質的・量的程度を把握することが困難になっているといえるから、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められる。
4 証拠
以上の認定は、別添3「証拠書類等一覧表(公安調査庁提出)」記載の証拠書類等に基づき行った。
第5 被請求団体に対する再発防止処分
1 前記第4のとおり、法第5条第4項の処分(期間を更新された観察処分)を受けている団体である被請求団体について、同条第5項において準用する同条第3項の規定による報告がされず、かつ、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められるから、法第8条第1項柱書き後段の規定により、当委員会は、被請求団体に対し、6月を超えない期間を定めて、同条第2項に掲げる処分の全部又は一部を行うことができる。
2 当委員会は、法の目的を達成するために必要な最小限度の規制措置として(法第3条第1項参照)、被請求団体に対し、①6月間、別紙物件目録記載1から15までの土地、建物の使用を禁止する処分(法第8条第2項第2号)と、②6月間、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止する処分(同項第5号)を行うこととした。
(1) 被請求団体に対する従前の再発防止処分について
当委員会は、いずれも、公安調査庁長官から被請求団体に対する再発防止処分をするよう求める旨の請求を受け、令和5年3月13日、同年9月4日、令和6年3月11日、同年9月2日及び令和7年3月10日、法第8条第1項柱書き後段の規定に基づき、それぞれ、被請求団体に対し、6月間、その所有又は管理する土地、建物の使用を禁止し、金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止する旨を決定し(以下、令和5年3月13日の決定を「令和5年3月決定」、同年9月4日の決定を「令和5年9月決定」、令和6年3月11日の決定を「令和6年3月決定」、同年9月2日の決定を「令和6年9月決定」、令和7年3月10日の決定を「令和7年3月決定」という。)。さらに、同旨の決定である令和7年9月決定をした。令和5年3月決定は、令和5年3月20日に官報で公示され、その効力を生じ、令和5年9月決定は、同年9月19日に官報で公示され、その効力を生じ、令和6年3月決定は、令和6年3月19日に官報で公示され、その効力を生じ、令和6年9月決定は、同年9月18日に官報で公示され、その効力を生じ、令和7年3月決定は、令和7年3月19日に官報で公示され、その効力を生じ、令和7年9月決定は、同年9月18日に官報で公示され、その効力を生じた。
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