その他令和6年11月1日

ICP質量分析計の装置構成及び操作法

号外p.116 - p.117

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ICP質量分析計の装置構成及び操作法

令和6年11月1日|p.116-117

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② ICP質量分析計の装置構成
ICP質量分析計は、励起源部、試料導入部、イオン化部、インターフェース部、 イオンレンズ部、質量分離部、イオン検出部及びデータ処理部で構成される。
励起源部、試料導入部及びイオン化部は、それぞれICP発光分光分析計における 励起源部、試料導入部及び発光部と同一の構造である。
インターフェース部は、大気圧下でプラズマにより生成されたイオンを高真空の質 量分離部に導入するための境界部分でサンプリングコーン及びスキマーコーンより構 成される。
イオンレンズ部は、インターフェース部を介して導入されたイオンを収束させ、効 率良く質量分離部に導くための部分である。
質量分離部は、多くの装置で四重極型の質量分析計が採用されている。なお、コリ ジョン・リアクションセルと呼ばれる室(セル)を真空内の質量分離部の前に配置し、 水素、ヘリウム、アンモニア又はメタン等のガスを導入することにより、後述の多原 子イオン類による干渉を抑制できる。
イオン検出部は、検出器内に到達したイオンを、増倍管により増幅した後、電気信 号に変換し、データ処理部で、得られた電気信号をデータとして処理し、検量線及び 測定結果等を表示する。
操作法
アルゴン又は窒素を所定の流量に設定し、高周波電源を入れ、プラズマを生成する。装 置に指示された方法を用いて機器の校正を行う。別に規定する方法で調製した試料溶液、 標準液又は比較液を導入し、ICP発光分光分析計の場合は適当な発光スペクトル線の発 光強度を、ICP質量分析計の場合は定められたm/z値における信号強度を測定する。 なお、定量に際しては、次の干渉及びバックグラウンドを考慮する必要がある。
① 操作条件の最適化
純度試験又は定量法を行うときは、あらかじめ次に規定する感度、バックグラウン ド並びに酸化物イオン及び二価イオンの生成比の最適化を行い、装置の稼働性能が適 切であることを確認しておく。操作条件の最適化の実施に際しては、通常、適切な濃 度に調整した、$^{7}$Li、$^{9}$Be、$^{59}$Co、$^{89}$Y、$^{115}$In、$^{140}$Ce、$^{205}$Tl、$^{209}$Bi等の環境中から汚染し 難い、低質量数、中質量数及び高質量数を代表する元素の標準液を用いる。感度は、 積分時間1秒当たりのイオンカウント数(以下「cps」という。)で判定する。純度試 験又は定量法を行うときは、低質量数、中質量数及び高質量数において、各元素濃度 1μg/L (ppb) 当たり数万cps程度あることが望ましい。
バックグラウンドは、天然には存在しない元素の$m/z$値、例えば$m/z$が4、8又 は220等で測定した場合、10cps以下であることが望ましい。酸化物イオン及び二価イ オンの生成比は、$^{140}$Ce等の溶液を用い、それぞれの酸化物イオン($^{140}$Ceの場合$^{140}$Ce $^{16}$O$^+$、$m/z$ 156)、二価イオン($^{140}$Ce$^{2+}$、$m/z$ 70)及び一価イオン($^{140}$Ce$^+$、 $m/z$ 140)のカウント数を測定し、酸化物イオン及び二価イオンのカウント数を一 価イオンのカウント数で除して求める。酸化イオン生成比、すなわち$^{140}$Ce$^{160+}$/ $^{140}$Ce$^+$が0.03以下及び二価イオン生成比、すなわち$^{140}$Ce$^{2+}$/$^{140}$Ce$^+$が0.05以下となるこ とが望ましい。
② 干渉とその抑制又は補正
スペクトル干渉には、同重体干渉並びに多原子イオン及び二価イオンのマススペクトルの重なりによる干渉がある。同重体干渉とは、測定対象元素と原子量が近接している同重体イオンによる干渉をいう。例として、⁴⁰Caに対する⁴⁰Ar、²⁰⁴Pbに対する²⁰⁴Hgの重なりがある。多原子イオンは、イオン化源としてアルゴンガスを使用しているため、例えば、Arに起因する¹⁶Ar¹⁶O、⁴⁰Ar¹⁶O¹H、⁴⁰Ar₂等の多原子イオンが形成され、それぞれ⁵⁶Fe、⁵⁷Fe、⁸⁰Seの測定に干渉を生じる。コリジョン・リアクションセルが付属している装置では、セル内でこれらの多原子イオンを減少させることができる。二価イオンとは、その一価イオンの1/2のm/z値にピークを持つイオンのことで、検液中に測定対象元素の2倍の質量数の同位体を持つ元素が共存する場合に干渉を生じる。非スペクトル干渉には、物理干渉及びイオン化干渉のほか、ICP質量分析法特有のものとしてマトリックス干渉がある。マトリックス干渉は多量の共存元素が存在すると測定対象元素のイオンカウント数が一般的に減少する現象である。この傾向は、共存元素の質量数が大きく、その濃度が高いほど、また、測定元素の質量数が小さいほど顕著に表れる。非スペクトル干渉は、未知試料に対して既知量の測定対象元素を添加することで、その回収率から干渉の程度を確認できる。回収率が低く、分析の信頼性が確保されないと判断される場合には、内標準法又は標準添加法によって補正を行う。
③ システムの再現性
各装置により最適化された試験条件の下、最低濃度の検量線用標準液を用いて、試験を6回繰り返すとき、別に規定するもののほか、分析対象元素のスペクトル強度の相対標準偏差は一定値以下(10%以下)であることを確認する。
定量は、通例、次のいずれかの方法による。
① 検量線法
3種以上の濃度の異なる標準液を調製し、それぞれの標準液につき、その強度を測定し、得られた値から検量線を作成する。次に測定可能な濃度範囲に調製した試料溶液の強度を測定した後、検量線から被検元素量(濃度)を求める。
② 標準添加法
同量の検液3個以上を量り、それぞれに被検元素が段階的に含まれるように標準液を添加し、更に溶媒を加えて一定容量とする。それぞれの溶液につき、強度を測定し、横軸に添加した標準被検元素量(濃度)、縦軸に強度をとり、グラフにそれぞれの値をプロットする。プロットから得られた回帰線を延長し、横軸との交点と原点との距離から被検元素量(濃度)を求める。ただし、この方法は、①による検量線が原点を通る直線の場合のみに適用できる。
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ICP質量分析計の装置構成及び操作法 - 第116頁
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