告示令和6年12月13日
国土交通省告示第三百三十三号(情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針)
号外p.23 - p.27
号外p.23-p.27
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公告概要
建設業におけるCCUS活用、退職金共済制度の電子申請、電子入札・契約の推進及び公共工事の書類簡素化
抽出された基本情報
- 発行機関
- 国土交通省
- 省庁
- 国土交通省
- 件名
- 建設業におけるCCUS活用、退職金共済制度の電子申請、電子入札・契約の推進及び公共工事の書類簡素化
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国土交通省告示第三百三十三号(情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針)
令和6年12月13日|p.23-27
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○国土交通省告示第三百三十三号
建設業法 (昭和二十四年法律第百号) 第百二十五条の二十二第三項の規定に基づき、情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針を次のように定める。
令和六年十二月十三日
国土交通大臣 中野洋昌
情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針
第1 本指針の基本的考え方
1 背景
建設業者は、社会資本の担い手であるとともに、民間経済を下支えし、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」として重要な役割を果たしている。一方で、建設業については、若い世代の入職・定着が進んでおらず、依然として就業者の減少が続いている。建設業がその役割を果たしつつ、今後も魅力ある産業としてあり続けるためには、長時間労働の是正等働き方改革の推進や、建設現場の効率化による生産性の向上が急務である。
また、建設業については、以前は、時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号) の適用対象外とされており、労働基準法(昭和22年法律第49号) 第36条第1項の労使協定において定める労働時間の延長の限度が設けられていなかったが、第196回国会(常会) で成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号) による改正後の労働基準法において、罰則付きの時間外労働の上限規制が法定化され、建設業に関しても令和6年4月から適用されている。各建設現場においては、これまで以上に省力化の取組が求められることとなるため、建設業の一層の効率化と生産性向上が急務となっている。
更に、建設現場がより複雑化する中で、ドローン、ウェアラブルカメラ、各種ロボットといったICTも数多く登場している。
以上のような背景も踏まえて、第213回国会(常会) において、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第49号。以下「令和6年改正法」という。)が成立した。令和6年改正法は、「処遇改善」「労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革・生産性向上」を大きな柱とするものであるところ、このうち「働き方改革・生産性向上」に関しては、民間工事における特定建設業者及び公共工事の受注者について、効率的な現場管理のためのICT活用の努力義務及び下請業者のICT活用に係る指導の努力義務が新たに規定されるとともに、公共工事の発注者(以下「公共発注者」という。)について、ICT活用に関して工事受注者に対する必要な助言・指導等を行う旨の規定が設けられた(建設業法(昭和24年法律第100号) 第25条の28、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号。以下「入札契約適正化法」という。)第16条、第17条第2項)。また、主任技術者または監理技術者の専任に関し、ICT活用等一定の要件を前提に兼任を認める規定の創設(建設業法第26条第3項第1号)、公共工事に関し、ICTを活用する方法で発注者が確認できることを条件に施工体制台帳の写しの発注者への提出義務を合理化する規定の創設(入札契約適正化法第15条第2項) 等、建設現場におけるICT活用を推進し、建設業の生産性向上につなげるために関連する規定の整備が図られたところである。
人口減少・高齢化が進み、あらゆる産業において担い手不足が課題となりつつある中、労働集約的な産業構造を転換していく必要がある。一方、社会資本の老朽化が進むとともに自然災害の激甚化・頻発化傾向が高まっている中、建設業に期待される「地域の守り手」としての役割は、一層増大することはあっても決して減じることはない。また、ICTの活用により、危険な作業に直接従事せざるを得ない場面が減少し、労働災害の防止につながるという側面も存在するところ、ICT活用は建設業における安全性の向上にも資する取組と言える。建設業が今後とも地域に不可欠な産業としてその使命を果たし発展し続けるためには、各建設業者がICTを活用した生産性向上策に積極的に取り組むとともに、それらを活用した施工管理を担う人材を戦略的に育成していくことが待ったなしの課題である。
2 本指針の適用範囲
本指針は、建設工事に従事する全ての建設業者を対象に作成するものであるが、とりわけ、大規模工事を担う多数の下請業者との取引を伴う特定建設業者や、民間工事を牽引する公共工事における工事受注者の果たすべき役割は大きく、特定建設業者や公共工事受注者を中心に建設業のICT活用を推進することが強く求められる。一方で、建設業界全体の生産性向上の観点からは、これら以外の建設業者においても、本指針を参考に、その経営規模や工種内容等に応じて、ICTに係る設備投資と人材育成に積極的に取り組むべきである。
また、取組の促進にあたっては、発注者・工事監理者・設計者等工事に携わる全ての関係者の理解が不可欠であり、これらの者においても、本指針を参考に、ICT活用に係る環境整備等一層の推進を図るべきである。
3 本指針の目的と目指すべき方向性
以上を踏まえ、本指針では、建設業法第25条の28第3項、入札契約適正化法第16条に基づき、建設業においてICTを活用するにあたっての基本的な考え方や留意すべき点を示すこととする。本指針は、ICT活用を適切かつ有効に行うことで、建設業法の目的の一つである建設業を営む者の資質の向上(建設業法第1条)を図りつつ、建設業界全体のICT活用に係る取組状況の底上げを目指すほか、ICT活用に欠かせない発注者側の理解の増進を図り、もって建設業の健全な発展を実現することを目的とする。
加えて、近年、生成AI等、建設業界にも活用・応用が可能な新たな技術やサービスが次々に登場しているが、技術革新は日進月歩であり、現場の状況に応じた柔軟かつ迅速な対応がこれまで以上に求められている。新技術の現場における効率的・効果的な活用のためには、建設業に携わる全ての関係者において、知見のアップデートに努めるとともに、業務プロセスや商慣行等の見直しと併せて総合的な取組を進める必要がある。また、このような加速化する技術革新の動きを踏まえ、近年では、事業者の垣根を越え、各建設業者等が共同して新技術の開発・研究を行う動きも現れているところ、ICTの活用を進めるにあたっては、各建設業者における取組に加え、建設業者間等での連携・協働の観点がより一層重要となると考えられる。
一方、ICTを活用するにあたってはセキュリティが確保された環境が不可欠となり、個人情報の取扱い、書類の授受に係る機密性の保持や情報漏洩の防止等、セキュリティ対策を徹底することが重要である。とりわけ、近時、サイバー攻撃等のセキュリティに関するリスクは増大する傾向にあり、一旦被害が生じればその影響は、業務の中断や情報漏洩による経済的損失のみならず、法的責任や信頼の喪失を含め甚大かつ広範囲にわたる。従って受発注者はもちろんのこと、サプライチェーンを含む建設業界全体において、セキュリティリスクを低減させる取組を進める必要がある。
なお、国土交通省では、革新的技術の活用等により建設現場をオートメーション化し、省人化、すなわち、生産性向上を図るi-Construction 2.0を推進しているところ、魅力ある建設現場の創出というi-Construction 2.0の目指す方向性については本指針においても共通するものであり、こうした取組と併せて全体として相乗効果が発揮されるよう、建設現場におけるICT活用を進めることが重要である。
4 建設現場におけるICT活用に向けたアプローチ
建設工事のプロセスは多岐にわたり、ICT活用に関しても様々な場面が考えられるところであるが、本指針では、建設現場の働き方改革及び生産性向上の観点から、建設業法第25条の28第1項及び第2項で明示されている(1)工事施工の管理(工事全体を円滑に進めていくために必要な工事管理に関する業務)に関するICT活用に加え、(2)工事施工におけるICT活用の二つに大別して整理を行うこととする。
(1) 工事施工の管理に関するICT活用
工事の実施にあたっては、発注者等に提出すべき書類の作成や財務・人事・労務管理等、工事全体を円滑に進めていくために様々な事務作業が必要である。
例えば、工事の各段階では多数の書類の作成、提出が求められており、このような書類業務については多くの建設業者において長時間労働の原因と認識されている。令和5年度の国土交通省の調査2では、長時間労働の是正に関する取組として、45.5%の建設業者が「書類授受の省力化」に取り組んでいると回答しており、この分野での効率化・改善が強く求められていることがうかがわれる。
更に、元請業者・下請業者間でのやり取りについて、元請業者ごとに使用する書類やシステムが異なっているため、下請業者にとって書類の作成等に要する負担が小さくないことが指摘されており、かかる書類の標準化・共通化・簡素化の取組やシステム間の連携の取組も重要である。
また、工事の専門化により自社では施工できない工種の外注化が進み、いわゆる重層下請構造が形成される中で、とりわけ元請業者においては、多数の作業員の人事・労務管理に対応することが必要となり、複雑な事務作業が必要となっている。
以上のような観点から、ICTを活用し、働き方や施工管理といった建設業における従来の業務上のプロセス自体を見直すことにより、建設業の生産性向上への大きな効果が期待できる。
(2) 工事施工におけるICT活用
建設現場においては、工事の各段階において様々なICTが活用されている。工事施工におけるICT活用に関しては、技術革新は日進月歩であり、最先端技術も含め様々なツールが登場しているが、コストパフォーマンス等の観点から実証実験段階の技術も多く、どのようなICTを実際に活用することが適切かは、建設業者の経営規模や投資余力、受注している工事の規模や工種、建設現場の地理的条件等によって千差万別である。このため、工事施工におけるICT活用については、ICTの導入コストと生産性向上等の比較衡量の視点が重要であり、工事の種類、規模、現場の状況等に応じてICTの適切な使い分けが必要である。
担い手の確保が課題とされる中、工事施工におけるICT活用が広まれば、省力化による生産性の向上や苦渋作業の削減が期待できるとともに、先端的な産業分野として、建設業のイメージアップ効果も期待できる。
なお、建設現場においてICTを活用しやすくなるよう、通信環境の整備を含めて、発注者においても環境整備に協力することが重要である。
第2 工事施工の管理に関するICT活用に関する措置
1 工事施工の管理に関する法令等による規定
建設現場は多数の工程が絡み、多くの関係者の出入りがあることが一般的である。また、重層下請構造が形成されることが多く、指揮命令系統も複雑になりがちである。
このような背景から、建設業法等の関係法令においては、工事施工の管理に関して求められる対応として以下のように規定されている。
(1) 発注者
建設業法においては、工事施工の管理において発注者が実施すべき事項等について特段の規定はない。
ただし、公共発注者については、入札契約適正化法第17条第1項において、建設現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検等の措置が義務づけられている。また、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号。以下「品確法」という。)第7条第1項第14号は、監督・検査確認評価における情報通信技術の活用について定めるとともに、同法第7条第2項において、施工状況・評価の確認のためのデータベースの整備について規定している。更に、令和6年改正法で、ICT活用に関して工事受注者に対する必要な助言・指導等を行う旨の規定が設けられた(入札契約適正化法第17条第2項)。なお、公共発注者が行う点検、監督及び検査等については、入札契約適正化法第18条に基づく「公共工事の入
札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(以下「適正化指針」という。)や、品確法
第9条第1項に基づく「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基
本的な方針」(以下「基本方針」という。)や同法第24条に基づく「発注関係事務の運用に関する
指針」(以下「運用指針」という。)において、具体的措置や取り組むべき事項等が定められてい
る。
また、民間発注者については、入札契約適正化法や品確法等における規定は存しないものの、
ICT活用の重要性を理解し、本指針の趣旨を踏まえ、公共発注者と同様取組を進めることが
重要である。
⑵ 元請業者
元請業者について、建設業法では、特定建設業者に対し、一定額以上の下請契約を締結する
ときは、施工体制台帳を作成し、それを現場に据え置く義務を規定している(建設業法第24条
の8第1項)。
また、令和6年改正法において、特定建設業者につき、工事施工に関する情報システム整備
等のICT活用に関する努力義務が新たに規定されるとともに、特定建設業者がICTの活用
に関し下請業者を指導する努力義務が新たに規定された(建設業法第25条の28)。
なお、公共工事については、請負金額にかかわらず、全ての受注者において、施工体制台帳
の作成とその写しの提出等が必須とされている(入札契約適正化法第15条)とともに、令和6
年改正法において、ICTに関する体制の整備について、全ての受注者に対し必要な措置を講
じる努力義務が規定された(入札契約適正化法第16条)。
⑶ 下請業者
建設業法においては、再下請を行う時には再下請通知書に添付書類を付して元請業者に対し
て通知する義務が課されている(建設業法第24条の8第2項)。
なお、公共工事については、令和6年改正法において、下請業者自らについても、ICTに
関する体制の整備について必要な措置を講ずる努力義務が課されることとされた(入札契約適
正化法第16条、建設業法第25条の28)。
| 民間工事 | 公共工事 | |
| 発注者 | 特になし | ・監督、検査確認評価における情報通信技術の活用、施工状況・評価の確認のためのデータベースの整備(品確法第7条) ・建設業者に対するICT活用に係る助言・指導の努力義務(入札契約適正化法第17条第2項) |
| 元請業者 | ・施工体制台帳を作成し、現場に据え置く義務(特定建設業者のみ、建設業法第24条の8第1項) | ・施工体制台帳を作成し、現場に据え置く義務(建設業法第24条の8第1項、入札契約適正化法第15条第1項) ・ICTに関する体制の整備(入札契約適正化法第16条) |
| 下請業者 | ・再下請通知義務(建設業を営む全ての者、建設業法、第24条の8第2項) | ・再下請通知義務(建設業を営む全ての者、建設業法第24条の8第2項) ・ICTに関する体制の整備(入札契約適正化法第16条) |
これらに加え、工事種別や地域、規模等においても状況は異なるものの、建築基準法(昭和
25年法律第201号)、道路法(昭和27年法律第180号)、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、
労働基準法等の各法令や条例、そして受発注者間の取決め等に基づき様々な書類の作成・提出
が必要であり、工事施工の管理に関する業務の一環として、こうした書類作成・管理に関する
業務を行う必要がある。なお、公共工事については、入札及び契約に関する書類や工事関係書
類等作成すべき書類が一般的に多く、書類の簡素化の取組やICT活用に関する発注者の取組
の推進が民間工事に以上に重要である。
2 工事施工管理の効率化に向けて取り組むことが望ましい事項
工事施工の管理に関する業務の効率化は、建設業の生産性向上のために重要であるところ、各
関係者は以下の取組を行うことが望ましい。
⑴ 施工管理システムの積極的な活用
①現状と課題
工事を実施するにあたっては多数の書類の作成・提出が必要であるところ、元請業者から
は、下請業者への書類提出の催促や、入力項目の不備の確認に時間を要し、働き方改革を阻
害しているという課題が指摘されている。
建設業については、工事の計画から完成まで多数の工程が複雑に絡み、また、工程ごとに
求められる作業内容が大幅に異なるため、多数の工事関係者の出入りを伴うという特徴があ
る。このため、各作業員についての労務・人事管理が複雑化・煩雑化しやすいという課題が
指摘されている。また、「施工管理システム」3については、元請業者により利用するシステ
ムが異なり、複数の元請業者の現場に出入りする作業員や下請業者にとっては、複数のシス
テムに同内容の情報を重複して入力する必要があるため、業務上の負担となっているという
課題が指摘されている。
②講ずべき措置
工事施工の管理については、工事書類の作成や提出、労務・人事管理等を効率的に行うこ
とを目的とする民間システムが近年提供されているところ、これらの施工管理システムは作
業時間の短縮、工事の効率化に資するものであるため、元請業者・下請業者においては、そ
の積極的な活用が望ましい。
また、現在、「建設キャリアアップシステム」(以下「CCUS」という。)登録情報を施工管
理システムで利用可能とし、データ入力作業や安全書類(各種帳票など)の作成の効率化等
を図る取組が進められている。このような連携が進めば、複数のシステムへの重複入力に伴
う下請業者の負担軽減につながると考えられることから、建設業者においては、CCUSの
「共通のデータ基盤」としての機能を活用して、様々な事務作業や現場管理の効率化をより
一層進めることが求められる。
また、元請業者の業務効率化・下請業者の負担軽減の観点から、元請業者が下請業者に求
める書類の標準化・共通化・簡素化やシステム間の連携に向けた検討を進めるなど、書類等
を始めとする元請・下請間のやり取りの合理化に向けた検討が重要である。
⑵ CCUSの活用促進
①現状と課題
CCUSは、技能者の資格や建設現場での就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積し、技能・
経験に応じた適切な処遇につなげるとともに、登録された情報を活用して現場管理を効率化
することを目的としたシステムであり、社会保険の加入状況の確認や施工体制台帳の作成・
確認、建設業退職金共済制度における電子申請方式などにおいて、利用の拡大が進んでいる。
また、一号特定技能外国人等は、CCUSへの登録が義務付けられており、施工体制台帳等
の書類作成にあたり、CCUSの情報を活用することが有効である。
しかしながら、CCUSを活用した効率的な現場管理を実現するためには、より多くの事
業者登録・技能者登録がなされ、建設現場での利用がより一層促進される必要がある。また、
利用者がその効果を実感できるよう、民間の施工管理システムとの情報連携を含め、登録さ
れた情報の利活用を十分に進めることが必要である。
②講ずべき措置
下請業者を含む建設業者においては、建設現場の生産性向上につながるよう、CCUSへの事業者登録、技能者登録(簡略型から詳細型への移行を含む。)、現場・契約情報の登録、施工体制の登録、就業履歴の蓄積等を一層進める必要がある。
元請業者においては、下請業者や技能者が建設現場でCCUSを適切に利用できるよう、カードリーダー等の利用環境を構築するとともに、下請業者に対して利用について働きかけを行うことが求められる。
公共発注者においては、その発注する公共工事の施工に当たって広く一般に受注者等によるCCUSの利用が進められるよう、就業履歴の蓄積状況に応じた工事成績評定における加点措置など、地域の建設業者における利用の状況等に応じて必要な条件整備を講ずべきである。
各建設業者は、社会保険未加入者の排除の徹底や適正な施工体制の継続的な確保に加え、施工体制台帳等の書類の作成や、就業履歴情報を活用した適切な人員配置、各建設現場において必要となる資格を有しているかどうかの確認等にあたり、CCUSを積極的に活用し、効率的な現場管理等に取り組むべきである。
また、前述のとおり、CCUS登録情報と施工管理システムとの情報連携に係る取組が進められており、各建設業者においては、CCUSの「共通のデータ基盤」としての機能を活用して、事務作業や現場管理の効率化をより一層進めるべきである。
加えて、後述のとおり、建設業退職金共済制度における電子申請方式の利用にあたっては、確実な掛金納付・退職金支給、事務負担の軽減等を図るため、CCUSの現場就業履歴を活用した就労実績報告等に積極的に取り組むべきである。
更に、各建設業者においては、法令上、紙の資格者証を携行する必要がない資格について、CCUSに登録された情報を活用した資格確認を積極的に行うとともに、技能者に携行不要である旨周知・働きかけを行うことが望ましい。
令和6年改正法により、公共工事における施工体制台帳の写しを発注者に提出する義務について、CCUS等のシステムにより直接発注者が施工体制を参照できる場合には、施工体制台帳の写しの提出義務が合理化されることとなったことから、公共発注者においては、かかる新制度を利用し、元請業者等の負担軽減に取り組むことが求められるところ、CCUSは、公共発注者からもCCUSで作成された施工体制台帳を確認できる機能が搭載されていることから、これを積極的に活用すべきである。加えて、民間発注者においても、元請業者に施工体制台帳の閲覧を求める場合は、CCUSを活用することが望ましい。
(3) 建設業退職金共済制度における電子申請方式の積極的活用
①現状と課題
建設業退職金共済制度については、令和2年10月より、証紙貼付方式に加え、電子申請方式による掛金納付が可能となった。更に、令和7年にはCCUSの就労実績データをワンクリックで建設業退職金共済の電子申請サイトへ登録できるよう、システム改修が予定されているところである。
電子申請方式においては、共済証紙の交付が不要となり、工事ごとの履行状況の効率的な確認に資するとともに、申請と管理に要する事務負担の軽減や処理の正確性が向上し、生産性向上に資する効果が期待されるが、電子申請方式による掛金納付率は約5%(令和5年度末時点)に留まっている。
②講ずべき措置
確実な掛金納付・退職金支給、事務負担の軽減等を図るため、電子申請方式の一層の利用促進及びCCUSの現場就業履歴を活用した就労実績報告等の促進を図るとともに、建設業者においても電子申請方式等を積極的に活用すべきである。
(4) 電子入札・電子契約の積極的活用
①現状と課題
入札情報(調達案件内容)の入手や入開札までの一連の行為についてインターネットを介して行う電子入札は、談合等の不正行為の防止のみならず、事務の簡素化や入札に要する費用の縮減、競争に参加しようとする者の利便性の向上が期待でき、国、都道府県及び指定都市のほぼ全てで導入されているものの、指定都市を除く市区町村における令和5年度の導入率は約50%に留まっている。
また、電子契約については、契約手続の一連の行為についてインターネットを介して行うことで、印紙代や移動費・郵送費等の経費が削減されるなど、業務の効率化が期待できる。しかし、例えば公共工事に関しては、電子契約システムの導入は遅れており、令和5年度時点で都道府県では約50%、指定都市を除く市区町村は10%未満の導入に留まっている。
②講ずべき措置
重層下請構造が形成されることが多い建設現場における電子入札・電子契約の推進のためには、発注者側や元請業者の理解増進が不可欠であり、建設業界の電子商取引の標準規格であるCI-NETの活用をはじめ、電子入札・電子契約の積極的な導入に取り組むとともに、下請業者における電子契約の導入を促進すべきである。
また、公共発注者においては、電子入札・電子契約の取組は行政のDX、業務効率化・利用者利便の向上に資するものであることを理解し、特に取組が遅れている市区町村を中心に取組を強化すべきである。
(5) 公共工事における取組の推進
①現状と課題
工事実施過程においては、発注者や官公庁等に対する多くの書類を準備する必要があり、業務効率化を阻害する要因となっていることが課題として指摘されている。また、地方公共団体によって提出する書類の様式が異なることも多く、様々な様式に対応できるよう構築されている施工管理システムでも対応できないケースもあり、その場合は当該団体の様式に合わせて別途書類を作成する必要が生じ、建設業者にとって大きな負担となっている。公共工事の工事関係書類の簡素化・電子化については、これまで通知4等により要請してきたところである。また、国土交通省直轄土木工事においては、「工事書類スリム化のポイント」の現場への徹底、横展開や「書類限定検査」の原則化等、受注者の書類作成業務の負担軽減に向けた取組を行っているほか、工事関係書類の標準様式を作成している。更に、国土交通省直轄営繕工事においては、工事関係書類について、監督職員と協議のうえ、受注者の独自書式の使用を可能とすることや、必要な内容が記載された書類等がある場合は新たに作成・提出を求めないなど、書類の簡素化、作業の効率化に取り組んでいる。
一方、公共工事に係る手続きや書類の電子化に関して、電子入札システムや受発注者間におけるオンライン上での書類提出システムである情報共有システム(ASP5)も登場している。電子入札やASPについては、書類作成や提出にかかる時間の削減や入力方式の統一化、書類管理・保存にかかる負担軽減等業務の効率化に資すると考えられるところ、電子入札・ASPとも国・都道府県レベルでは一定程度活用されているものの、市区町村レベルでは普及が遅れている状況である。
加えて、地方公共団体発注工事に関しては、公共発注を担当する職員の不足が深刻な課題となっている。令和6年6月に品確法が改正され、公共発注者の発注体制の強化のための規定が整備されたところ、国及び都道府県においては、市区町村を中心とした地方公共団体の発注担当職員に対するICT活用に係る理解の醸成や取組の普及等の取組を強化することが必要である。
②講ずべき措置
工事関係書類の簡素化や電子化に関する取組については、関東地方整備局において「土木工事電子書類スリム化ガイド」を策定、公表しているほか、各地方整備局においても、「土木工事書類作成マニュアル」等を策定し、運用しているところ、国及び地方公共団体等公共発注者等においては、こうした取組も参考に、工事関係書類の様式統一や簡素化・電子化に努めることが望ましい。
また、ASPを導入すれば、発注者、受注者間で情報共有、同時作業が可能なプラットフォームを構築することが可能となり、発注者、受注者双方にとってメリットがある。例えば、発注者にとっては、書類探索・管理コストの減少といったメリットがあり、受注者にとっては紙資料の印刷と持参の手間が減るといったメリットがあるところ、公共発注者、とりわけASPの導入が遅れている市区町村においては、ASPの速やかな導入を図るべきである。なお、ASPを導入しているにもかかわらず不要に紙資料の併用を求めることは、メリットを低減させるだけでなく、かえって負担を増加させることとなるため、行わないよう留意すべきである。また、ASPを導入した場合でも、「ワンデーレスポンス」6の確実な実施を併せて行うなど、問題解決のための行動の迅速化に努めることが建設業の働き方改革の推進にとって重要である。
更に、ASPの活用と合わせて、遠隔臨場の活用が進んでいるところ、かかる取組は、建設現場への移動時間や、立会に伴う受注者の待ち時間の短縮等の効果があることから、都道府県・市区町村発注工事も含め積極的な活用が望ましい。なお、遠隔臨場の実施によりかえって検査の品質が損なわれることがないよう、留意が必要である。
また、ICT活用を進めていく上で課題となる公共発注者のノウハウ不足・人手不足に関しては、品確法の趣旨も踏まえ、各地方公共団体において、必要に応じてCM(コンストラクション・マネジメント)方式の活用や発注支援業務実施者の活用等、外部機関による支援の活用を積極的に進めることにより、発注者としての体制の補完を図る必要がある。更に、発注関係事務を適切に実施するため、その実施に必要な知識または技術を有する職員の育成及び確保を図る必要がある。
なお、前述の通り、公共発注者は、施工体制台帳の写しの提出義務の合理化にも対応可能なCCUSの施工体制台帳の確認機能を積極的に活用するとともに、各建設業者は、元請業者・下請業者間の書類作成事務負担の軽減の観点から、CCUS登録情報と施工管理システムとの連携機能の活用を進めるべきである。
以上のような公共発注者における取組の推進に当たっては、公共発注者は、入札契約適正化法・品確法改正等の趣旨も踏まえ、適正化指針や基本方針、運用指針も参考に、積極的に取組を進めるべきである。
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