脱炭素成長型経済構造移行推進機構金融支援業務に関する支援基準
令和6年8月13日|p.5
左の本文を選ぶと、右側の官報原文画像で該当箇所を照合できます。
○脱炭素成長型経済構造移行推進機構金融支援業務に関する支援基準
脱炭素成長型経済構造移行推進機構(以下「機構」という。)が、対象事業活動支援の対象となる事業者及び当該対象事業活動支援の内容を決定するに当たって従うべき基準を次のとおり定めることとする。
1 対象事業活動支援に当たって機構が従うべき基準
機構の対象事業活動支援(債務保証、出資及び社債の引受け)の対象となる対象事業活動は、次の(1)から(5)までに定める基準をいずれも満たすこととする。
(1) 政府の方針との整合性
脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(令和五年七月二十八日閣議決定。改訂があったときは、その改訂後のものを含む。)及びクライメート・トランジション・ボンド・フレームワーク(令和五年十一月GX経済移行債発行に関する関係府省連絡会議決定。改訂があったときは、その改訂後のものを含む。)その他政府の方針と整合する事業活動であること。
(2) GXに資する技術の社会実装又は事業の推進
二酸化炭素の排出削減及び産業競争力強化・経済成長のいずれの実現も可能とする経済構造への円滑な移行(以下「GX」という。)を推進するため、GXに資する投資の成否が企業や国の競争力の成否を左右することに鑑み、我が国企業等が保有する新技術など、GXに資する技術の社会実装を行うとともに又はこれを活用した事業の推進に寄与するものであること。
(3) 民間で取り切れないリスクの補完
GXに資する投資の中には、技術や需要、事業環境の不透明性が高く、民間金融機関等だけではリスクを取り切れないケースも存在することに鑑み、民間金融機関等が真に取り切れないリスクが存在し、そのリスク補完が必要であること。
(4) 対象事業活動の持続可能性その他の総合判断
対象事業活動の審査に当たっては、当該対象事業活動の持続可能性のみならず、対象事業活動支援を行うことによるGXに関する施策への貢献、民間金融の呼び水効果、トランジション・ファイナンス及びブレンデッド・ファイナンス等の新たな金融手法の進展への寄与並びに当該事業が人的資本の蓄積及び良質な雇用をもたらす効果等を総合的に勘案し、対象事業活動支援が必要であること。
(5) 適切な経営・推進体制の確保
対象事業活動を効率的、効果的かつ確実に実施する体制の構築及び経営陣の事業遂行に向けたコミットメントなど、事業者の適切な経営・推進体制が確保されていること。
2 対象事業活動支援全般について機構が努めるべき事項
対象事業活動支援を行うに当たっては、機構は、次の(1)から(5)について、そのいずれにも努めることとする。
(1) 対象事業活動支援の基本的な考え方
① 対象事業活動支援は公的な資金を活用するものであること及び健全な民間金融の発展を図る必要があること等に鑑み、民間がとれるリスクかどうかを踏まえる一方で、リスク補完を行わないことで我が国全体のGXの推進に停滞を招かないよう、取るべきリスクはしっかり取ることを旨として、対象事業活動支援を行うこと。
② こうしたリスク補完や案件の増加の結果、対象事業活動支援に充てる資金が必要となる場合には、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号。以下「法」という。)第二十三条第三項前段の規定による政府からの出資金を速やかに要請するとともに、法第六十五条第一項前段の規定による金融機関その他の者からの一時的な借入れ等により、対象事業活動支援に支障が生じないように十分な資金の確保を行うこと。
(2) 対象事業活動支援を推進する体制の確保
① GXを推進し、かつ、その早期社会実装を図るため、積極的に案件の発掘に取り組むこと。
② 対象事業活動支援を行うに当たっては、国内外のGXに関する施策・事業・技術・金融等の動向を踏まえる必要があるため、必要に応じ、外部有識者の意見を積極的に聴取すること。
③ 機構内部の体制整備に当たっては、民間金融機関の慣行を踏まえ、適切な報酬体系を整備するとともに、対象事業活動への投融資及び信用補完の知見及び経験が豊富な専門人材等を含む優秀な人材を確保し、適材適所の人材配置を通じて、適切な審査体制を構築すること。
④ 対象事業活動支援に当たっては、信用・環境審査に加えて、コンプライアンスリスクの管理も十分に行うこと。
⑤ 対象事業活動支援を行うに当たっては、GXの推進にも貢献するものという観点に加えて、その市場規模・削減規模、GXの推進に不可欠な国内供給の必要性並びに民間金融機関等のみでは取り切れないリスクの度合い及びその内容等を総合的に勘案して優先順位を付けて、対象事業活動支援の対象となる事業者及び当該対象事業活動支援の内容の検討を行うこと。
(3) 政府全体の政策との連携
対象事業活動支援を行うに当たっては、より効率的かつ効果的な支援となるよう、GXに関する施策はじめ政府全体の施策との連携を図ること。
(4) GXの推進に向けた人材の育成
① 対象事業活動支援は、GXを推進するための高度に専門的かつ実践的な知見を活用することが求められることを踏まえ、民間金融機関等との間の人材交流を積極的に行い、GXの推進に関する学びの場を提供するなど、人材の育成を行うこと。
② 民間によるGXに資する投資の創出を後押しするため、外部有識者との意見交換など、機構の業務を通じて蓄積されたGXの推進に関する知見及びノウハウを事業者及び民間金融機関等に対して適切に共有すること。
(5) ステークホルダーとの連携
① GXの推進を先導する役割を果たすべく、対象事業活動支援を行うだけでなく、事業者、民間金融機関等をはじめとした多様なステークホルダーと協働すること。
② GXに資する投資の拡大に向けて、民間金融機関に加えて、関係省庁並びに株式会社日本政策金融公庫、株式会社日本政策投資銀行、株式会社産業革新投資機構、株式会社脱炭素化支援機構、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及び株式会社日本貿易保険等の政府関係機関と連携し、効率的かつ効果的に対象事業活動支援を行うこと。
(6) 情報開示
① 個人及び事業者に関する情報の適正な取扱いに留意しつつ情報公開を一般に行うことで国民に対する説明責任を果たすとともに、機構に出資する国に必要な説明を行うことにより、その運用の透明性を確保すること。
② 支援決定した対象事業活動について、環境・社会への影響及び効果を含め、当該対象事業活動の状況を適宜評価・発信すること。
注 この支援基準における用語のうち、法において定義が定められているものについては、原則として、その例による。