告示令和6年12月16日
国土交通省告示第三百十号(公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針)
号外p.13 - p.15
号外p.13-p.15
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公告概要
公共工事設計労務単価の設定、災害時の緊急対応、ダンピング受注防止、施工時期の平準化、適正な工期設定等に関する措置
抽出された基本情報
- 発行機関
- 国土交通省
- 省庁
- 国土交通省
- 件名
- 公共工事設計労務単価の設定、災害時の緊急対応、ダンピング受注防止、施工時期の平準化、適正な工期設定等に関する措置
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国土交通省告示第三百十号(公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針)
令和6年12月16日|p.13-15
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○国土交通省告示第三百十号
公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成十七年法律第十八号)第六条第一項の規定に基づき、同条第二項に規定する基本方針を次のように定め、これを公示する。
令和六年十二月十六日
国土交通大臣 中野洋昌
公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針
公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針 目次
第1 公共工事の品質確保の促進の意義に関する事項
第2 公共工事の品質確保の促進のための施策に関する基本的な方針
1 発注関係事務の適切な実施
(1) 予定価格の適正な設定
(2) 災害時の緊急対応の充実強化
(3) ダンピング受注の防止
(4) 計画的な発注、施工の時期の平準化
(5) 適正な工期設定及び適切な設計変更
2 受注者等の責務に関する事項
3 技術的能力の審査の実施に関する事項
(1) 有資格業者名簿の作成に際しての資格審査
(2) 個別工事に際しての競争参加者の技術審査
(3) 中長期的な技術的能力の確保に関する審査等
4 多様な入札及び契約の方法
(1) 競争参加者の技術提案を求める方式
(2) 段階的選抜方式
(3) 技術提案の改善
(4) 技術提案の審査及び価格等の交渉による方式(技術提案・交渉方式)
(5) 高度な技術等を含む技術提案を求めた場合の予定価格
(6) 地域における社会資本の維持管理に資する方式等
(7) 競争が存在しないことの確認による方式
5 中立かつ公正な審査・評価の確保に関する事項
6 工事の監督・検査及び施工状況の確認・評価に関する事項
7 発注関係事務の環境整備に関する事項
8 調査等の品質確保に関する事項
(1) 調査等における発注関係事務の適切な実施
(2) 調査等における受注者等の責務に関する事項
(3) 調査等における技術的な能力の審査の実施、調査等の性格等に応じた入札及び契約の方法等
9 発注関係事務を適切に実施することができる者の活用
(1) 国・都道府県による支援
(2) 国・都道府県以外の者の活用
10 公共工事の目的物の適切な維持管理の実施
11 品質確保のための基盤整備
(1) 公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保等
(2) 技術開発等の推進等
12 施策の進め方
政府は、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号。以下「法」という。)第9条第1項に基づき、公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を、次のように定め、これに従い、法第10条に規定する各省各庁の長、特殊法人等の代表者及び地方公共団体の長は、公共工事の品質確保の促進を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第1 公共工事の品質確保の促進の意義に関する事項
公共工事は、国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有しており、その品質は、現在及び将来の国民のために確保されなければならない。
建設工事は、目的物が使用されて初めてその品質を確認できること、その品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により品質に関する条件が異なること等の特性を有している。公共工事に関しては、厳しい財政事情の下、公共投資の減少やその受注をめぐる価格面での競争の激化により、ダンピング受注(その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結をいう。以下同じ。)等が生じてきた。また、通常、年度初めに工事が少なくなる一方、年度末には工事量が集中する傾向があり、公共工事に従事する者において長時間労働や休日の取得しにくさ等につながることが懸念される。このため、工事中の事故や手抜き工事の発生、地域の建設業者の疲弊や下請業者や技能労働者等へのしわ寄せ、現場の技能労働者等の賃金の低下をはじめとする就労環境の悪化に伴う若手入職者の減少、更には建設生産を支える技術・技能の承継が困難となっているという深刻な問題が発生している。このような状況の下、将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成及び確保に関する懸念が顕著となっている。予定価格の作成や入札及び契約の方法の選択、競争参加者の技術的能力の審査や工事の監督・検査等の発注関係事務を適切に実施することができない脆弱な体制の発注者や、いわゆる歩切りを行うこと、ダンピング受注を防止するための適切な措置を講じていないこと等により、公共工事の品質確保が困難となるおそれがある低価格での契約の締結を許容している発注者の存在も指摘されており、これも、将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成及び確保に関する懸念の一つとなっている。さらに、各地で頻発する自然災害からの迅速かつ円滑な復旧・復興、防災・減災、国土強靭化、社会資本の適切な維持管理などの重要性が増してきている中で、これらを担い、地域の守り手となる建設業者が不足し、地域の安全・安心の維持に支障が生じるおそれがあることへの懸念が指摘されている。加えて、労働基準法(昭和22年法律第49号)に定められた労使協定を結ぶ場合でも上回ることのできない罰則付きの時間外労働の上限規制(以下「時間外労働規制」という。)が建設業にも適用された中、時間外労働規制の遵守を前提とした適正な工期の設定が求められるとともに、担い手の中長期的な育成及び確保の観点からも週休2日制の確保の必要性が増している。こうしたことから、将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成及び確保を促進するための対策を講じる必要がある。
また、我が国の建設業界の潜在的な技術力は高い水準にあることから、公共工事の品質確保を促進するためには、民間企業が有する高い技術力を有効に活用することが必要である。しかし、現在の入札及び契約の方法は、画一的な運用になりがちである、民間の技術やノウハウを必ずしも最大限活用できていない、受注競争の激化による地域の建設産業の疲弊や担い手不足等の構造的な問題に必ずしも十分な対応ができていない等の課題が存在する。
このような観点に立つと、現在及び将来の公共工事の品質確保を図るためには、発注者が、法の基本理念にのっとり、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、公共工事の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の方法の選択その他の発注関係事務を適切に実施することが必要である。
また、発注者が主体的に責任を果たすことにより、技術的能力を有する競争参加者による競争が実現され、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮した価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることも重要である。こうした契約がなされるためには、発注者が、事業の目的や工事の性格等に応じ、競争参加者の技術的能力の審査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、その場合の落札者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣等を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが基本となる。加えて、発注者は、工事の性格、地域の実情等に応じ、競争参加者の中長期的な技術的能力の確保に関する審査等を適切に行うよう努めることも必要である。
さらに、工事完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、公共工事の目的物の品質を将来にわたって確保する必要がある。加えて、地域において災害対応を含む維持管理が適切に行われるよう、地域の実情を踏まえつつ、地域における担い手が育成され及び確保されるとともに、災害応急対策又は災害復旧に関する工事が迅速かつ円滑に実施される体制が整備されることが必要である。
これらにより、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が中長期的に確保され、また、これらの者が公共工事を施工することとなることにより、現在及び将来の公共工事の目的物の品質が確保されることとなる。また、競争参加者の技術的能力の審査を行った場合には、必要な技術的能力を持たない建設業者が受注者となることにより生じる施工不良や工事の安全性の低下、一括下請負等の不正行為が未然に防止されることとなる。
さらに、ペーパーカンパニー等の不良・不適格業者が排除され、技術と経営に優れた企業が伸びることのできる環境が整備されることとなる。
加えて、民間企業の高度な技術提案がより的確に活用された場合には、工事目的物の環境の改善への寄与、長寿命化、工期短縮等の施工の効率化等が図られることとなり、一定のコストに対して得られる品質が向上し、公共事業の効率的な執行にもつながる。
さらに、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、談合が行われにくい環境が整備されることも期待される。
公共工事に関する調査等(測量、地質調査その他の調査(点検及び診断を含む。)及び設計をいう。以下同じ。)についても、その品質確保は、公共工事の品質を確保するために必要であり、かつ、建設段階及び維持管理段階を通じた総合的なコストの縮減と品質向上に寄与するものである。このため、公共工事に関する調査等の契約においてても、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、調査等の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の方法の選択その他の発注関係事務が適切に実施されること、その業務の内容に応じて必要な知識又は技術を有する者の能力がその者の有する資格等により適切に評価され、十分に活用されること、価格のみによって契約相手を決定するのではなく、必要に応じて技術提案を求め、その優劣を評価し、最も適切な者と契約を結ぶこと等を通じ、その品質を確保することが求められる。
公共工事の品質確保の取組を進めるに当たっては、公共工事等(公共工事及び公共工事に関する調査等をいう。以下同じ。)の入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性並びに競争の公正性を確保し、発注者の説明責任を適切に果たすとともに、談合、入札談合等関与行為その他の不正行為の排除が徹底されること、ダンピング受注が防止されること、不良・不適格業者の排除が徹底されること等の入札及び契約の適正化が図られるように配慮されなければならない。
さらに、公共工事の品質確保において、工事等(工事及び調査等をいう。以下同じ。)の効率性、安全性、環境への影響等が重要な意義を有することから、地盤の状況に関する情報その他の工事等に必要な情報が的確に把握され、より適切な技術又は工夫が活用されることも必要である。
また、公共工事の品質確保に当たっては、公共工事等の受注者のみならずその下請業者として工事を施工する専門工事業者や調査等を実施する者、これらの者に使用される技術者、技能労働者等がそれぞれ重要な役割を果たすことから、これらの者の能力が活用されるとともに、賃金、労働時間、休日その他の労働条件、安全衛生その他の労働環境が改善されるように配慮されなければならない。さらに、発注者と受注者間の請負契約のみならず下請業者に係る請負契約についても、対等な立場で公正に、市場における労務の取引価格、健康保険法(大正11年法律第70号)等の定めるところにより事業主が納付義務を負う保険料(以下「法定福利費」という。)等を的確に反映した適正な額の請負代金及び適正な工期又は調査等の履行期で締結され、その代金ができる限り速やかに、かつ、労務費相当分については現金で支払われる等により誠実に履行されるなど元請業者と下請業者の関係の適正化が図られるように配慮されなければならない。
これらに加えて、将来にわたる公共工事の品質確保のためには、より一層の生産性の向上が必要不可欠である。また、技術開発並びにその成果の普及及び実用化の推進がされるとともに、開発された技術が新たな技術として活用されることも必要である。このため、価格に加え、工期、安全性、生産性、脱炭素化に対する寄与の程度等の要素を勘案して総合的に価値の最も高い資材、機械、工法等(新たな技術を活用した資材、機械、工法等を含む。以下「総合的に価値の最も高い資材等」という。)の採用、公共工事等に関する技術の研究開発の推進や、調査等、施工、検査、維持管理の各段階における情報通信技術の活用(データの適切な引継ぎ及び効果的な活用を含む。)等のi-Constructionの推進等を通じて建設生産プロセス全体における生産性の向上を図る必要がある。また、脱炭素化に向けた技術又は工夫が活用されるようにも適切に配慮するとともに、新たな技術の活用が価格のみを理由として妨げられることのないように配慮する必要がある。
第2 公共工事の品質確保の促進のための施策に関する基本的な方針
1 発注関係事務の適切な実施
公共工事の発注者は、法第3条の基本理念にのっとり、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、競争に参加する資格を有する者の名簿(以下「有資格業者名簿」という。)の作成、仕様書、設計書等の契約図書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督及び検査並びに工事中及び完成時の施工状況の確認及び評価その他の発注関係事務(新設の工事だけでなく、維持管理に係る発注関係事務を含む。)を適切に実施しなければならない。また、入札に関する事項を定めるに当たっては、地域における公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保の観点から、地域の実情を踏まえ、競争参加資格、規模等を適切に定めるものとする。
(1) 予定価格の適正な設定
公共工事を施工する者が、公共工事の品質確保の担い手となる人材を中長期的に育成し、確保するための適正な利潤の確保を可能とするためには、予定価格が適正に定められることが不可欠である。このため、発注者が予定価格を定めるに当たっては、その元となる仕様書、設計書を現場の実態に即して適切に作成するとともに、経済社会情勢の変化により、市場における最新の労務、資材、機材等の取引価格、法定福利費、公共工事に従事する者の業務上の負傷等に対する補償に必要な金額を担保するための保険契約の保険料、災害協定に基づき発注者がその実施を要請する災害応急対策工事等に係る当該災害応急対策工事等に従事する者の業務上の負傷等に対する補償及び当該災害応急対策工事等の実施について第三者に加えた損害の賠償に必要な金額を担保するための保険契約(以下「災害協定に基づく災害応急対策工事等に係る保険契約」という。)の保険料、適正な工期、施工の実態等を的確に反映した積算を行うものとする。その際、労働安全衛生法令に基づき安全衛生を確保するために必要な経費(以下「安全衛生経費」という。)及び建設業退職金共済制度の掛金についても的確に反映するものとする。また、この適切な積算に基づく設計書金額の一部を控除するいわゆる歩切りについては、厳にこれを行わないものとする。さらに、総合的に価値の最も高い資材等を採用するよう努めることとし、採用するに当たっては、これに必要な費用を適切に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めるものとする。
予定価格に起因した入札不調・不落により再入札に付するときや入札に付そうとする工事と同種、類似の工事で入札不調・不落が生じているとき、災害その他の特別な事情により通常の積算の方法によっては適正な予定価格の算定が困難と認めるときその他必要があると認めるときは、予定価格と実勢価格の乖離に対応するため、入札参加者から工事の全部又は一部について見積りを徴収し、その妥当性を適切に確認しつつ当該見積りを活用した積算を行うこと、週休2日の確保等の必要性に鑑み、実態を踏まえた補正を行うこと等も含め、必要となる経費を適正に計上することなどにより適正な予定価格の設定を図り、できる限り速やかに契約が締結できるよう努めるものとする。
国は、発注者が、最新の取引価格や法定福利費等を的確に反映した積算を行うことができるよう、公共工事に従事する労働者の賃金に関する調査を適切に行い、その結果に基づいて実勢を反映した公共工事設計労務単価を適切に設定するとともに、法定福利費等の支払いに係る実態把握に努め、必要な措置を講ずるものとする。また、国は、公共工事の品質確保の担い手の中長期的な育成及び確保や市場の実態の的確な反映の観点から、予定価格を適正に定めるため、積算基準に関する検討及び必要に応じた見直しを行うものとする。
なお、予定価格の設定に当たっては、経済社会情勢の変化の反映、公共工事に従事する者の労働環境の改善、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成され及び確保されるための適正な利潤の確保という目的を超えた不当な引上げを行わないよう留意することが必要である。
(2) 災害時の緊急対応の充実強化
災害発生後の復旧に当たっては、早期かつ確実な施工が可能な者を短期間で選定し、復旧作業に着手することが求められる。また、その上で手続の透明性及び公正性の確保に努めることが必要である。このため、発注者は、災害時においては、手続の透明性及び公正性の確保に留意しつつ、災害応急対策又は緊急性が高い災害復旧に関する工事にあっては随意契約を、その他の災害復旧に関する工事にあっては指名競争入札を活用する等緊急性に応じた適切な入札及び契約の方法を選択するよう努めるものとする。また、災害復旧工事の緊急性に応じて随意契約等の入札及び契約の方法を選択する場合には、入札及び契約における手続の透明性及び公正性が確保されるよう、国は、運用に関するガイドラインを周知するなど必要な措置を講ずるものとする。
さらに、発注者は、災害応急対策又は災害復旧に関する工事が迅速かつ円滑に実施されるよう、あらかじめ、建設業法(昭和24年法律第100号)第27条の37に規定する建設業者団体その他の者との災害応急対策又は災害復旧に関する工事の施工に関する協定の締結その他必要な措置を講ずるよう努めるとともに、他の発注者と連携を図るよう努めるものとする。この場合において、当該協定に基づき災害応急対策工事等の実施を要請するに当たっては、災害協定に基づく災害応急対策工事等に係る保険契約の保険料を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めるものとする。
加えて、発注者は、災害からの迅速な復旧・復興に資するよう、発注又は契約の相手方の選定に関し、復旧・復興建設工事共同企業体(技術者・技能労働者の不足や建設工事需要の急増等への対応として、地域に精通している被災地域の地元の建設業者の施工力を強化するために結成される共同企業体をいう。以下同じ。)の活用に努めるとともに、公共工事の目的物の被害状況の把握に関し、当該目的物の整備及び維持管理について必要な知識及び経験を有する者の活用に努めるものとする。
(3) ダンピング受注の防止
ダンピング受注は、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、公共工事の品質確保に支障を来すおそれがあるとともに、公共工事を施工する者が公共工事の品質確保の担い手を中長期的に育成・確保するために必要となる適正な利潤を確保できないおそれがある等の問題がある。発注者は、ダンピング受注を防止するため、適切に低入札価格調査の基準価格又は最低制限価格を設定するなどの必要な措置を講ずるものとする。
(4) 計画的な発注、施工の時期の平準化
公共工事については、年度初めに工事量が少なくなる一方、年度末には工事量が集中する傾向にある。工事量の偏りが生じることで、工事の閑散期には、仕事が不足し、公共工事に従事する者の収入が減る可能性が懸念される一方、繁忙期には、仕事量が集中することになり、公共工事に従事する者において長時間労働や休日の取得しにくさ等につながることが懸念される。また、資材、機材等についても、閑散期には余剰が生じ、繁忙期には需要が高くなることによって円滑な調達が困難となる等の弊害が見受けられるところである。
公共工事の施工の時期の平準化が図られることは、年間を通じた工事量が安定することで公共工事に従事する者の処遇改善や、人材、資材、機材等の効率的な活用促進による建設業者の経営の健全化等に寄与し、ひいては公共工事の品質確保につながるものである。
このため、発注者は、計画的に発注を行うとともに、工期が1年以上の公共工事のみならず工期が1年に満たない公共工事についても、繰越明許費や債務負担行為の活用により翌年度にわたる工期設定を行う等の取組を通じて、施工の時期の平準化を図るものとする。また、受注者側が計画的に施工体制を確保することができるよう、地域の実情等に応じて、各発注者が連携して公共工事の中長期的な発注見通しを統合して公表する等必要な措置を講ずるものとする。
国は、地域における公共工事の施工の時期の平準化が図られるよう、繰越明許費や債務負担行為の活用による翌年度にわたる工期設定等の取組について地域の実情等に応じた支援を行うとともに、施工の時期の平準化の取組の意義についての周知や好事例の収集・周知、発注者ごとの施工の時期の平準化の進捗・取組状況の把握・公表を行うなど、その取組を強力に支援するものとする。
また、地方公共団体は、公共工事の施工の時期の平準化の推進に向け、入札及び契約担当部局、工事実施担当部局、財政担当部局その他の関係部局の相互の緊密な連携を確保するよう努めるものとする。
(5) 適正な工期設定及び適切な設計変更
工事の施工に当たっては、用地取得や建築確認等の準備段階から、施工段階、工事の完成検査や仮設工作物の撤去といった後片付け段階まで各工程ごとに考慮されるべき事項があり、根拠なく短い工期が設定されると、無理な工程管理や長時間労働を強いられることから、公共工事に従事する者の疲弊や手抜き工事の発生等につながることとなり、ひいては担い手の確保にも支障が生じることが懸念される。
公共工事の施工に必要な工期の確保が図られることは、長時間労働の是正や週休2日の推進などにつながるのみならず、建設産業が魅力的な産業として将来にわたってその担い手を確保していくことに寄与し、最終的には国民の利益にもつながるものである。
このため、発注者は、公共工事に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう、工期に関する基準(令和2年7月20日中央建設業審議会決定・勧告)に基づき、公共工事に従事する者の休日、工事の施工に必要な準備期間、猛暑日を含む天候その他のやむを得ない事由により工事の施工が困難であると見込まれる日数、工事の規模及び難易度、地域の実情等を考慮し、適正な工期を設定するものとする。この場合において、発注者は、週休2日工事の確実な実施やその対象工事の拡大に努めるものとする。国及び地方公共団体等は、公共工事に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう、時間外労働規制の遵守、週休2日の確保等を含む適正な工期設定を推進するものとする。
また、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない又は設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態(天候によるものを含む。)が生じたにもかかわらず、適切に工期の変更等が行われない場合には、公共工事に従事する者の長時間労働につながりかねない。このため、発注者は、設計図書に適切に施工条件を明示するとともに、契約後に施工条件について予期することができない特別な状態が生じる等により、工事内容の変更等が必要となる場合には、適切に設計図書の変更を行い、それに伴い請負代金の額及び工期に変動が生じる場合には、適切にこれらの変更を行うものとする。この場合において、工期が翌年度にわたることになったときは、繰越明許費の活用その他の必要な措置を適切に講ずるものとする。
さらに、急激な物価変動等が生じている場合は、予定価格と実勢価格の乖離や工事契約後の想定外の資材高騰・納期遅延が生じるおそれが想定されるため、市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を適切に反映させた適正な積算を行うとともに、資機材の納期を勘案した工期の設定を行うよう努めるものとする。また、契約において市場における労務及び資材等の取引価格の変動に基づく請負代金の額の変更及びその適切な算定方法に関する定め(いわゆるスライド条項)を設け、その運用基準をあらかじめ策定するとともに、価格の変動が生じた場合は、適切に請負代金の額の変更を行うものとする。この場合において、急激な物価変動等による請負代金の額又は工期の変更について、受注者から協議の申出があったときは、誠実に協議に応じるものとする。
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