その他令和7年7月1日

民間企業の採用戦略と公務職場の提供価値に関する分析

号外p.58

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民間企業の採用戦略と公務職場の提供価値に関する分析

令和7年7月1日|p.58

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5年7月1日1日(1日(
(2) 伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事株式会社では、企業の成長と社員の成長を前提として、「厳しくとも働きがいのあ
る会社」を目指すことを人材戦略の柱として打ち出している。働き方改革を積極的に進めてい
るが、 それにより企業としての成長が妨げられるものであってはならず、 成長と働き方改革の
取組は両方が進むことでより魅力的なものとなると考えている。
同社では、同業他社との比較で社員数が少なく、社員一人一人が持つ裁量が大きいため、社
員の能力開発と主体的キャリア形成支援を積極的に行っており、人材育成のきめ細やかさも同
社のアピールポイントとなっている。
また、 退職者には必ず個別面談を実施して退職の背景・理由を分析し、 選ばれる会社となる
ための方策を考えるためのヒントとしている。
(3) A社 (商社)
A社は、グローバルなフィールドで、スケールが大きく、社会貢献性が高いビジネスに携わ
れることを価値として提供している。
また、学生は若いうちから成長の機会があることを期待するため、同社では業務を通じて成
長できる機会が多くあることも大きな魅力としている。採用広報活動では、入社10年目程度ま
での社員がどのようなキャリアを歩み、 スキルや知識を身に付けて成長してきたのか、 携わっ
た仕事がどのような社会貢献につながってきたのかという社員自身の実体験を発信している。
(4)アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社は、現状、採用市場において「働きやすい」、「人間関係
が良好」 これだけでは同社の定める 「Vision202020202020303
の実現に必要な人材を惹きつけるには不十分だと捉え、労働市場とのコミュニケーションにお
いて提示する自社に来る理由を「社会的責任への高い意識」、「チャレンジングな業務」、「キャリ
ア形成に資する経験価値」の3点と再定義し、コミュニケーションを実施している。
さらに、持続的な価値創造を実現する「価値創出経営」を掲げ、この考え方に共感し、社会
を変革する人材を迎えるべく、 自社のエンプロイヤー・ブランディング (前記コラム2参照)
を実施している。
(5)EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、パーパス(企業が存在する目的)
に基づく採用、発信に力を入れており、求職者に対して、業務を通じた社会貢献性の高さを提
供価値としてアピールしている。 同業他社も社会貢献性を自社の魅力として発信しているが、
同社は従前から長期にわたり事業として社会貢献に取り組んでいることを独自の価値として捉
えている。 パーパーパス実現に向けて、社員に能力を発揮してもらうため、働きやすいオフィ
ス環境を整備している。同社が求めるような、長い目で見て社会に貢献できる人材を獲得する
ため、 短期的に人気が出るような取組ではなく、 会社の軸であるパーパスをぶれずに発信する
ことに取り組んでいる。 パーパス実現のために
制度が利用できることを発信している。
同社は、求職者はスキルを身に向けて成長することより、より良い社会の構築に向けて自身
の実現したいことが達成できることを重視して企業を選んでいると考えている。 したがって、
同社では業務で身に付くスキルだけを殊更に発信するような取組はしていない。
第3節公務職場の提供価値として打ち出すべきもの
前記第1節及び第2節では、公務のブランディングの枠組みに基づき、公務内外のターゲットとな
る人材が期待する価値及び競合する民間企業等が提供する価値を見てきた。
本節においては、公務職場の提供価値を整理した上で、公務のプランディングにおいて魅力として
打ち出すべきものを特定していく。
公務職場が提供できる価値の整理の仕方は様々あり得るが、ここでは公務内外のターゲットとなる
人材が期待する価値等を踏まえ、「社会への貢献に関する価値」、「職員の成長に関する価値」、「働く環境
や経済的利益に関する価値」の三つに分類して整理することとする。
このうち、「社会への貢献に関する価値」については、前記第1節2で示したとおり、国家公務員採
用総合職試験等からの新規採用職員が国家公務員になろうとした主な理由として挙げる「公共のため
に仕事ができる」、「仕事にやりがいがある」、「スケールの大きい仕事ができる」に関わるものである。
仕事を通じた社会への貢献については、特に昨今の持続可能な開発目標(SDGs)への取組やパーパ
ス経営の潮流もあり、競合する民間企業等でも価値として打ち出しているものではあるが、国家公務
員の場合、「国」の視点から社会・国民生活の向上に貢献できるという点で、競合相手と差別化できる
唯一無二の価値として、魅力の中核となり得るものと言える。
一方で、「職員の成長に関する価値」及び「働く環境や経済的利益に関する価値」については、人的
資本経営や健康経営の観点とも相まって、競合する民間企業等もそれぞれ力を入れて提供している価
値であり、より直接的に公務と比較される部分となる。したがって、積極的に魅力として打ち出せる
ものはより強化していくとともに、ネガティブなイメージを持たれている場合はそれを払拭する取組
が必要となる。
1公務職場の唯一無二の中核的価値
(1)社会への貢献に関する価値
公務職場の提供価値のうち、「社会への貢献に関する価値は、競合相手と差別化できる国家公
務員の魅力の中核であり、国家公務員として働くやりがいとして、『なぜ私はここで働くべきなの
か」という求職者からの問いへの答えとなるものである。
ただし、前記第2節で紹介した企業のヒアリング結果にもあるように、近年は民間企業におい
ても,事業活動を通じて社会課題の解決に積極的に貢献することを価値として打ち出している。
これにより、公務と明確に差別化しにくくなってきており、特に若年層からの国家公務員のイメー
ジにおいて「やりがい」がポジティブに評価されない原因の一つともなっていると言える。
そこで「社会への貢献に関する価値」を打ち出すに当たっては、競合する民間企業等と比べて
どのような点で差別化でき、国家公務員が唯一無二であると言えるのか、分かりやすい切り口で
整理して示していく必要がある。
今回、民間企業の人事担当者や、国家公務員と民間企業の双方の勤務経験を有する者などへの
ヒアリングを通じ、国家公務員の仕事の唯一無二性について、次のような視点を得ることができ
た.
〈国家公務員の仕事の唯一無二性に関する視点の例〉
○国のために、国家レベルで国際的に仕事ができる。
◦高い視座、広い視野で、社会のこと、社会の反応を考えながら施策を検討できる。
○物事を語るときの主語が「国」となり、俯瞰的な視座で仕事ができる。
○公共目的を達成するために正面から社会課題解決に取り組める。
○将来の日本の在るべき姿を多面的に考えて実現するための検討・思考を続けられる。
○政府の立場でしか扱えない法令、予算、税制等を通じて社会にインパクトを与えられる。
○法令や政策の立案を通じて社会をリードし、国を変えることは、国家公務員しかできない。
○特に海外における国際交渉等では、日本政府の一員になることで信頼が得られ、その経験
が自身の財産になる。
また、人事院が作成している「国家公務員試験ガイド2025]においては、各府省の若手職員
が挙げる国家公務員の魅力として、
○日々の仕事が我が国のあるべき姿の実現につながっていくこと。
○広い視点と大きな責任をもって業務に取り組むことができること。
○この国の未来を憂うのではなく、自分の手で変えられること。
○唯一無二の社会的インパクトの大きさ。
○実施した事業が全国に行き渡るその規模の大きさ。
といった点が挙げられている(図2-7、図2-8)。
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民間企業の採用戦略と公務職場の提供価値に関する分析 - 第58頁
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