二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約をここに公布する。
御名御璽
条約
令和七年五月二十一日
内閣総理大臣石破茂
条約第二号
二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約
この条約の締約国は、
船舶の再資源化産業における安全、健康、環境及び福祉に対する関心の高まりに留意し、
船舶の再資源化が持続可能な開発に貢献すること及び再資源化自体が運航上の耐用年数の期間を満
了した船舶にとっての最良の選択肢であることを認め、
国際海事機関の総会において採択された決議A九六二(船舶の再資源化に関する指針)、決議A
九八〇 によって採択された同指針の改正、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関
するバーゼル条約の締約国会議第六回会合における決定第二十四号 (第六回会合)(船舶の全部又は一
部の解体の環境上適正な管理のための技術上の指針を採択したもの)及び国際労働機関の理事会の第
二百八十九回会期において承認された指針 (船舶の解体における安全及び健康に関するアジア諸国及
びトルコのための指針)を想起し、
国際海事機関の総会が、同機関の海洋環境保護委員会に対し、船舶の再資源化に関する法的拘束力
のある文書を作成するよう要請した決議A九八一3を想起し、
船舶の再資源化に携わる労働者の職業上の安全及び健康の保護における国際労働機関の役割に留意
し、
有害廃棄物から生ずることがある悪影響からの人の健康及び環境の保護における有害廃棄物の国境
を越える移動及びその処分の規制に関するパーゼル条約の役割に留意し
環境及び開発に関するリオ宣言の原則I及び千九百九十五年九月十五日に国際海事機関の海洋環境
保護委員会にお(1て採択された決議MEPC六七 に規定する予防的な取組方法に留意し、
船舶の建造及び維持において、船舶の安全、船員の安全及び健康並びに船舶の運航上の効率を損な
うことなく、有害物質を有害性の一層低い物質又は可能な場合には無害な物質により代替することを
促進する必要性に留意し、
海上輸送の特性及び運航上の耐用年数の期間を満了した船舶の円滑な退役を確保する必要性を考慮
しつつ、法的拘束力のある文書において船舶の再資源化に関連する環境、職業上の健康及び安全に対
する危険に効果的に対処することを決意し、
船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための国際条約の締結によりこれらの目的を最もよく達成
することができることを考慮して、
次のとおり協定した。
第一条 一般的義務
この条約の締約国は、 船舶の再資源化により生ずる災害、 負傷その他の人の健康及び環境に対す
る悪影響を防止し、軽減し、最小にし、及び実行可能な範囲で除去するため、並びに船舶の運航上
の耐用年数の期間を通じて船舶の安全並びに人の健康及び環境の保護を強化するため、この条約を
十分かつ完全に実施することを約束する。
2この条約のい.かなる規定も、締約国が単独で又は共同して、人の健康及び環境に対する悪影響を
防止し、軽減し、又は最小にするため、船舶の安全かつ環境上適正な再資源化について国際法に適
合する一層厳しい措置をとることを妨げるものと解してはならない。
3締約国は、この条約の効果的な実施、遵守及び執行のために協力するよう努める。
4締約国は、安全かつ環境上適正な船舶の再資源化に貢献する技術及び慣行の継続的な開発を奨励
することを約束する。
5この条約の附属書は、この条約の不可分の一部を成す。「この条約」というときは、別段の明示の
定めがない限り、附属書を含めていうものとする。
第二条定義
この条約の適用上、別段の明示の定めがない限り、
1「条約」とは、二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約をいう。
2「主管庁」とは、船舶の旗国の政府又はその権限の下で船舶が運航している国の政府をいう。
3「権限のある当局」とは、一又は二以上の政府当局であって、特定の地理的区域内又は特定の専
門知識の分野において締約国の管轄内で運営されている船舶の再資源化施設に関連する任務(この
条約に規定するもの) に責任を有する政府当局として当該締約国によって指定されたものをいう。
4「機関」とは、国際海事機関をいう。
5「事務局長」とは、機関の事務局長をいう。
6「委員会」とは、機関の海洋環境保護委員会をいう。
7「船舶」とは、海洋環境において運航している又は運航していた全ての型式の船舶(設備を取り
外された船舶及びえい航されている船舶を含む。)をいい、 潜水船、浮遊機器、浮体式プラットフォー
ム、自己昇降式プラットフォーム、浮体式貯蔵施設(FSU)及び浮体式生産貯蔵取卸施設(FP
SO) を含む。
8「総トン数」とは、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約附属書1に定めるト
ン数の測度に関する規則又はこれを承継する条約に従って計算される総トン数をいう。
9「有害物質」とは、人の健康又は環境に有害となるおそれのあるあらゆる物質をいう。
10「船舶の再資源化」というは、、有害物質その他の物質を管理しつつ、再処理及び再利用のために部品
及び物質を回収することを目的として、船舶の再資源化施設において船舶の全部又は一部を解体す
る活動をいい.、当該施設における部品及び物質の蔵置及び処理等の関連する作業を含むが、別個の
施設における当該部品及び物質の更なる加工又は処分を含まない。
1 「船舶の再資源化施設」 とは、 船舶の再資源化のために用いられる特定の区域 (敷地又は施設)
をいう。
1 「再資源化会社」とは、船舶の再資源化施設の所有者又は当該所有者以外の団体若しくは者であっ
て、当該所有者から船舶の再資源化に係る活動に関する業務についての責任を引き受け、かつ、そ
の引受けに際して、 この条約によって課される全ての義務及び責任を引き継ぐことに、同意したもの
をいう。
第三条適用
1この条約は、この条約に別段の明示の定めがない限り、次のものについて適用する。
11締約国を旗国とする船舶又は締約国の権限の下で運航している船舶
.2
1,締約国の管轄の下で運営されて11る船舶の再資源化施設
2この条約は、軍艦、軍の補助艦及び締約国が所有し、又は運航する他の船舶であって政府の非商
業的業務にのみ使用しているものについては、適用しない。もっとも、締約国は、自国が所有し、
又は運航するこれらの船舶の運航又は運航能力を阻害しないような適当な措置をとることにより、
これらの船舶が合理的かつ実行可能である限りこの条約に即して行動することを確保する。
3この条約は、総トン数五百トン未満の船舶及びその耐用年数の期間を通じて旗国の主権又は管轄
の下にある水域においてのみ運航している船舶については、適用しない。もっとも、締約国は、適
当な措置をとることにより、これらの船舶が合理的かつ実行可能である限りこの条約に即して行動
することを確保する。