告示令和6年11月22日
国土交通省告示第三百八十八号(緑地確保指針の制定)
本紙p.5 - p.6
本紙p.5-p.6
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- 緑地確保指針の制定
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○国土交通省告示第三百八十八号
都市緑地法(昭和四十九年法律第七十二号)第八十七条第一項の規定に基づき、緑地確保指針を定めるので、同条第四項の規定に基づき公示する。
令和六年十一月二十二日
国土交通大臣 中野 洋昌
一 都市における緑地の確保のための取組に当たっての基本的な考え方
都市を取り巻く社会情勢の変化のうち、気候変動対策、生物多様性の確保及びWell-beingの向上について、これらの課題解決に向けた積極的な対応が求められている。
これらの課題に対し、都市における緑地は、温室効果ガスの吸収やヒートアイランド現象の緩和、雨水の流出抑制、野生生物の生息・生育環境の確保、環境教育の場の提供、健康の増進、コミュニティの形成、良好な景観の形成、地域固有の歴史文化の形成など、グリーンインフラや自然を基盤とした解決策(NbS:Nature-based Solutions)として多様な機能を発揮することが期待される。
一方で、世界と比較して、我が国の都市における緑地の充実度が低いとの指摘もあり、また、多くの都市で都市における緑地は減少傾向にある。
そのため、都市における緑地を質・量両面で確保し、良好な都市環境の形成を図ることが重要であり、公的な取組に加え、民間事業者による緑地確保の取組を促進することが不可欠である。その際、近年、世界的な広がりがみられるESG投資等の環境分野への民間投資を都市における緑地に取り込むことも重要である。
都市緑地法(昭和48年法律第72号。以下「法」という。)第87条の規定に基づく緑地確保指針(以下「本指針」という。)は、民間事業者等が行う都市における緑地の整備、保全その他の管理(以下「緑地の確保」という。)に関する取組(以下「緑地確保事業」という。)について、気候変動対策、生物多様性の確保及びWell-beingの向上の課題解決に向けて取り組むべき事項や配慮すべき事項の一定の方向性を示すことで、より効果的な取組の推進を図ることを目的とするものである。なお、本指針において、緑地確保事業を行う事業者(以下「緑地確保事業者」という。)は、主に民間事業者を想定しているが、地方公共団体等の公的主体も含まれるものとする。
また、法第88条第4項に規定する優良緑地確保計画の認定について、本指針への適合性の審査は、本指針に基づき別に定める制度要綱により行い、民間事業者等から申請があった優良緑地確保計画が制度要綱に適合していると認めるときに認定を行うこととする。
なお、本指針は、国内外における社会状況の変化や技術革新等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこととする。
二 緑地確保事業者が取り組むべき事項及び配慮すべき事項
緑地確保事業を行うに当たっては、緑地の有する多様な機能を発揮し、都市を取り巻く各課題の解決を図るため、適切な期間において、地域の実情に応じ、以下の事項に取り組み、又は配慮すべきである。このうち、1~4及び7については、全ての事項を満たさなければならないものではな
1 緑地の質・量両面での確保
気候変動対策、生物多様性の確保及びWell-beingの向上といった様々な課題に対応するためには、緑地の減少傾向を反転させるとともに、質の充実を図ることが、緑豊かな都市を実現するために重要である。
・都市における緑地の質・量両面での確保に向け、緑地がその有する機能を発揮し、都市において相当の効果を発現するため、一定規模以上の緑地を確保した上で、その質の向上が図られるよう整備・管理すること。また、一定の土地を有している社会的責任に鑑み、緑地確保事業の対象となる土地(以下「対象となる土地」という。)に占める緑地の割合をできるだけ高くなるよう整備・管理すること。
・2030年までに、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」という、いわゆる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向け、緑地の確保に当たっては、対象となる土地の事業実施以前の状況と比較して自然的環境が損失しないよう整備・管理すること。
2 気候変動対策
温室効果ガスの排出拡大による地球温暖化の進行は、自然災害、海面上昇、生態系、農林水産業、都市生活、経済活動等に深刻な影響をもたらしている。そのため、緑地の確保において、緩和策としての二酸化炭素の吸収・固定や排出削減、適応策としての暑熱対策や浸水被害対策等を講じるとともに、資源循環に資する取組を行うことで、気候変動への対応を図ることが重要である。
(1) 温室効果ガス吸収・固定
・樹木は光合成を通じて二酸化炭素を吸収・固定する機能を有するため、緑地の確保に当たっては、二酸化炭素の吸収源となる高木を植栽するとともに、その育成を適切に行うこと。
・木材は森林が吸収した炭素を貯蔵しているため、緑地の確保に当たっては、緑地の利用等に関する施設を設置する場合は、積極的に木材を利用すること。
(2) 温室効果ガス排出削減
・屋上緑化や壁面緑化は、植物が舗装・建物外壁等に被覆することで表面温度の上昇や蓄熱を防止し、昼夜間の冷房使用の低減につながり、もって二酸化炭素排出の抑制の機能を有するため、緑地の確保に当たっては、屋上緑化や壁面緑化を効果的に整備・管理すること。
・緑地の確保に当たっては、使用する資材について、使用段階だけでなく、製造、流通、施工、運用等までのライフサイクル全体を通じた二酸化炭素排出量の削減を図ること。
(3) 暑熱対策
・緑地は、地表面被覆の改善、冷気の発生源として周囲への空気のにじみ出し、冷涼な風を導入・維持する風の道の形成等により、ヒートアイランド現象を含む都市の暑熱環境を緩和する機能を有する。また、人が歩行・滞在する空間においては、樹冠を有する樹木は、緑陰を形成することで、日射を低減できることから、熱中症対策としての役割を有している。そのため、緑地の確保に当たっては、周囲の状況等を踏まえ、暑熱対策として効果的に緑地を整備・管理すること。
(4) 浸水被害対策
・緑地は、その形態によって、雨水を一時的に貯留又は地下に浸透させることから、雨水の流出抑制機能が期待される。そのため、緑地の確保に当たっては、雨水の流出抑制機能が効果的に発揮できるよう適切な形態・配置等で緑地を整備・管理すること。
(5) 資源循環
・循環型社会の形成に向けた3R(廃棄物等の発生抑制・循環資源の再使用・再生利用)+Renewable(バイオマス化・再生材利用等)等の取組は温室効果ガスの排出削減にも資するものであることから、緑地の確保に当たっては、再生材の使用や資源の有効利用等を積極的に行うこと。
3 生物多様性の確保(自然資本の保全・回復)
豊かな生物多様性に支えられた生態系は、人間の福利に貢献しており、こうした自然の恵みによって人々の生活は物質的には豊かになる一方、人間活動により、世界的に生物多様性と生態系サービスが悪化し続けていると言われている。そのため、緑地の確保において、自然資本への過度な負荷を減らし、地域固有の生態系を支える野生生物の生育・生息環境の場等となるよう取り組むことで、生物多様性の確保及び自然資本の保全・回復を図ることが重要である。
(1) 水資源の確保
・水資源は生物の生存に不可欠な要素であり、その適切な確保が必要であることから、緑地の確保に当たっては、植物の適切な生育を確保しつつ、水使用量の削減に資する取組を行うこと。
(2) 多様な生息・生育環境の確保
・高木層、低木層、草本層等高さの異なる多様な植物で構成される階層構造を有する緑地は、空間構造が多様になるため、様々な生物の生息が可能になる。そのため、緑地の確保に当たっては、階層構造が形成されるよう整備・管理すること。
・生物が安定的に集団を維持していくためには、一般的に一定程度まとまった規模の緑地が必要であり、規模が大きいほど生物多様性の確保の観点から効果的である。そのため、緑地の確保に当たっては、できるだけ大きく、まとまりを持った配置とすること。
・樹林地、草地、水辺地等の複数の異なる自然的環境によって構成される緑地は多様な動物の生息空間となる。そのため、緑地の確保に当たっては、一つの緑地において複数の異なる自然的環境を有し、それらの間を動物が移動しやすい形態で整備・管理すること。
・多様な動植物の生息・生育環境を確保するためには、動物が採餌や繁殖する場の形成や移動しやすい空間等の確保が重要であることから、緑地の確保に当たっては、動植物の生態を踏まえた良好な生息・生育環境の形成に資する取組を行うこと。
(3) 周辺環境との調和
・在来の植物が生育する環境は、在来の動物の生息環境として重要であり、地域固有の生態系の確保になくてはならないものであることから、緑地の確保に当たっては、地域に根ざした植生を活用すること。
・動植物の生息・生育地となる緑地が孤立化している都市では、動植物の個体間の交流を困難にさせるとともに、他の個体群との交流の機会を失わせ、繁殖に必要となる個体数が確保できなくなるなど、都市における動植物種の絶滅や減少、生物多様性の損失をもたらしていることから、生息地間の生態的・空間的つながりである生態系ネットワークを形成し、動植物の円滑な移動や個体間の交流等の機会を確保することが、都市の生物多様性を確保するために必要不可欠である。そのため、緑地の確保に当たっては、周辺の環境と調和した生態系ネットワークの形成が図られるよう整備・管理すること。
(4) 生態系への影響の低減
・侵略的外来種は、地域固有の生態系を改変し、在来種に大きな影響を与えることから、緑地の確保に当たっては、侵略的外来種による被害を防止するための取組を行うこと。
・化学農薬及び化学肥料の過剰な施用は生物多様性の低下等を招くことから、緑地の確保に当たっては、化学農薬及び化学肥料の使用量の削減に資する取組を行うこと。
・プラスチックを含む化学物質の中には生態系に影響を及ぼすものもあることから、緑地の確保に当たっては、化学物質が含まれる資材の適正な管理を行うこと。
・国内外における資材の調達は自然環境の保全等に影響を及ぼすおそれがあることから、緑地の確保に当たっては、使用する資材について、持続可能性に配慮した調達やそれに向けた取組を実施すること。
(5) 環境教育の実施
・生物多様性の確保に向けては、生物多様性の重要性等に対する人々の知識と関心を高め、行動の変化につなげることが不可欠である。一方で、特に都市部の住民の中には、日常生活において自然との接触機会が少なく、自然との付き合い方を知らないこどもも増えており、自然に対する経験の消失が生じているとの指摘もある。そのため、緑地の確保に当たっては、生物多様性に係る環境教育や自然とのふれあいの機会の提供を積極的に実施すること。
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